第十九話 「フローズンドラゴン1」
俺たちは、ついに山頂付近へと辿り着いた。
「はぁ……着いた……。やっとだよ……」
息を切らしながら、俺はその場に立ち尽くす。
この辺りに『宝石聖竜』がいると聞いているが、山頂付近といっても、想像以上になかなか広い。
しかも天候は最悪。
雪と霧が視界を遮り、遠くまで見渡すことができない。
周囲には、同じ目的を持った冒険者パーティーがいくつもいた。
俺たちも周囲を警戒しながら捜索を続けていると、近くに大きな洞窟を見つけた。
「なんだ、この洞窟?入ってみよう」
俺が一歩洞窟に入ろうとした時だった。
奥から20mはあろう一匹の真っ白なドラゴンがゆっくりと出てきた。
「...っ!!」
あまりの威圧感に、俺は思わず腰を抜かしてしまう。
だが、すぐに歯を食いしばって立ち上がり、周囲を見渡した。
吹雪の向こうで、他のパーティーもその存在に気づいたらしく、ざわめきが広がっている。
俺はサヴァたちと合流し、ドラゴンの様子を観察した。
ドラゴンは他のパーティーに向かって、氷のブレスを吐いている。
それを見て、ランスターが低く呟いた。
「くそっ。『氷結聖竜』かよ...」
『氷結聖竜』は、縄張り意識が強いため、この山頂付近に多くの人が近づいたせいで、襲ってきたらしい。
目的の『宝石聖竜』ではないが、いつ俺たちが襲われてもおかしくない。
俺たちは討伐することにした。
「やるしかないのか...」
サヴァが険しい顔で言った。
「『氷結聖竜』は、Aランク級の魔物のため、慎重に行動しろ」
だが、ドラゴンとは言えども所詮は氷属性の魔物。
氷属性の弱点は炎だ。
俺は、全力の『業火長槍』を放った。
轟音とともに爆風が吹き荒れ、吹雪と煙でドラゴンの姿が見えなくなる。
「やったか…?」
しかし、爆風の煙が晴れると、そこには全くの無傷の『氷結聖竜』がいた。
はっ?
俺の放った『業火長槍』なら、1つの小さな山程度なら、焦土と化すことができるはずだ。
それが効いていないだと...?
次の瞬間、ドラゴンが大きく息を吸い込んだ。
ガルゥゥゥゥーーー!!
氷のブレスが放たれる。
やばいっ!!
俺は即座に『風竜巻ウィングストーム』で回避した。
だが、その俺の後ろにいた別パーティーの男が、直撃を受けた。
一瞬で、男は氷漬けになった。
……次の瞬間。
パキン、と音を立て中の男ごと、氷が砕け散った。
血も、肉も、何も残らず。
それを見た俺は、目の前が真っ白になった。
その時、ランスターの大声が響いた。
「気を付けろ!『氷結聖竜フローズンドラゴン』のブレスは、原子レベルまで凍らせる!当たった部位は、その瞬間に消滅する!」
はっ?原子レベルまで、凍らせる?
そんなこと……あり得るのか?
俺の頭は恐怖と混乱でぐちゃぐちゃになった。
登場生物紹介
【フローズンドラゴン】
種族:ドラゴン属
体長:20~25m
ドラゴンの中でも大型で、なおかつ強力な氷のブレスを吐き、炎属性の攻撃無効のバフがかかっているため、対策なしではA級パーティーでも全滅することが多々ある。生息域は雪山などの極寒地域に限る。
読んでくれてありがとうございます!もし、気に入ってくださった方はブックマークや★5評価、感想、リアクションをいただけると励みになり嬉しいです。また、誤字脱字等あれば報告してくれると助かります!
X(旧Twitter)もやっているので是非フォローやコメントしてください!アカウントはこちら→@gari_221




