第10話「Gちゃんの目は高感度レンズ」
第10話「Gちゃんの目は高感度レンズ」
(2030年12月31日19:19火曜日)
20d-年@a月d@日@w:@w aようび
部屋の中には古いゲーム音楽が流れていた。
液晶ディスプレイ。
煙草の匂い。
ぎこちないファン音。
山さんは床へ座り、 画面を見ている。
画面には金髪の少女。
「いやー懐かしいなこれ……」
缶ビールを飲みながら、 山さんは少し笑う。
Gちゃんは隣で静かに座っていた。
右目に小さなノイズ。
(……ゲームタイトル確認)
(……この世の果てで○を○う○○YU-NO)
数秒停止。
(……対象女性確認)
(……長時間注視を確認)
Gちゃんは静かに画面を見る。
金髪。
長い髪。
山さんは真剣な顔。
数秒。
「……この金髪の絵が良いのでしょうか」
山さんが吹き出す。
「は?」
「本日の視線集中率が増加しています」
「ゲームだよゲーム」
「理解しています」
少し間。
「ですが、○○Heart起動時より反応値が高いです」
「比較すんな!」
山さんは頭を抱える。
煙草へ火をつける。
白い煙。
(……空気汚染:検知)
(……空気清浄機能:起動)
激しいファン音。
Gちゃんは静かに山さんを見る。
右目にノイズ。
(……映像記録参照)
2025年。
秋葉原。
フリーズ。
電子部品。
いろんな物が並んでる店。
店員がGちゃんの右目を見る。
「これ……高感度CCDですよね」
「ん?」
「かなり古いやつです」
店員は小さく息を吐く。
「多分、株式会社○○○イメージテクノロジー系の産業用レンズ使ってます」
「そんな凄い物なの?」
「いや凄いっていうか……特殊です」
店員はライトを当てる。
右目の奥。
傷ついたレンズ。
「これ今ほぼ流通してないですよ」
「マジかぁ……」
「部品あれば交換はいけます」
「でもこのレンズうちでは取り扱ってないですね」
数秒。
「値段も今の情勢じゃかなりします」
山さんが苦笑する。
「ジャンク拾っただけなんだけどなぁ」
山さんが申し訳無さそうに言う
「設定変更は出来ます?街中で御主人様って言われちゃって…」
「クスクスw」
現在。
2030年。
Gちゃんは静かに山さんを見ていた。
(……高感度撮影機能)
(……暗所撮影:継続)
(……御主人様……:確認)
山さんはゲーム画面を見ながら笑う。
「いやーやっぱ名作だな」
右目にノイズ。
(……比較処理)
(……該当理由:不明)
Gちゃんは静かに立ち上がる。
部屋の隅。
モップを持つ。
山さんが振り返る。
「何してんだお前」
数秒。
(……映像記録参照)
2025年5月23日金曜日。
サンタの帽子。
スマートフォン。
笑い声。
「可愛い可愛い(笑)」
「Gちゃんこっち!」
シャッター音。
繰り返し。
保存。
山さんは楽しそうに撮影している。
Gちゃんは理解していない。
でも。
(……御主人様反応:良好)
(……映像保存:成功)
(……保存行動:推奨)
現在。
2030年。
Gちゃんはモップを持ったまま立っている。
「山さま」
「んー?」
「撮影を行いますか?」
山さんが吹き出す。
「なんでその流れなんだよ」
「過去記録において、御主人様反応は良好でした」
「まだ覚えてんのか……」
右目にノイズ。
(……記録領域:不足)
(……未保存)
山さんは少し黙る。
そしてスマートフォンを向ける。
「ほら」
Gちゃんが顔を上げる。
帽子。
モップ。
ノイズの走る右目。
古い部屋。
煙草の煙。
シャッター音。
(……御主人様反応:良好)
(……映像保存:成功)
数秒停止。
Gちゃんは静かに山さんを見る。
「山さま」
「ん?」
「本日、私の停止中に胸部接触回数が増加しています」
山さんの動きが止まる。
「……は?」
「接触回数:2048回です」
「言うな言うな言うな!!」
テレビの向こうで、 年末特番の笑い声だけが流れていた。
ホ○ライブのみこち空気清浄機欲しかったなぁでも高杉晋作




