第四十四話 「奪還作戦 後編」
俺たちは敵兵の奇襲攻撃を何とか乗り越え敵のリーダーがいるであろう街の役所に向かった。
役所の前に着くと周りには敵兵一人いなかった。やけに変だ。普通ならリーダーがいる場所には兵を多く配備するはずなのに…と俺が不審に思っているとダッチさんが
「みんな気を付けろ何かおかしい」
と兵士たちに呼びかけた。やはり、ダッチさんもおかしいと思っているのか...。俺は
「ダッチさんやはり私もおかしいと思います。」
「あぁ。わかっている。感じたことのない気配だ。これは危ない予感がする。」
と中に入った。中は荒らされており、敵兵どころか人っ子一人いない雰囲気で不気味だ。
ダッチさんの指示で俺たちは2階にある役所の中で一番広い大会議室に向かっていった。俺たちが大会議室扉の前に立つと急に寒気を感じた。やはり何かがおかしい。そう感じた。すると、最前列にいた兵士が大会議室の扉を開いた。
次の瞬間、前にいた5人ほどの兵士の首が綺麗に落ちた。俺は何が起こったかわからなかった。周りの兵士たちも何が起きたかわかっていないようだった。俺は開かれた扉の先を見るとその部屋は暗く、真紅のカーペットに覆われており、一番奥の椅子に座りワイングラスを片手にこちらをじっと見つめる少女の姿があった。顔はよく見えなかったが、その少女は俺と目が合うとにやりと笑い口の隙間から少し、牙のようなものが見えた。その少女まるで小説に出てくる吸血鬼のようだ。
俺がその場で凍っているとダッチさんが
「お前が敵兵のリーダーか?」
とその少女に向かって話した。するとその女も
「ええ。好きでやってるわけじゃないけどね」
と答えた。ダッチさんは
「好きかどうかは関係ない。容赦はしない」
と言って兵士たちに出撃させた。出撃させた兵士は約40人。全員手慣れだ。どんな相手でも一瞬で片が付くと思っていた。
だが、瞬時にその少女から放たれた魔術が兵士たちを一瞬で輪切りにした。
「はぁ~。もっと私と遊んでよ。なんで簡単に死んじゃうの?」
と無邪気に放った言葉と残虐な光景に俺は絶望した。ラングもエリーナも恐怖で固まっていた。ダッチさんが
「お前は吸血鬼だろ。太陽が弱点のくせに。偉そうに」
と立ち上がるとその少女の背中には真っ赤なこうもりの翼のようなものが生えていた。
「私は吸血鬼よ。あなたたちは私に勝てない。」
「さぁどうかな?」
「あなたがコンテニューできないのさ!」
と言って手からいくつもの赤色の魔術の弾を放った。ダッチさんはその弾を防ごうと剣を構えた。しかし、その弾はダッチさんに当たる前に爆発し、ダッチさんを吹き飛ばした。
ダッチさんは吹き飛ばされ、壁に激突した。しかし、立ち上がり
「この程度では私は倒せない」
「いいわね。楽しめそう」
と吸血鬼リリスが言いながら兵士の首を切った魔術をいくつも放った。ダッチさんはその魔術を剣で切って防いだが、最後の一発だけは防ぎきれずに魔術を腕に受けてしまった。魔術を受けた腕は完全には切れてはいないようだったが、腕の半分ほどの深さまで切れており、出血がひどい。
すると、ダッチさんは剣を構えリリスに向かって突っ込んでいった。
「きゃははははは!!」
と笑い手に赤い魔術をため、
「これは耐えるかな?」
と笑い赤い魔術を放った。その魔術は一直線でリリスに向かって走ってくるダッチさんに向かって放たれた。両者の距離は20mほど。
赤い魔術とダッチさんが衝突した次の刹那。大きな爆発が起き、役所や周りの建物は丸々消し飛んだ。なんて威力だ...。俺やラング、エリーナは俺の『上級防御』で防いだが、爆発を直接受けたダッチさんの姿はなかった。
俺たちは体が動かない。だが、動かさないと死ぬ。爆発の煙が覚めると目の前にあの真紅の吸血鬼が現れた。
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