外伝第11話:「セキュリティー・ゼロの危機」
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グループ傘下の企業で起きたうっかりミスによる情報漏洩の危機を、治臣がわずか三十秒かつ被害ゼロで完全にねじ伏せるプロフェッショナルな手腕を描くエピソードです。主人公の圧倒的な対応力と緊張感をお楽しみください!
西園寺グループ傘下にある大手物流企業「東都ロジスティクス」のオフィスで、青ざめたシステム管理者が頭を抱えていた。
事の発端は、ベテラン社員の単純なヒューマンエラーだった。新しく導入された顧客管理システムのテスト環境において、外部接続のファイアウォール設定を誤って「全開放」のまま放置してしまったのだ。
その隙を突くように、海外のハト派を装ったデータブローカーが侵入し、数万件に及ぶ顧客の機密データが闇市場へ流出寸前の状態に陥っていた。
「どうしよう……! このままでは外部に情報が漏洩して、グループ全体の信頼が失墜してしまう……!」
管理者が冷や汗を流しながら本社へ緊急連絡を入れるより早く、その異常はすでに西園寺グループ本社のプライベート・ラボに直結している治臣の監視網にキャッチされていた。
モニターを見つめる治臣の瞳に、鋭い光が宿る。
「……愚かしい。一つの油断がどれほどの破滅を招くか、身をもって教えてやるとしよう」
治臣はキーボードを叩き出す。その手元は、音すら置き去りにするほどの凄まじいスピードだった。彼は外部のハッカーが侵入しているバックドアを瞬時に特定し、逆方向から数重の強力な暗号化パケットを叩き込んだ。
データブローカー側のサーバーで、突如としてすべてのモニターが赤く染まった。侵入者たちが慌ててデータを持ち出そうとした瞬間、彼らの端末自体が治臣の仕込んだ強制クラッシュ・プログラムによって完全に焼き切られ、ブラックアウトした。
持ち出されかけた数万件のデータは、一バイトたりとも外に出る前にすべて回収され、さらに元のデータベースへと安全に巻き戻された。
その間、わずか三十秒。
東都ロジスティクスの管理者のパソコン画面に、突然一枚のファイルがポップアップ表示された。そこには「セキュリティー設定の不備」を指摘する簡潔な警告文と、二度と同じミスを起こさないための修正コードのすべてが記されていた。
数分後、東都ロジスティクスの役員から治臣に震え声の報告が入る。
「じ、治臣さま……! 外部からの大規模な情報漏洩の危機が確認されましたが、なぜか一瞬で自動修復され、流出ゼロで食い止められました……!」
治臣は冷ややかなトーンで一言だけ言い放つ。
「社内のセキュリティ意識の甘さは後日厳しく処罰する。二度と同じ失態を犯すな」
「はっ……! 申し訳ありません……!」
通話を一方的に切り、治臣は再びコーヒーカップを手に取った。社内の誰もが気づかないうちに、彼は今日もまた、巨大な危機を圧倒的な技術力で完璧に葬り去っていたのだった。
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従業員の小さなミスすら裏ですぐに完璧にフォローしてしまう、治臣の圧倒的な「守りの強さ」が際立つ回となりました。表では厳しい上司でありながら、裏では最大の守護神である彼の存在感が光ります。
次回、外伝第12話では、前世の治臣を追い詰めた悪質な金融業者の現在を描く因果応報のエピソードです。お楽しみに!




