第8話 心の形
私の胸の内を言葉で表す訳にはいかないから始めた実践訓練という名の模擬戦闘。
サガ兄の作った武器の性能テストを兼ねた戦闘は、私の中の怒りを助長した。
私が通う道場は『全攻必殺』を信条としてる。
全ての攻撃が必殺となるよう、一発でも当たればこちらに勝機が傾くよう、全ての攻撃に絶大な威力を込める───超攻撃型の流派。
それを再現するには、緻密な肉体強化が必要不可欠。
他の人は繊細な魔力操作でそれを行うけど……私の魔力は少ない。だから、私は、サガ兄に教えてもらった魂術で代用した。
一年間の修行のおかげで、私の魂力による肉体強化精度はサガ兄を上回ったと自信を持って言える。
そして、一年間、道場で学んだことをフル活用して、私はサガ兄に挑んだ。
でも───私はサガ兄に全力を出させることができなかった。
私は「全力で来て」と言ったのに、サガ兄は全く本気じゃない!
弱い魔獣に試す時と同じように単発での使用、そこまで威力が高くない武器の運用───まるで戦う気が無い。
戦いなのに、「全力で」って言ったのに……サガ兄は私を気遣ってる節すらある。
───耐えられなかった。
言葉で胸の内を伝えない代わりに、私は全力で思いを攻撃に乗せていた。
サガ兄に対するグチャグチャな思いを。
遠慮する必要なんて無い、と体で表すために。
でも、そのどれも、サガ兄は飄々と避けていく。
前、サガ兄は言ってた。───「武術は習ったことない」って。
動きからして、それは本当だと思う。全然、動きがなってないもん。
それなのにッサガ兄には攻撃が当たらない! 掠らせるので精一杯!
まるで、私の次の動きが分かってるみたい。
攻撃が躱される度、私の中の不甲斐なさが浮き彫りになっていく。
それと同時に、きちんと戦ってくれないサガ兄に怒りが沸いた。
道場の先輩のように「本気でぶつかり合えば相手の人となりが分かる」なんて言うつもりは無い。
それでも、本気で戦えば、サガ兄が私をどう思ってるのか、少しは分かるかもしれない。そんな期待があった。
そして、もし、その期待が叶えば、言葉を通さずとも、少しは私の思いもサガ兄に伝わるかもしれない。そんな勝手な願いも。
でも、現実は違う。
サガ兄は私に全力を出してくれない。
一向に、サガ兄の内側が見えない。
私には、サガ兄がどう思ってるのか、まるで伝わってこない。
それは、まるで、サガ兄から「お前を見てない」と言われてるみたいで、凄く……凄く、悲しくなった。
きちんと私を見て! 私はここに居る! サガ兄の隣に居るために頑張ってきた! だから……だからッ、だからァ! ───私を認めて。
そんな気持ちをぶつけるように、私はサガ兄に容赦なく攻撃を続けた。
でも、私の攻撃はどれもサガ兄には通用しなかった。
道場と同じだ。
道場の先輩方と同じように見切られてる。
これじゃあ駄目だと何度も言われてきたのに……!
不甲斐ない、本当に不甲斐ない。
みっともない醜態を晒し続けて……結局、私ではサガ兄を本気にさせることはできなくて。
そんな耐え難い現実から目を逸らすために、私は意図せず叫んでいた。「いい加減にして!」と叫んでいた。
こんなみっともない真似、するつもりなかったのに。
でも、これが良かった。
これのおかげで、サガ兄の雰囲気が変わった。
少し離れてても、魔素で体が強くなったから、サガ兄の顔は見えるし、声も聞こえる。
口元を手で覆ってるから、表情はよく見えなかった───けど、サガ兄が本気になったのはなんとなく分かった。
「悪かったなァ、ヨミ。ここからは本気だ。あぁ、本気の運用をする。───死ぬなよ?」
それは「ここからが本番だ」と伝える言葉。
この言葉がどれだけ嬉しかったか。
戦闘中にも関わらず、笑顔を浮かべそうになった。
でも、笑顔を浮かべる前に───サガ兄が投げた爆弾が起動した。
「───ッ」
私とサガ兄の丁度、真ん中辺りでそれが弾けた瞬間、眩い光が辺り一面を照らす。
あまりに眩しいから、思わず、両目を瞑り、左腕で前を遮った。
「───ッッ!!」
次の瞬間、私の右肩に痛みが生じる。
何かが私の肩に刺さった!? 痛い!
