第十八話 「ランスターの過去」
俺たちはアルマダ山脈のふもとにあるキャンプ場にいた。
御者と別れた後俺たちはキャンプ場の売店で一通りの必要な装備品を買っていざ向かおうとしていた。
ふと、周りを見渡すとギャバスがいなくなっていた。
俺はそのことをサヴァに伝えるとすぐに探すことになった。
俺たちはギャバスを探していると俺は売店の店頭に置いてある魔法の杖に気が付いた。
その杖は先端には虹色に輝く魔法石がついており、俺は完全に見とれてしまった。
そのまま俺も杖欲しいな~とずっと見ていると後ろからサヴァが話しかけてきた。
「おい!何をしているんだ?ギャバスも見つかったし、さっさと行くぞ。」
「ちょっと待ってよ」
「はあ?お前が行きたいって言ったんだろ?」
「けどここに来ることになったのはサヴァの責任じゃん」
「うるせぇ!行くぞ」
と怒られて後ろの襟を引っ張ってミラのいるところに行くことになった。
最後に見えたのはその杖値札だった。
値段は1000マーラと書いてあった。
俺はこの値札を見て『宝石聖竜』を討伐したら購入すると誓った。
ミラたちのいるところにつくと、
「さあ、いくわよ!」
と元気そうに言ってきた。
俺たちは脛の真ん中まで雪が積もっていった斜面をひたすら上った。
前世は東京出身の俺からすると大変過ぎた。
30分もすると息が上がってその場に座ってしまう。
少し休憩していると急に天気が悪くなり、吹雪で10m先でさえも見えなくなってしまっていた。
俺たちが寒さで凍えているとランスターが
「このまま歩くのは危ない、とりあえず寒さを守るためにもかまくら作るぞ」
と言った。
次の瞬間ランスターがなんらかの魔術を使って周りの雪でかまくらを作ったのだ。
俺たちはそのかまくらの中に急いで入った。
中に入ると意外と広く暖かい。
夜になり俺はふと、ランスターに聞いてみた。
「ランスターさんてっ魔術得意なんですか?私の知らない魔術を使っているようなので」
「魔術が得意とかと言うより俺も魔術師だからな。ちなみにランクはお前と同じ最上級魔術師だ」
「えっ?最上級なんですか」
「俺の使っている魔術のほとんどは昔軍隊にいた頃に使っていた魔術だ」
軍隊にいたなら俺の知らない魔術を使っていても不思議ではない。
おれがまた質問をしようとすると。
「えっ!軍隊いたんすか?」
と食いつき気味にギャバスが話に入って来た。
「お前も軍隊に興味があるのか?」
「はい。憧れの存在です。」
「憧れるもんじゃないぞ」
「え?なんでですか?」
とギャバスが聞くとランスターは、マントに隠れていた右腕を見せてくれた。
そこには、肘から下は無くなっていた右腕があった。
ギャバスが
「これは20年前のハンダール平原の戦いのときに負った怪我だ」
俺がハンダ―ル平原の戦いとは何かと聞くとギャバスが、
「ハンダールの戦いはヴァルデリア大陸の大半を支配している最強の魔帝ヴァルデリアが率いる魔族軍とグリバッツ国軍が戦った戦いだ。まあ、実際に軍を率いていたのはヴァルデリアではないから案外簡単に追い返したそうだぞ」
と熱く語ってくれた。
ランスターが
「そうだが、少し違う。確かに軍を率いていたのは魔帝ヴァルデリアではないが、軍を率いていたのは魔帝ヴァルデリアの手下最強の『破壊のロージョン』だ。そして俺はそいつと戦ってこの傷を負った」
「え?破壊のロージョンが率いていたんすか?そんなのきいたことがないな」
「政府が発表しなかったからな。混乱を避けるためだろう。これだから軍隊は嫌なんだ。さあ、寝るぞ」
といいそのまま寝た。
俺もそのまま寝た。
次の日
かまくらの隙間から入る光で目を覚ました。
外を見ると吹雪は止んでいるようだ。
サヴァたちを起こして外に出ると、一面キラキラと雪が光っていた。
俺たちは急いで『宝石聖竜』がいるとされる山頂付近へ向かった。
読んでくれてありがとうございます。もし、気に入ってくださった方はブックマークや評価をしていただけると励みになり嬉しいです。




