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2-6 謎の爆発

「へぇー、冒険者協会は地域によって個性が出るんだな」

「そうですね、バージの街は石造りで堅牢な形、ドロントは色彩鮮やかで派手なつくりをしていますね。その街の特色が現れているのでしょう」


 ドロントの街を奥へと進み、俺とユリは冒険者協会にたどり着いた。

 そして俺は特徴的な冒険者協会の外観に驚かされてたのだ。


 これはかなり面白い発見である。

 俺は小さいころからスタンプラリーのように何かをコンプリートするのが大好きである。

 大学生になったら御朱印集めをしようと思っていたくらいだ。

 だから、冒険者協会が街ごとに特色のある外観になっているというのは非常にうれしい情報である。

 いつかはすべての街の冒険者協会をこの目に収めてみたいものである。


「この街には三日ほど滞在するのですよね」

「あぁ、そのつもりだよ。残念なことに、俺たちの手持ちはそこまで多くない」


 俺とユリの手持ちを合わせて6万円と少し。

 ユリは街の防衛の報酬を多めにもらったが、旅の仕度でかなり使ってしまっている。

 そして俺は、もちろん防衛の報酬はなく、アルスたちと一緒に狩ったゴブリンの討伐報酬しか懐に入っていない。

 そのため、この街では少しでも多くお金を稼いでおきたい。


「ということで、ユリさん頼みます!!」

「はい!!任せてください!!」


 俺の調子の良い言葉にもユリは元気よく応えてくれた。

 冒険者協会で受けられる依頼は、冒険者ランクごとに異なる。

 もちろん高ランクになるほど、報酬の良い仕事が用意されている。

 そして残念なことに、冒険者ランクが二つ以上離れていると一緒に依頼をこなすことができない。

 つまり俺は、報酬の高い依頼をユリにお願いすることになるわけだ。

 もちろん俺もできる限りの依頼は受けようと思う。

 だけど限界はある。

 だからこうして情けない姿でユリに託しているのだ。



---



「それでー、俺は一人で魔物討伐か」


 冒険者協会に張りだされていた依頼の中で、俺が受けられるものはあまり多くなかった。

 その中で最も報酬の良い依頼が魔物討伐であった。

 魔物の種類は不明だが、出現場所から考えてゴブリンの可能性が高い。

 コボルトなら少し面倒といったところだ。


 俺は一人で森を駆けまわりながら周囲に目を配る。

 この森はかなりうっそうとしており、日の光がほとんど入らない。

 こういう森の中では木の陰に魔物が隠れていることが多くある。

 普段より集中力を一段階引き上げる必要があるだろう。


「やっぱりゴブリンか」


 俺は目の前に現れたゴブリンを確認する。


 三匹……

 いや、木の陰にもう一匹。

 合わせて4匹のゴブリンだ。


「魔力は温存させてもらうぜ」


 俺は自身の体に身体強化の魔法をかけてゴブリンへと襲い掛かる。

 最初の一太刀で二匹のゴブリンの頭を刎ねる。

 そして、その勢いを利用し三匹目を方から大きく切り裂いた。

 

「見えている」


 俺は後ろから迫ってきた最後のゴブリンの胸を剣で突き刺す。


「ふー、ここ最近でゴブリン討伐がかなり上手くなったな」


 上位種やゴブリンエンペラーとの戦いを経験し、対ゴブリンの動きがかなり洗練されている。

 それに、俺がバージから使い始めたこの魔剣もかなり体に馴染んできた。

 まぁ、魔剣というには自己修復とかなり地味な効果だが、俺の第二の相棒としてふさわしいかもしれない。

 本当のことを言えば、前の時代にはなかった魔道具の剣をド派手に使ってみたかったが、今の俺の魔力状況では不可能だろう。

 ド派手な剣は、エンチャントで我慢しておこう。


「まだまだ数が足りないな」


 今回の報酬は、討伐した数によって報酬が決まる依頼である。

 ユリにおんぶにだっこにならないためにも、できる限り稼いでおきたいところだ。



---



「15匹目!!」


 俺はゴブリンを狩り続け、ちょうど今15匹目を狩り終えたところだ。

 魔物の種類は不明となっていたが、ゴブリンしか現れていないため特にいじぃおうな状況は起きていないだろう。


 そう考えると、バージの出来事がどれだけ異常事態だったのか理解できる。

 あのゴブリン村にどれだけ悪魔の影響が出ていたのかは正直分からない。

 だが少なくとも、あれだけ規模が大きくなったのは悪魔の影響だろう。

 そしてそれと同じようなことがこれから世界中で起きると考えると、非常にぞっとする状況である。

 俺一人ではどうにもならない状況だ。


 いや、俺一人でどうにかなったことなんてたかが知れている。

 昔も今も変わらず、俺は誰かに助けられている。

 レイ、リン、ザック……そして、ユリ。


 俺の考えが間違っていなければ、今回の脅威は千年前を超えてくるだろう。 

 すべての人が協力しなければいけない。

 だから俺は正直期待しているのだ。

 王都の未来を見通す魔道具が予知した人物が、俺以外のだれかであることを。

 

 新たな勇者の誕生を。


「「ドーン!!!!!!」」

「なんだ!?」


 ものすごい地響きが響いた。

 森の生き物たちが音に驚き、鳥は飛び立ち、小動物は慌てふためいている。


 すでにゴブリンの討伐証拠であるゴブリンの耳は取り終えている。

 俺は耳を袋に入れ、急いで音が聞こえた方へと向かった。



---



「なんだこれは……」


 俺は謎の音の原因にすぐに気が付いた。

 いや、気が付かないというのは無理な話だった。


 クレーターというものだろうか。

 地面が大きくえぐれた場所が見つかった。

 直径30メートルほどがえぐれた更地と化している。


「いったいここで何が起きたんだ?」


 俺は削れた斜面を滑り降りて、中心部へと向かう。


 爆発魔法か?


 俺の頭には様々な可能性が浮かんでいた。

 その中で最も現実的なものが爆発魔法の痕跡である。

 俺が普段愛用している「エクスプロージョン」は、極限まで威力を落として使用している。

 もし俺が本気で、勇者の力を使って放ったのなら、確かにこのような跡を残すことになるだろう。


「ん?これは……」


 俺は中心部分でとあるものを発見した。

 

 骨である。


 一部粉々になっているが、俺はその骨の形に見覚えがあった。

 

「ジャイアントオークの骨だ」


 オークの上位種であるジャイアントオークにかなり近い骨をしている。

 ゴブリンの上位種に続き、オークの上位種とは頭が痛くなる話だが、ジャイアントオークはゴブリンと違い単体でしか行動しないため脅威度はそこまで高くないだろう。


 強さとしてはホブゴブリンに近いだろう。

 そして、この大きな痕跡はジャイアントオークを討伐する際に生まれたものだろう。

 正直言って過剰な威力である。

 魔物が白骨化しているということは、身が残らないほどの火力で魔法を使ったのだろう。

 このレベルの魔法を使うものにしては素人すぎる、だあが素人にしては魔法の威力が大きすぎる。


「まるで、魔法を覚えたてのような……」


 不可思議なことだが、いくら考えても結論は出ない。

 一応冒険者協会に報告はしておこう。

 それ以上に俺がやれることは無い。


「こんなことにかまけているより、魔物を狩らないとな!!」


 今日の俺は資金を調達するという大事な目的がある。

 

 俺はこの謎の出来事は一度頭の隅へと追いやって、魔物討伐を再開した。

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