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第21話 帝都からの召喚状

第3章に突入です。引き続き毎日正午の更新を目指して頑張ります!ブックマークと☆評価をいただけると励みになります!何卒宜しくお願い致します!

帝国歴一三二七年の秋、俺──ルシウス・ユリウス・ユスティニアヌスが、未開の魔境である大森林盆地へと追放を言い渡されてから、早いもので五年が経過していた。


かつて、危険な魔物が跋扈する魔境だったこの地は、ユスティニア大公国として発展の途上にある。


「──現在、公都南東区の開発は、進捗率が八割といったところです。開発が完了次第、今は農地として活用している南西区の開発に移ります」


「ありがとう、コルネリウス。自分の領地の開発もあるのに、すまないね。ユスティニアナ港の方はどうかな?」


「はっ!ご心配には及びません。現在、公都南東の外堀に直結する運河が完成し、係留設備をはじめとする河港インフラは順調に稼働しております。ポルタ・アウストラならびにクィンタに設置した閘門こうもんによって、大型船舶が航行可能となったことから、埠頭の増設および浚渫を進めているところです」


ユスティニア大公国は今、まさに空前の好景気に沸いている。

エレナが整備したオルガ河水運は、閘門の設置によって大森林盆地と直結し、帝都と大公国を結ぶ物流網は劇的に改善した。結果、両国の交易は年々増加しており、これが「さらなる投資を呼び込む」という好循環に入っている。


だが、その急激すぎる成長の裏で、俺はある問題に悩まされていた。


「しかし、問題は食糧自給率です、殿下。生産量は順調に伸びていますが、それ以上に人口が激増しています。工業に振り分ける人員を、少しでも農業に回すべきです」


「そうしたいのは山々だけどね、コルネリウス。いまや紡績業は大公国の主要な輸出産業だ。国庫の面でも減産するわけにはいかないよ」


コルネリウスの言うことは正論だ。

俺のオリジナル魔法、『農地整備』でいくら土地を増やしたところで、そこを耕す人手が足りない以上、農業に労働力を投下すべきなのだが、現状それは難しい。


原因は、昨年から稼働している「官営紡績工場」にある。

大森林の水力を利用したこの工場は、盆地産の綿花に加え、帝国北部から運ばれてくる羊毛を使った大規模生産を実現し、結果として、大量の労働力を吸収している。つまり、「経済成長が労働力と食糧の不足を生む」という、皮肉な悪循環に陥っているのだ。


そこで、俺としても食糧自給率を改善すべく、いくつかの解決策を講じてきた。その一つが、地方都市の開発だ。


「それはそうと、コルネリウスには申し訳ないね。公都の開発も任せっきりで。ところで、子爵領の開拓は順調かい?」

「ご配慮ありがとうございます、殿下。殿下より貸与いただいておりますルパルクスたちが有能で、すでに領都の城壁は完成し、小麦の作付けに入ることができております。城壁内ということで農民たちも安心して作業に励むことができているようです」


現在、公都を中心として同心円状に領地貴族を配置し、各地で開墾と領都の開発を行わせている。すでに公都から延びる放射道路と各領邦をつなぐ環状道路は建設済みであり、叙爵によって、『農地整備』をはじめとする俺のインフラ魔法を使える領地貴族なら、開墾作業は苦にならないだろう。


「コルネリウスの領地は北西キルキウス地方の要になる。やや寒冷なのが心配だったけど、何とかなりそうなら安心したよ」

「はっ!必ずやご期待に沿って見せます。現在作付けが進んでいる小麦は寒冷地用の品種ですし、今夏、収穫が叶いましたジャガイモも甜菜も大豊作と言っていいものでした。やはり、濃密な魔素を含む大地と、殿下の『農地整備』の相性は抜群というほかございません」


今のところ、俺の直轄地以外で開発が進んでいるのは、ルーク、エレナ、コルネリウスの三人の領地だけだが、順次叙爵して領地貴族を増やしていく方針だ。

ちなみに、ルークは南西アルタヌス地方、エレナは南東エウルス地方に領地を宛がい、開発を進めてもらっている。各領都は一辺2キロメートル、約4平方キロメートルに及ぶ城郭都市として設計されており、基本的な構造は全部同じにしてある。当面は城壁内で作物を育ててもらうが、都市開発も同時並行で進めてもらう計画だ。


「来春の小麦が収穫できれば、我が家臣団を十分に養うだけの貯えが見込めます。大公国全体の食糧自給率も多少は改善するものと思われます」

「ありがとう、コルネリウス。心強いよ。まあ、腹を膨らませる穀物やイモ類も大切だけど、お金を生む商品作物にも投資しないとね。その意味で、甜菜については特に力を入れていってね」


地方都市で収穫される甜菜や綿花は、現在、公都ユスティニアナポリスに運ばれ、加工されたのち、オスティアを経由して帝都へと輸出されている。さらには、試作段階とはいえ、マルクス兄さん協力のもと、大森林の魔物から最高級の生糸(絹)を生産する目処まで立ちつつあり、これらが大公国の経済を支えている。


そんな大公国の将来に向けて俺が夢を膨らませていたところに、またしても騎士が転がり込んできた。

「大公殿下!帝都より、勅使がいらっしゃいました!『召喚状』をお持ちとのことです」

「帝都から? なんだろう...何か悪いことしたかな、俺」


こうして俺は、急遽、五年ぶりの帝都帰還を果たすこととなったのだった。

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どうぞよろしくお願いいたします。

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