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シーズン2 第6話:甘い蜜と、張り巡らされた毒針

『没落貴族から大企業の御曹司に転生した俺、前世の知識と裏工作で裏金(年22億円)を稼ぎつつ、冷徹な婚約者を捨てて純愛を掴み取る』シーズン2、第6話をお届けいたします!


起業家交流会で接触してきたブラックウェル財団の刺客・ジュリア。

甘いハニートラップとスイートルームへの誘い——古典的だからこそ強力な毒針に対し、晃と結衣の「最強のタッグ」が完璧なカウンターを叩き込みます!


「気弱で冴えない御曹司」の演技で完璧に油断させ、スイートルームで仕掛けられるハッキングを逆に利用して敵の本拠地サーバーへ逆侵入!

圧倒的な暗黒智略で返り討ちにする、爽快な逆ハメ&手玉取り劇をどうぞお楽しみください!

「名ばかりの御曹司、だなんて。一条晃様の卓越した事業センスは、ヨーロッパの投資家の間でも密かに話題になっておりますのよ?」


会場の眩い照明の下、刺客ジュリアは艶やかな笑みを浮かべ、手に持ったグラスを俺のグラスに軽く打ち鳴らした。澄んだ音が響く。


彼女の着ている漆黒のドレスからは、計算し尽くされた高級な香水の香りが漂ってくる。男の警戒心を解き、理性を狂わせる「甘い蜜」の毒だ。


「はは、買い被りだよ。俺は父さんの決めた方針に従って、ハンコを押しているだけさ」


俺はあえてグラスを口元に運びながら、少し頬を赤らめて「酒に弱く、美人に気圧された気弱な御曹司」を完璧に演じきる。


ジュリアの瞳の奥で、嘲笑の色が微かに揺れたのを俺は見逃さなかった。


(——かかったな。俺をただの甘ちゃんとして舐めてくれている)


「実は晃様、私どもブラックウェル財団は、一条グループ様との合同で『次世代技術ファンド』の設立を検討しておりまして……本日はその特別なお誘いに参りましたの」


ジュリアはすっと距離を詰めると、吐息が耳元にかかるほどの至近距離で囁きかけてきた。彼女の指先が、俺のジャケットの胸元をなぞる。


「西園寺家のような古い体質の企業ではなく、晃様のようなお若いリーダーと、世界規模の大きなビジネスがしたいのです。……二人きりで、もっと詳しいお話をさせていただけませんか? 私の宿泊しているホテルのスイートルームで」


絵に描いたようなハニートラップ。部屋に誘い込み、酒や薬で意識を奪うか、あるいは密室でプライベートなデータ端末に直接物理ハッキングを仕掛ける気だろう。


前世の貴族社会でも、この手の使い古された手口で失脚していった哀れな男たちを何人も見てきた。


「ス、スイートルームで……かい? ジュリアさんのような美しい人と二人きりなんて、なんだか緊張してしまうな……」


俺はドギマギしたフリをしながら、ポケットの中でスマートフォンを二回、軽くタップした。それが、隠れて待機している結衣への「作戦開始」のサインだった。


「ふふ、可愛いお方。大丈夫ですわ、優しくエスコートいたしますから」


ジュリアが勝利を確信したような密やかな笑みを浮かべた、その時——。


『……晃様、聞こえますか』


インイヤーイヤホンから、結衣の静かだが冷徹な声が届いた。


『ジュリアのスマートフォン、ならびに彼女が所持している超小型ハッキングデバイスのIPアドレスを特定。提示されたダミーファイルへのアクセス権限を「限定付与」しました。彼女がスイートルームに晃様を連れ込んだ瞬間に、彼女のバックにいるブラックウェル財団のメインサーバーへ逆侵入を開始します』


結衣の手腕は完璧だった。俺がジュリアを引きつけている間に、結衣は会場のフリーWi-Fiを経由して敵の端末に潜入、こちらが用意した「罠のダミーデータ」を敵自らに持ち帰らせるよう誘導していたのだ。


