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蒼空のルミナ遺跡  作者: ひろゆら


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空の遺跡

飛空艇は速度を落としながら、ゆっくりとルミナ遺跡へ接近していた。


窓の外では、巨大な遺跡が少しずつその姿をはっきり見せ始めている。


崩れかけた白い塔。


空中へ伸びる石の回廊。


所々に埋め込まれた青い結晶。


近づくほど、その大きさは圧倒的だった。


「……大きい」


リゼは思わず呟く。


ノクトが苦笑した。


「遠くから見たときよりでかくない?」


「私もそう思った……」


ミナの声も少し緊張している。


ガルドだけは静かに遺跡を見上げていた。


飛空艇の甲板では、研究員たちが慌ただしく準備を進めている。


ロープの確認。


観測機材の運搬。


護衛役らしい兵士たちも武器を整えていた。


その中を、セレナがこちらへ歩いてくる。


「これから外周部へ降下する」


四人の前で立ち止まった。


「内部調査は研究院が先行する。君たちは勝手な行動をするな」


「はい」


リゼたちは揃って頷く。


セレナは少しだけ視線を細めた。


「特にリゼ」


「えっ」


「古代文字を読めるのは貴重だ。無茶はするな」


思わぬ言葉に、リゼは少し驚く。


完全には信用していないと思っていた。


その表情を見て、セレナは小さく息を吐く。


「……期待はしている」


それだけ言うと、再び研究員たちの方へ戻っていった。


ノクトがにやにやする。


「ちゃんと認められてるじゃん」


「そ、そんな感じじゃ……」


「いや絶対そうだって」


リゼは少し照れながら視線を逸らした。


やがて、飛空艇が大きく揺れながら停止する。


窓の外には、遺跡の外壁がすぐ近くまで迫っていた。


白い石壁には、長い年月を感じさせる傷や亀裂が走っている。


だが、不思議なほど崩れてはいなかった。


「固定作業開始!」


研究員たちの声が響く。


太いロープが撃ち込まれ、飛空艇と遺跡が繋がれていく。


金属音が空に響いた。


「降下班、準備!」


タラップがゆっくりと下ろされる。


その先には、崩れかけた石の足場があった。


リゼは思わず息を呑む。


本当に来てしまった。


本の中で憧れていた場所へ。


「行くぞ」


ガルドが短く言った。


四人は顔を見合わせ、小さく頷く。


そして一歩ずつ、遺跡へ降り立った。


足元から、硬い石の感触が伝わってくる。


風が吹き抜けた。


高い空。


遠くに流れる白い雲。


遺跡の周囲には、不思議な静けさが広がっていた。


誰もいない。


なのに、誰かに見られているような感覚だけが残る。


「……なんか緊張する」


ミナが小声で言う。


「わかる」


リゼも自然と声が小さくなっていた。


研究員たちは周囲を警戒しながら、慎重に内部への入口を探している。


やがて一人が声を上げた。


「こっちです!」


外壁の奥。


半分崩れた通路の先に、大きな扉が見えていた。


白い石で作られた巨大な門。


表面には複雑な模様が刻まれている。


リゼはその瞬間、足を止めた。


「……これ」


門に刻まれていたのは、古代文字だった。


見たことのない文字列。


なのに、不思議と意味が頭へ入ってくる。


リゼは無意識に、その文字へ触れた。


すると――


青い光が、文字の上を走った。


「!?」


周囲の研究員たちが一斉に振り返る。


低い振動音が響き始めた。


ゴゴゴ……と重い音を立てながら、巨大な門がゆっくり動き始める。


誰かが息を呑んだ。


長い年月閉ざされていた扉が、今、開こうとしていた。

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