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夜会の騒動と顛末

10日後の王太子主催夜会は華やかな物となった。


長年病に苦しめられて来た王太子は、近年交易を始めた国の薬で回復したのだ。


今回は王太子夫妻が主役を務めるので、各地から貴族家当主が妻を連れて参加していた。


夫であるピタン伯爵と共に参加したビクトリアは困惑していた。


……第一王子が秘密裏に王太子に即位していた!?


……しかも即位式に呼ばれたのは高位貴族だけ!?


私知りませんわ!?


それに王太子夫妻が主催する夜会なんて……!!


もし、此処で騒動を起こせば私の命はない!!


ですが、此処で風紀を守らなければ私の立場が無くなる!!


ビクトリアは冷や汗を掻いて考える。


ふと、第二王子リーグルトと側近のシュバルツの姿が見えた。


……私は男同士の愛なんて認めませんわ!!


決意をビクトリアは固めた。


「皆さん聞いてくださいませ!!第二王子と側近達は愛し合っておりましてよ!?男同士ですわ!!穢らわしいですわよ!!」


ビクトリアは腹から声を出して叫ぶ。


「お前、何を言ってるんだ!?」


慌てピタン伯爵は黙らせようとするが……。


「今夜の夜会は王太子である私達が主催した夜会だ。

私の弟を嵌める発言するとはな」


リーグルトに良く似た顔立ちの青年が王太子妃を連れて前に出る。


「王太子殿下も騙されているのですわ!!それに、腐文化を作ったのはピアーズ公爵令嬢なのでしてよ!!風紀を乱すクオルナ嬢こそ全ての元凶ですわ!!」


ビクトリアは動じずに叫ぶ。


「ピアーズ公爵令嬢を嵌めるなんて」


「前から思っていたけど、あの婦人妄想激しいですわ」


「王族や高位貴族も嵌めたぞ」


周りの貴族達が囁き合う。


「何をしている。近衛騎士よ、こやつらを拘束しろ」


王太子に命じられ、近衛騎士がピタン伯爵とビクトリアを拘束した。


「嘘では御座いませんわ!!私は見たのです!!現に私はピアーズ公爵令嬢に茶会に招かれたのですわ!!」


「見に覚え有りませんわ。我が茶会に招いたことなど一度もありませんもの」


クオルナは笑ってビクトリアに否定した。


「そんな……」


ビクトリアは絶望した顔になる。


「妄想も甚だしいな。不愉快だ、我がピアーズ公爵家からも厳粛な処分を要求します」


「我が家からも要求します」


「誠に見苦しいですな」


「えぇ、こればかりは」


「我が王家が罪人を裁く」


ピアーズ公爵家を筆頭にリーグルトの側近である高位貴族達からも要請があった。


ら王太子レビナンスが引き受け、夜会は中断された。


「嘘では御座いませんわ!!」


近衛騎士に引き摺られながらビクトリアは叫んでいた。



三日後。


「ビクトリアは妄想と現実が理解できず錯乱と判断されたのですね。哀れに思った国王陛下がビクトリアを最果ての病院に入院させたとか。ピタン伯爵は責任を問われ伯爵から男爵に降格。ふふ、物理的に首が飛ばなくて良かったわね」


クルオルナは優雅に微笑む。


「甘い我が父に感謝だな。だが、正直者と嘘つきもこれで紙一重だと分かった」


向かい側に座るリーグルトが疲れた顔をして頷いた。


「だから言ったでしょう?普段通りにしろとね」


クオルナは呆れた顔をした。


「とにかく、私は次回作に忙しいから付き合いなさい」


「王子に命令かよ」


クオルナに言われてリーグルトは目を細める。


「シュバルツとリーグルトが結ばれたのは私のおかげでしょう?感謝して欲しいものだわ」


クオルナは髪を搔き上げた。


「はいはい、感謝しますよ」


リーグルトは溜め息を着く。


二人は夕方まで次回作会議をするのだった。


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