「……じゃあ、行こうか、ジュリアさん。君となら、素敵な夜になりそうだ」


「ええ、喜んで……晃様」


俺はジュリアにエスコートされるフリをしながら、会場を後にした。


ホテルの最上階、ラグジュアリーなスイートルーム。


部屋に入るや否や、ジュリアは「お飲物を用意しますね」とワイングラスを取りにバーカウンターへと向かった。その背後で、彼女のバッグから微かな機械の作動音が漏れている。彼女の端末が、俺が胸ポケットに仕込んでおいた「偽の22億円裏金ルート」のデータを急速ダウンロードし始めた音だ。


「どうぞ、晃様。特別なワインです」


ジュリアが怪しげな笑みを浮かべて差し出してきたグラス。そこには当然、強力な睡眠薬が仕込まれている。


だが、俺はグラスを受け取ると、そのままテーブルに放置し、ソファーに深く腰掛けた。


「……晃様? お飲みにならないのですか?」


ジュリアの眉がぴくりと動く。俺は先ほどまでの「気弱な御曹司」の表情を完全に消し去り、脚を組んで冷酷な笑みを浮かべた。


「喉は乾いていないんだ。……それよりジュリア、ダウンロードの進捗はどうだい? そろそろ80%を超えたあたりかな?」


「な……ッ!?」


ジュリアの顔から、一瞬で余裕の笑みが剥げ落ちた。彼女は素早くバッグから端末を取り出し、画面を凝視する。そこには——


『警告:逆アクセス検出。ローカルサーバーのデータが外部へ転送中』


「な、なにこれ……!? データのダウンロードじゃない……逆ハッキング!? 財団のメイン口座情報が抜き取られている……!?」


ジュリアは絶句し、震える手で腰元の護身用ピストルに手を伸ばそうとした。


だが、それより速く——スイートルームのドアが静かに開き、黒いスーツに身を包んだ俺の裏の私兵たちが雪崩れ込んできた。一瞬でジュリアは取り押さえられ、床に組み伏せられる。


「くっ……! あなた、一体……『冴えない御曹司』じゃなかったの……!?」


床に平伏したジュリアが、憎悪と恐怖に満ちた瞳で俺を見上げて叫ぶ。


俺はソファーから立ち上がり、彼女の目の前でしゃがみ込むと、冷ややかな瞳で見下ろした。


「ブラックウェル財団によろしく伝えてくれ。『俺の22億円に手を出すには、命がいくらあっても足りない』とな」


俺は彼女の端末を足で踏みつぶし、哀れな刺客の目の前で、不敵な笑みを浮かべた。

第6話をお読みいただき、ありがとうございました!


ハニートラップに引っかかったフリをしつつ、裏では結衣ちゃんとの完璧な連携でジュリアどころかブラックウェル財団のメイン口座情報まで吸い上げる晃のドSなダークヒーローっぷり、いかがでしたでしょうか!

「喉は乾いていないんだ」からの表情一変シーンは執筆していても最高にスカッとする瞬間でした。


ですが、これで黙っているようなブラックウェル財団ではありません。刺客を返り討ちにされた欧州の闇貴族たちが、次なる本格的な攻勢に出てくることは必至です。


そして、影で晃の超優秀なバックアップを担当した結衣ちゃんとの信頼関係もますます揺るぎないものに!


「一瞬で立場が逆転する展開が気持ちいい!」「結衣ちゃんのオペレーター能力が高すぎる!」「次のブラックウェルとの全面戦争が気になる!」と思っていただけましたら、ぜひ評価やブックマーク、感想などで応援していただけますと幸いです!


次回、第7話「宣戦布告と、譲れぬ温もり」。

追い詰められた財団との次なる対局が始まります! どうぞお楽しみに!

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