第四十三話 「奪還作戦 中編」
もう時間は昼頃だろう。俺達は昼食を済ませた後すぐに、街へ向かった。
道中ではほとんど会話はなく、静かだった。今から戦いに行くのだから仕方がない。
少しすると西側と東側に攻めるチームになって別れた。俺は長官と握手を交わした。これが最後になるかもしれない。そう思いながら握手をした。
道を進んでいくとやっと街が見えた。街は以前よりも荒廃したような雰囲気が漂っていた。
俺たちは西側が攻めるまでいくつかの岩陰に隠れたその時を待った。
5分ほどすると西側から声が聞こえてくる。きっと今戦っているのだろう。俺は西側に戦いに行った者たちの安否を心配した。
ふと、街のほうを見ると東側から敵兵が西側に移動しているのがよく見えた。
俺たちはダッチさんの指示で東側に攻めた。長官の作戦通り兵士の数は少ない。俺は城門に向かって『業火長槍』を放った。城門に直撃すると、巨大な門が一撃で灰になった。
何十人の敵兵がこちれに向かってきた。だが、先頭にいるのはラングやダッチさんだ。そんな一般兵士では手も足も出ない。俺その間に城壁の上にいる兵士を『業火長槍』で倒した。俺たちが街の中に入ると100人ほど兵士が扉の横で待ち伏せていた。俺たちはそれに気が付かずに列の横をつかれたしまった。列は2つに分かれ混戦状態だ。俺は俺に向かってくる兵士を避けてラングたちのいる場所まで来た。ラングたちも倍の人数差には苦戦しているようだった。俺は魔術を放とうとしたときにダッチさんが
「やめろ。今は混戦状態だ。もし、威力の高い魔術を使えば味方が死にかねない。だから今はやめろ!!」
と言われてしまった。ならどうすればいいのだろうか?と思っていると急に俺のほうに斬撃が飛んできた。俺はぎりぎりで避け、斬撃が飛んできたほうを見るとそこには馬のような魔物に乗って2mはあろう大剣を持っている兵士がいた。明らかにこいつが兵士の長だろう。
俺はすかさず『岩石砲』をそいつに向かって放った。だが、すぐにその大剣で真っ二つに切られてしまった。そして、俺に向かって斬撃を飛ばしてきた。俺は『上級防御』でその斬撃を防いだが、また相手は次の攻撃の体制に入っている。
(このままでは…俺は剣士との対戦は苦手なんだよ)
と思っているとラングがナイフでそいつのあごに斬撃を食らわせた。すると
「おい。俺を誰だと思っている。最上級剣士のソーブ様だぞ。俺に傷を入れるなど許さん。俺が我が一族の汚点になるではないか。今すぐ切り殺してやる」
「ソープだか、ソーブだが知らねーが黙れよ」
とラングが言い出した。すると、ソーブが血相を変えて俺たちに襲い掛かってきた俺とラングは俺の『風竜巻』で上に飛んだ。俺はそのまま少し離れたところに着地した。ラングはというとそのまま落下の勢いで真下にいるソーブを切ろうとしていた。
するとソーブは自分の頭上10cmもないくらいのところに来ていたラングの剣を大剣で折りラングごと飛ばしたのだ。俺は剣を振った瞬間が見えなかった。
なんて速さだ...と驚いていると飛んで行ったラングが戻ってきた。
「う~。これが最上級剣士の力か...」
と言ってその場で倒れた。するとソーブがこちらのほうを向いてきた。俺は腰を抜かして『業火長槍』を放った。だが、それもまた大剣で切られてしまった。
そして完全に俺に近づくと大剣を振る体制に入った。俺は
(終わった…)
となっり完全に失禁し走馬灯が見えた。両親のダレンやナヨのこと。グリバッツ国のみんな。聖マーロ帝国立大学のグラヴィス教授やミルフィーのことが一瞬で頭によぎった。
(異世界転生もここまでか...)
と虚無感に襲われ、目をつむると目の前で鉄と鉄が激しくぶつかるような音がした。
俺はなんだ?と目を開けるとそこには大剣を防いでいるダッチさんの姿があった。
「ふん。なかなかに良い太刀筋だ。だが、それでは私は殺せない。お前ができであったことを哀れむよ」
と言って大剣を軽く跳ね飛ばし、跳ね飛ばした隙にソーブの腹に一筋の太刀を入れた。その筋はきれいな一直線であった。
「俺の大剣を跳ね飛ばすだと...この私が…死ぬだと…我が家の恥なってしまうではないk...」
腹に致命傷を負ったソーブはそのまま後ろにのけぞりかえり地面に落ちた。
俺はふぅ。と一安心するとダッチさんが来て
「大丈夫か。あと敵の兵も少しだ。このままなら勝てる。さぁ。ラングを起こしてあげてくれ」
「わかりました」
俺は立ち上がりラングを起こしに行った。俺がラングの体を見るとひどいけがだ。体中に深い切り傷があり、出血もひどい。このままでは死ぬだろう。俺は急いで『最上級回復』を使った。この魔術は初級魔術の『回復』の最上級魔術版で死んでさえいないならどんな怪我も一瞬で回復することができる。
『最上級回復』を受けたラングは瞬時に体の傷が癒え、
「ん~?」
と特に何もなさそうに起きた。
俺はラングが起きたのでまだ敵兵と戦っているであろう後ろ側に向かって走っていった。
後ろのほうはエリーナがいるはずだ。大丈夫だろうか?あのエリーナのことだ。きっと俺たちと別れて泣いているだろう。と思いながら向かうとそこには敵兵の死骸が山のように積んであった。俺は何が起きたんだ?と思いエリーナを探すとダッチさんが俺近づいてきて俺に
「おお。ラングは大丈夫だったか?」
「ええ。『最上級回復』を使ったので大丈夫でした。ところでエリーナは?」
「あの娘なら、あそこで座り込んでいたぞ。きっと疲れたんだろう。俺も久しぶりにこんな戦いをしたから疲れた」
と言われ一安心した。てか、最上級剣士であるソーブを軽々と倒しそのあとすぐにあの数の兵士を俺が来る間の少しの時間で倒したのか。ダッチさんは何者なんだ?
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