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シーズン2 第2話:華やかな宴と、張り巡らされた罠

『没落貴族から大企業の御曹司に転生した俺、前世の知識と裏工作で裏金(年22億円)を稼ぎつつ、冷徹な婚約者を捨てて純愛を掴み取る』シーズン2、第2話をお届けいたします!


合同パーティの会場で、ついに牙をむいた晃。

表向きは「冴えない御曹司」として蔑まれ、大切な結衣までをも侮辱されながらも、裏では冷静に着々と罠を張り巡らせていました。


スピーチ原稿を破り捨て、会場の大型スクリーンに映し出されたのは、西園寺グループを破滅へと導く「裏帳簿」の全貌——!

高慢な婚約者・エリザの余裕が崩れ去る、爽快な大逆転劇(ざまあ)の開幕をどうぞお楽しみください!

巨大ホテルのグランドボールルーム。絢爛豪華なシャンデリアが眩い光を投げかける会場には、政財界の重鎮やセレブリティたちがひしめき合っていた。


今夜は「一条グループ」と「西園寺グループ」による、次世代先端技術事業の合同提携パーティ。


「おい見ろよ、一条家の御曹司だ……相変わらず冴えない顔をしているな」

「噂じゃ、西園寺家の高嶺の花・エリザ様に頭が上がらないらしいぞ」

「まあ、親の七光りで持ち上げられているだけの飾りのような男だろ」


壁際に佇む俺——一条晃(いちじょう あきら)に向けられるのは、隠そうともしない嘲笑と蔑みの視線。俺は手に持ったグラスのシャンパンを静かに傾け、頼りない笑みを浮かべて見せた。


(せいぜい笑っておくがいい。お前たちが崇めるこの華やかな宴の裏で、どれほどの暗黒の金と情報が動いているかも知らずにな)


俺の耳に装着された超小型のインイヤーイヤホンから、ノイズ混じりの低い声が届く。


『晃様、裏のデータリンク接続完了しました。会場内の西園寺グループ幹部全員の端末、ならびにメインサーバーへの侵入に成功しています』


声の主は、会場から遠く離れたセキュリティルームでバックアップを担当している白石結衣(しらいし ゆい)だ。普段の可憐なメイドの姿からは想像もつかないほど、彼女は俺の叩き込んだ裏工作の手順を完璧にこなしていた。


「よくやった、結衣。体調は大丈夫か?」


グラスに口をつけ、囁くような声で応答する。


『はい、問題ありません……! 晃様こそ、あの方たちに酷いことを言われて……お辛くはありませんか?』


心配そうな結衣の声に、俺の口元が自然と緩む。


「平気さ。ライオンは羊の鳴き声に腹を立てたりしない。それより、予定通り西園寺グループの『裏帳簿』の最終ロック解除を進めてくれ」


『承知いたしました。……晃様、ご用心を。エリザ様が向かわれます』


視線を向けると、人混みを割って一人の女性が歩み寄ってくるのが見えた。


胸元の開いた真紅のドレスに身を包んだ、西園寺エリザ。完璧に計算されたメイクと美しい容姿だが、その瞳には周りの人間すべてを見下すような冷徹な光が宿っていた。


「晃。相変わらず壁際で地味に縮こまっているのね。みっともないわ」


エリザは俺の目の前に立つと、開口一番、嫌悪感を隠そうともせずに吐き捨てた。


「やあ、エリザ。今夜の君は一段と美しいね。……俺にはこの華やかな雰囲気が少し眩しすぎてね」


あえて視線を泳がせ、気弱な男を演じる。エリザは心底呆れたようにため息をついた。


「お世辞すら下手くそね。言っておくけれど、今夜のスピーチ、あなたのお父様から『晃に任せる』と言われたからって、変な真似はしないでちょうだい。我が西園寺グループの株価に響くような無能ぶり晒したら、婚約破棄どころじゃ済ませないわよ?」


「分かっているよ。原稿通りに読むだけさ」


「フン、最初からそうしていればいいのよ。……それから昨日の件、あの貧乏メイドはちゃんと処分したのでしょうね?」


エリザの言葉に、俺の胸の奥で冷たい炎が燃え上がった。だが、顔には張り付いたような弱々しい笑みを維持する。


「結衣のことなら、今夜は自宅で待機させているよ」


「当たり前でしょ。あんな底辺の女、我が西園寺家の視界に入るだけで不潔だわ。パーティが終わったら速やかに解雇通知を出しなさい。断ったら、西園寺家の力を使ってあの女の家族ごとこの街から追い出してやるわ」


勝ち誇ったように嘲笑うエリザ。彼女は信じ切っているのだ。一条家という看板の陰に隠れた「冴えない御曹司」の俺を、いつでも踏みつぶせる存在だと。


(可哀想に。お前が踏みつけようとしているのは、地雷だとも知らずに)


その時、会場の照明がわずかに落ち、メインステージのスピーカーから司会者の声が響き渡った。


『皆様、お待たせいたしました! 本日のメインイベント、一条グループおよび西園寺グループによる新事業提携の発表です。ご登壇いただきますのは、一条グループ次期後継者・一条晃様です!』


パラパラとした、気乗りしない拍手が会場を包む。


「……行きなさい、晃。噛まないように注意することね」


背中を押すエリザの言葉に、俺は控えめに頷いた。


「ああ、行ってくるよ。……エリザ、最高の『発表』にして見せるよ」


「は? 何言っているの……」


エリザの不審そうな顔を背に、俺はゆっくりとステージへの階段を上った。


マイクの前に立ち、会場を見渡す。政財界の重鎮たち、俺を蔑むエリザ、そして西園寺グループの幹部たち。


俺は胸ポケットから、用意されていたスピーチ原稿を取り出した。そして——全員の目の前で、それを綺麗に二つに破り捨てた。


会場に、ざわめきが広がる。


「……おい、何をしているんだあいつ?」

「原稿を破いたぞ!?」


エリザの顔が瞬時に怒りで赤く染まり、ステージ下の袖から俺を睨みつけるのが見えた。


俺はマイクを引き寄せると、これまでの「気弱な御曹司」の面影を完全に消し去り、低く、圧倒的な威圧感を孕んだ声で語り始めた。


「皆様、本日はお集まりいただき感謝いたします。……ですが、予定されていた退屈なスピーチは取りやめにさせていただきます」


俺は不敵な笑みを浮かべ、西園寺グループの社長であるエリザの父親、そしてエリザへと視線を向けた。


「今夜お届けするのは……西園寺グループが誇る、年間数十億円規模の『裏帳簿』と、海外ダミー会社を通じた粉飾決算の全貌です」


その瞬間、グランドボールルームの巨大スクリーンが眩しい光を放ち、暗号化が解除された流用資金の流れと、不正な取引記録のリストが鮮明に映し出された。


会場が、静まり返った。

第2話をお読みいただき、ありがとうございました!


結衣ちゃんを陰から侮辱しまくるエリザに対し、原稿をビリビリに破いて「はい、詰みです」と宣告する晃の圧倒的ダークヒーロー感が炸裂した回となりました。22億円の裏金ネットワークで仕掛けたトラップが、見事に炸裂しましたね。


次回、第3話「崩れ去るプライドと、宣告」。

公開処刑された西園寺家とエリザの悲鳴、そして晃による容赦なき怒涛の追撃が始まります!


「スカッとした!」「エリザの顔芸が楽しみ!」「結衣ちゃんとのタッグ最高!」と思ってくださった方は、ぜひ評価やブックマーク、感想をいただけますと嬉しいです! 次回の更新もどうぞお楽しみに!

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