150、魔人オカマの最後
150、魔人オカマの最後
「ヒエーッ! あいつら、なんちゅうことを……やってくれたヴェ」
レパリアンで魔人オカマを修復し、どこかへ飛び去ってしまった三種の神器様達が慌てふためいているここは、天界の大広間。
そこにある直径1メートルほどの水晶玉のような球体に、リーちゃん達の戦いの様子が映し出されていた。
その様子を見守っておられたヒエール様は、水晶玉にへばりつき、ガクッと膝をつかれた。
「幽体離脱した家電達がバビエオして生まれた新製品に、タマシールを貼った?……!」
「ヒエール殿、いったい何が起こるダォ?」
「レジャズベは、いつまでも新製品『洗濯炊飯機能付き空飛ぶ冷蔵庫』のままでいることはできないヴェ。バビエオを解き魂が個々の家電達に戻る時、タマシールは5つに引き裂かれ……」
「どうなるんだボー?」
ブラウン様とペタンコ様に問い詰められたヒエール様は首を横に振った。
「創った我も思いつかないような使い方をしたのじゃ、何が起こるか我にも分からないヴェ」
「そんな……」
「ボー」
見た目はおもちゃのシールのようだが、それは神が創った霊験あらたかな神具。家電製品に2枚貼っただけでも、家一軒が吹っ飛ぶような爆発が起こるという。
それが今回のように無茶苦茶な使い方をすれば……地球に深刻なダメージを与えるような爆発が起こるか、はたまた何も起こらないか? その反動の大きさはヒエール様にも分からないらしい。
ペタンコ様は不安そうな顔でヒエール様に尋ねた。
「ヒエール殿、何とかリーちゃん達だけでも助けることはできないのかボー」
「我らは神故に、手を貸す訳にはいかないヴェ……いや待てよ、あの方なら」
そう言ってヒエール様は、ブラウン様とペタンコ様の顔を見つめて頷いた。
「そうだォ、多分もう気づいておられるダォ」
「きっと、えこひいきしてくれるボー」
三種の神器様達は、再び水晶玉を覗き込んだ。
「あっ、その声は五重丸! そうなのね」
「どこにいるんだよ、テレビなんてどこにもいないぜ」
新しいタマシールで再び魂を定着された五重丸は、五重丸としての記憶がまだ残っている死にたてのホヤホヤだったため、リーちゃん達の記憶の中に再び蘇ったのだ。しかし声は聞こえるが姿が見えない。リーちゃん達はキョロキョロと五重丸を探した。
「みんな、もう大丈夫だよ。ほら、魔人オカマはもう何もできないよ」
レジャズベ、いやレジャズベ+5は、剥がれて落ちていったオカマのタマシールのところへゆっくりと降りリーちゃん達を呼び寄せた。
能力を使い果たした魔人オカマのタマシールは、ボロボロと崩れはじめた。本体を持たずタマシール自体に魂が定着しているため、もうこのまま消えてしまうのだろう。大量の蓄電池ももう爆発することはない。
「何かあっけないな。もっとこう、グワーッと戦って倒したかったな」
サンヨーはそう言ってオカマのタマシールを踏みつけようとした。それを見たレジャズベ+5はサンヨーのマントをつかみ、止めさせた。
「わっ、何すんだよ」
「直接手を出すと何かするかもしれない、離れて見ていよう」
みんなは、五重丸の言うとおり、オカマのタマシールを中心に輪になって、警戒しながら最後を見守った。魔人オカマの消えそうな声が聞こえる。
「うぅっ……残念だがもうここまでのようだギャ、お前らを道ずれに派手な最期を飾ってやろうとしたんだがな……おい、サンヨー」
「な、何だよ」
「お前らも、オレという敵がいなくなったら、もうヒーローごっこが出来なくなるギャ、残念だろ」
「あ~そりゃそうだ」
ペシッ
「あっ痛っ! 何すんだよ香織!」
リーちゃんはムッとした顔で、後ろからサンヨーの頭をひっぱたき、文句を言った。
「冗談じゃないわよ! 大体アンタが勝手ににタマシールを使ったりするから、こんなめんどくさい事になったのよ、町だってめちゃくちゃに……」
「まぁまぁ、ケンカするなギャ……オレが言うのも変だが仲良く……おい五重丸」
「ん?」
「お前が戻ってきてくれてよかった……安心して……逝ける……ギャ」
そう言い残し、魔人オカマのタマシールはグスッと崩れ、塵のようになり消え去った。
「何だ、どういうことだ? おい」
「五重丸が戻ってきて安心だ、とか言ってたよな。どういうことだよ五重丸」
「さあ? さっぱり分からないよ」
言われた五重丸も首を傾げ、これでもう終わったの? と、みんなが思っていたその時。
ズーーーン!
「ハッハッハーッ、みんな無事かイェーイ!」
「わーっ! サンチ様っ?」




