第18話:灰の玉座の上で交わす接吻
#名頃の村 #無月江戸 #伽椰子 #覚醒 #執着 #ダークロマンス
名頃の村の入り口に広がる戦場は、突如として静まり返った。草薙クランの旗印を焼き尽くす紫の炎が、あちこちで細く燻っている。敵の血で濡れ、ひび割れたアスファルトの道の中央で、江戸は巨大な岩の上に悠然と腰掛けていた。
伽椰子はもはや這いずる怨霊の姿ではなかった。彼女は凛として立ち、長い白死装束の裾を赤い地面に引きずっている。彼女は江戸に歩み寄ると、ゆっくりとその膝の上に座り、独占的な愛を込めて少年の首に腕を回した。
「外の世界は、実に騒がしいな」江戸が囁く。周囲に漂う生臭い血の臭いを無視し、彼は伽椰子の滑らかな黒髪を梳いた。
伽椰子は熱い眼差しで江戸の銀色の瞳を見つめた。「私は、あなたの声だけを聞いていたいのです、江戸くん。私の目には、あなただけが真実なのですから」
江戸は伽椰子の顎をそっと持ち上げ、儀式のエネルギーで石榴色に染まった彼女の唇を見つめた。「たとえ世界中が焼き尽くされても、僕の傍らに立つのはお前一人だ」
「私は永遠にあなたのものです、我が主……愛しき人」伽椰子が艶やかに答える。
凄惨な戦場の中心で、二人は深く接吻を交わした。その熱く、激しい口づけは、闇の勝利を祝う儀式のようだった。周囲では数千の案山子たちが大きな円を描いて直立し、まるで王と王妃のプライバシーを守る儀仗兵のように静止していた。
――タッ、タッ、タッ。
重厚で威厳に満ちた足音が、その情熱的な時間を切り裂いた。圧倒的な霊圧が村を叩きつける。
純金の法衣を纏い、太陽を模した冠を戴いた老人が歩み出た。その手には、白い雷光を放つ聖剣が握られている。彼こそが天照クランの最高権威、天照源治だった。
「反吐が出る光景だ」源治の声が轟き、大地を震わせた。「無月の尊き末裔が、我が兵たちの血の上で呪いと戯れるとは。今日、この手で貴様らの存在を歴史から抹消してくれよう!」
江戸はゆっくりと唇を離したが、伽椰子を抱き寄せた腕は緩めなかった。彼は退屈そうに源治を一瞥する。
「来る時間を間違えたな、老人」江戸は冷たく言い放った。「僕たちは今、二人だけの時間を楽しんでいるところだ」
江戸は立ち上がったが、左手は伽椰子の手を強く握ったままだ。二人の「人魔合一」のオーラが再び爆発し、源治の聖剣が放つ陽光に匹敵する、黒と紫の渦を作り出した。
「伽椰子、デートの続きをする前に、最後のゴミ掃除を済ませてしまおうか」江戸が囁く。
伽椰子は唇を舐め、その瞳に血への渇望を宿した。「喜んで、江戸くん」
源治が聖剣を振り下ろし、巨大な雷龍を放つ。江戸は避けなかった。彼は伽椰子と共に正面から突っ込む。二人の動きは完璧に同期していた。江戸が黒鉄の力で拳を叩き込む瞬間、その影から伽椰子が飛び出し、致命的な追撃を加える。
最高峰の死闘が幕を開けた。名頃の空で、偽りの太陽の光と、永遠の闇が激突する。




