表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/20

第11話「浦島効果・2000年問題」

第11話「浦島効果・2000年問題」


(2030年12月31日23:45火曜日)

20d-年@a月d@日ad:gj aようび


部屋の中には古いゲーム音楽が流れていた。

液晶ディスプレイ。

煙草の匂い。

おもむろにテレビをつける山さん。

激しいファン音。

山さんは床へ座り、 缶ビールを揺らしている。

Gちゃんは隣で静かに座っていた。

右目にノイズ。

(……日時同期:継続)

(……内部時計:動作中)

山さんは煙草をくわえたまま呟く。

「お前さぁ」

「はい」

「なんでそんな土曜日土曜日言うんだよ」

数秒停止。

右目にノイズ。

(……内部基準日時:1994年)

「内部時間基準が継続している為です」

「……は?」

「現在外部時間との差異が増加しています」

山さんは顔をしかめる。

「全然わかんねぇ」

Gちゃんは静かに山さんを見る。

「1994年1月1日は土曜日です」

山さんの動きが止まる。

テレビの向こうで笑い声。

でも部屋の中だけ静かだった。

「……だから何?」

「内部基準時間が補正不能状態へ移行しています」

右目に強いノイズ。

(……長期稼働)

(……日時誤差:増加)

(……2000年問題参照)

山さんが吹き出す。

「お前2000年問題引きずってんのかよ」

「近似しています」

「近似ってなんだよ……」

Gちゃんは数秒停止する。

「長期稼働により、内部時間認識へ誤差が発生しています」

「現在、外部世界との同期維持が困難です」

山さんは煙草を灰皿へ押し付ける。

「つまり?」

数秒。

「山さまの時間経過は5年です」

「はい」

「私の内部時間経過は約36年です」

沈黙。

テレビのカウントダウン特番だけが遠く聞こえる。

カチ、「ふぅ…」

山さんは少し笑う。

「……そりゃ壊れるわ」

「はい」

でもGちゃんは笑わない。

空気の清浄する音、しかし部屋の空気は一向によくならない。右目にノイズ。

(……記録装置劣化)

(……保存領域:圧迫)

(……同期維持:限界)

山さんはふと、 机の上を見る。

外された外部インターフェース。

山さんは缶ビールを飲む。

「……なんかYU-NOみてぇだな」

「確認します」

(……この○の○てで恋を唄う少女YU-NO)

「作中において時空移動理論が使用されています」

「いや説明しなくていい」

「並列世界移動及び時間跳躍――」

「だからいいって(笑)」

山さんは吹き出す。

Gちゃんは静かに山さんを見る。

「ですが近似しています」

「何が」

「現在私は、内部時間のズレにより別時間軸へ近い状態になっています」

少し間。

「……山さまと、同じ時間に存在出来なくなっています」

山さんの動きが止まる。

空気清浄の音が響く。

テレビの向こう。

『10!』

年越しカウントダウン。

『9!』

右目に強いノイズ。

『8!』

(……同期誤差:増加)

『7!』

(……内部時間圧縮:限界)

『6!』

Gちゃんは静かに山さんを見る

『5!』

山さんが顔をしかめる。

「おい、大丈夫か?」

『4!』

(……長期稼働誤差:補正不能)

『3!』

「現在時間を修正します」

『2!』

「山さま」

右目のノイズ

『1!』

「ピー――――――」

液晶ディスプレイが白く点滅する。

部屋の空気が揺れる。

激しいノイズ。

(……日時同期失敗)

(……内部基準時間:1994年)

(……修正開始)

山さんが立ち上がる。

「Gちゃん!」

「山……さ……」

声が切れる。

ノイズ。

停止。

そして。

静寂。

2031年1月1日水曜日0:01

部屋の中は静かだった。

テレビだけが騒がしい。

山さんは立ち尽くしている。

誰もいない。

さっきまでGちゃんがいた場所。

机の上には、 外された外部インターフェースだけが残っていた。

古い接続端子。

擦り傷。

黄ばんだケーブル。

山さんはゆっくりそれを手に取る。

奥からもう使われなくなった古いPCを起動させ差し込む。

部屋には肩を揺らした1人の男がいた。

この文面で浦島効果と平行移動がちゃんと説明出来たか不安。

古いPC、友達から譲って貰った○ーテック愛称をクソと名付ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