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四十八話 地底都市です!

 これは驚いた。洞窟の中に町があるのだ。それも、外にあるのとおよそ変わらないほどの文明レベルだ。洞窟の中だからか、普通よりも数段明るい街灯がそこかしこで煌々としているのが眩い。


 俺たちが呆気に取られていると、案内をしてくれたNPCは町へと降りていく。眼下の階段を降りていけば、そのまま町の通りに繋がるのだ。


 俺たちはズンズン進んでいく彼に追いついた。


「あの、これは?」


「おや、こんにちは。ようこそN2へ。」


「あ、え? いや、俺たちはどこに行けば?」


「おや、こんにちは。ようこそN2へ。」


「はい?」


急に話が通じなくなった。


「ロータスさん、多分案内が終了したんですよ。ほら、NPCだから。」


ああ、そういうこと。イベントが終わると他人に戻るやつか。でも、面と向かってやられるとなかなかキツいものがあるな。


 しかし、一番困るのは案内してもらえないことだ。自分たちで、この町を探索してどこがどこだか調べていかなくてはならない。


「ここが町ということは、ギルドがあるんじゃないでしょうか?」


そうだ、どのエリアにもギルドはある。それさえ見つければ、なんとか今後のめどが立ってくる。


 相変わらずマップは機能していないけど、ギルドは目視でも大体推察できた。


「あのデカイのでしょう。」


トルクが指さしたのは、町の中央にある巨大な建物。一つだけ桁違いに大きな建物なので、何か重要なものであることは容易に察せられた。


 街にある、簡易マップを見てみると、その巨大な建物に行くには、メインストリートを道なりに行けばいいとのこと。


「しかし、不思議ですね。こんな町、現実じゃありえないですよ。」


「ううん、昔の文明で地底に町を作ったのを聞いたことがあるよ。もっとも、こんな高文明の町を作っているのは前代未聞だけどね。」


地底都市で聞いたことがあるのは、アリの巣のような、細い通路を通わせて、所々に作った小部屋を使うというもの。


 しかし、このN2は、巨大空間にそのまま一つの都市がすっぽり入ってしまっているのだ。町だけを見ると、ゲーム内で今までに行ったことがある町の中で一番都会だ。


 メインストリートも随分と広く作られていた。


「ロータスさん、トルクさん。武器屋がありましたよ!」


「いや、まだだよ。先にギルドに行って色々情報を集めないと。」


とはいえ、心惹かれるのは確かだ。ここがN2だと言うのなら、Wでは見ることが出来なかった武器に出会うことができるかもしれない。


 ギルドに行ったあとでこちらにも立ち寄ろう。


「遭難したせいで忘れていましたけど、N2だってW3だって新エリアってことには変わりないですよ。」


そういえばそうだ。となれば、もっと楽しんでもいいのか。いや、そもそもゲームなんだから楽しんで当たり前なのだけど。


 中央の巨大な建物は、やはりギルドだった。だけど、それだけじゃないらしい。


 ギルドは建物の3階までだった。それより上は違うらしい。


「とりあえず中に入ってみましょう。」


トルクに続いて俺たちもギルドの中に入った。




 ギルドの受付はすぐに見つかったのだが、困ったのはその後だった。


「え! 俺たちのパーティーが登録されていない?」


少し話を聞こうと思っただけなのだが、ギルドにパーティー登録がなかったのだから、それどころではない。


 困った。どうして登録がなくなっているのかは分からないけど、登録なしじゃ何もできない。クエストを受けることも、イベントに参加することも。何より、ここから次のエリアに進むことができなくなってしまうのだ。


「これは困ったぞ。」


「あ、そういうことか。」


 トルクは何やら気づいたようで、一人で合点していた。


「なにかわかったの?」


「登録されていないのは当たり前ですよ。だってここ、ノースエリアですから。」


ああ! そうだった。忘れていた。俺たちはウエストエリアから、ノースエリアまで来てしまった。


 俺たちのギルド「バグ・バンデット」は、ウエストエリアの全てのギルドには登録されている。しかし裏を返せば、ウエストエリア外のギルドには当然ながら登録なんてされていないのである。


 これは思ったより面倒くさそうなことになった。俺は受付のお姉さんにダメ元で聞いてみた。


「実は俺たち、ウエストエリアから遭難してここに来ているんですけど、戻ることってできませんか?」


「ええ! それは、ほんとうですか?」


お姉さんは驚き、慌てた。少しあたふたしたあとに、若干正気を取り戻して、


「少し時間をください。聞いてみますので。」


と、奥に消えていった。


 待っている間、ミヤビは一人で掲示板を漁っていた。


「クエスト見てても、どうせ受けられないんだぞ?」


「いいんですよ。見ているだけでも楽しいですから。」




 お姉さんが帰ってくる前に、通知が鳴った。通知が来る時は、運営からだ。


「運営より


 バグ・バンデット様 こちらの手違いで、違うエリアに 飛ばされてしまったこと、深くお詫びいたします。」


このゲーム、ほんとこういうの多いよな。


「つきましては、あなた方に5,000ゴールドをお送りするほか、「W3に行く」か、「N2に留まる」かの選択権を差し上げます。N2に留まった場合は、パーティーをノースエリアに移籍することで今まで通りプレイしていただけるようにしますのでご安心ください。」


これはまた、悩ましい選択だ。





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