第4話「外れた規格」
登場人物
山さま(御主人様→山さん)ヤーマだ~だだ
アンドロイド(Gちゃん)私お掃除出来ないけど初めて御主人様が買ってくれたのはモップ
電気街店員1、凄く明るいお店で広かった
電気街店員2、なんか御主人様がなにかお願いしてた
電気街店員3、凄い狭くてちっちゃいお店、上野がなんとかって言ってた
服屋の店員、散歩がてらにお気楽に
第4話「外れた規格」
2025年10月25日……。土曜日
少し肌寒くなり始めた頃。
「……行くぞ」
御主人様は短くそう言って、玄関のドアを開ける。
Gちゃんは静かに後ろへ続く。
「御主人様外出モードを開始します」
御主人様が登録してから170日。
これが、ほとんど初めての外出だった。
Gちゃんの右目は時折わずかにノイズが走る。
(……視覚補正エラー:継続)
(……通常行動:可能)
普段使いに問題はない。
だが御主人様は、その不具合がずっと気になっていた。
街を歩く。
一見すれば普通の少女に見える。
だが近くで見ると違和感が残る。
古い服装。
どこか時代のずれたシルエット。
そして頭部にある白いインターフェース。
御主人様は周囲を気にしながら歩く。
「……1994年製って感じだな」
「製造年代情報と一致します」
「いや、そういう意味じゃねぇ」
電気街。
古い部品屋と修理店が並ぶ通り。
御主人様はカウンターへ向かう。
「これ、見てもらえます?」
店員はGちゃんを見る。
次に右目のノイズを見る。
数秒の沈黙。
「……無理ですね」
「部品もないですし」
「というか……これ、何です?」
御主人様は少しだけ視線を逸らす。
「古い試作品みたいなもん」
店員は納得していない顔をする。
別の店。
「1994年?」
「その頃にこんなのありましたっけ」
(……高負荷接触検知)
(……安全プロトコル作動)
(……演算停止:300秒)
また別の店。
「対応外ですね」
歩くたびに、視線だけが少しずつ増えていく。
(……外部視線増加)
(……注目状態)
Gちゃんは静かに歩いている。
だが山さんは、それに気付いている。
「……帰るか」
帰り道。
山さんは途中で服屋に入る。
「帽子、深いやつある?」
店員は笑顔で振り返る。
だがGちゃんを見た瞬間、少しだけ目が止まる。
白いインターフェース。
古い服。
不自然な静けさ。
「……こちらとか、どうでしょう」
接客は崩れない。
でも空気だけが少し違う。
帽子。
服。
靴。
少しずつ“今の時代”へ寄せていく。
Gちゃんは試着室の前で静かに立っている。
(……外見更新処理)
店員の視線がまた止まる。
「その子……」
言葉は最後まで続かない。
山さんは答えない。
会計を済ませ、店を出る。
外は少し寒い。
山さんは煙草に火をつける。
煙が夜に溶けていく。
しばらく歩いたあと、小さく呟く。
「……気にすんな」
Gちゃんは少し遅れて応答する。
「山さま了解しました」
だが、その言葉はGちゃんに向けたものではなかった。
山さん自身が、自分に言い聞かせていた。
街はいつも通り動いている。
その中で、“規格から外れた物”だけが静かに歩いていた。
日付は全て設定された日があり、2話の山さんは暑さと給料日前と次の日仕事でイライラしてます。