血が出てるのが分かる。
「───ッ!」
さらに痛み。
今度は腹部!?
お腹の左側、脇近くに何かが刺さったッ……!
うッ……さっきの光のせいで視界がボヤける。
何が起きてるのか分からない。
おかしい……!
刺さった感触はするのに、実際には何も刺さってない。でも、血は出てる。
どういうこと?
「───ッ! ───ッ! 〜〜〜ッッッ!!!」
そこから何度も私の体に攻撃が突き刺さった。
凄い速さで、凄い数を。
一発はそこまで強くない。当たっても、ちょっと血が出る程度。
でも、それが何発も続いて───。
「───ッッ!!」
これ以上は無理!
私は咄嗟に腕を前に出して、顔と胸だけはガードした。
そんな風に行動を起こしても、攻撃はやまないッ。
痛いッ痛い! 痛い!!
全身にくまなく攻撃が来るから、回避行動を起こせない。
これじゃあサンドバックだッ。
そんなやられたい放題の状態なのに───何故か、私の口の両端は上がった。
「………ッ、……ハッ、……ぅッ」
そこからさらに少しして、攻撃がやむ。
攻撃がやんだことで、少し考える余裕ができた。
なんで……攻撃がやんだ?
少しずつ目も回復してきたから、私はゆっくり腕を下ろしながら、サガ兄の様子を見てみる。
「チッ……壊れた。連射型ももっと強度を高めないと駄目だな」
サガ兄の手元にある武器が粉々に砕けていた。
まるで、急速にボロボロになって、脆くなったみたい。
あの弓は見たことある。───というか、できた時にサガ兄が自慢してきた武器だ。
確か……名前は『空蝉』。
本物の矢の代わりに空気を高速で発射する弓!
矢を装填する必要が無いから、連射がスムーズに行えるって言ってたヤツ!
こんな凶悪なの!?
サガ兄は壊れた弓をまた作り出していた。
壊れた物を即修復!?
いや、違う!
確か、武器を見えないようにして沢山持ち運んでるってサガ兄が言ってた。
予備まで持ってるなんて!?
またサガ兄が弦を引く。
───マズい!
私はすぐに右斜め前へ走り出した。
「───ッ!」
次の瞬間、連射が始まる。
空気の矢が草花を散らして地面に突き刺さっていく。突き刺さる度に砂煙が上がっていた。
魔素で強くなった体と魂力による強化があるから、空気の矢を避けるのは簡単。
武器は強くても、使ってるのはサガ兄だもん。攻撃を当てるのは上手くない。
このまま速く走って、サガ兄の所まで───
───頭の中を、今過るのはおかしい感情が何故か通り過ぎた、気がした。
私は頭を振って戦いに集中する。
「ふぅ……やっぱ駄目だな。自動追尾の開発は必須か。こうも速く動かれちゃ当たんねぇよ」
サガ兄が攻撃を止めた! チャンス!!
私は斜めに走るのをやめ、サガ兄に直進する。
「───!」
サガ兄の持ってる弓が崩れた?
まだ撃てる筈じゃ……?
ううん……それより、サガ兄が新しく右手に持ってる棒は───
「おらよ!!」
「───ッ」
サガ兄が私目掛けて棒を投げてくる。
真っ直ぐ向かってくるだけ、避けるのは難しくない!
私は走るのをやめないで、半身になりながら棒を躱す。
でも───
「───ッッッッ!?!!」
棒が地面に突き刺さるのと同時に、私の体は動かなくなった。
凄い力が私の上からかかってるッ!
何これ……! 風とも違う! それよりも強い力で私を下に潰そうとしてくる!
「───!?」
私は棒を見る。
アレは『逢魔が色』!?
決められた場所を黒いオーラで囲って、その中に居る生物を弱くするって言ってた!
半球状の結界。地面と結界の境目からは茜色の光が差し込んでいて、それが唯一の灯りとなってる。
相手を足止めするのに最適な武器、てサガ兄は言ってたけど……こんなにも凄いの!?
ふッ踏ん張るの、で……精一杯!
少しでも力を抜いたら、膝から崩れ落ちちゃう……!
というか、地面に倒されて、起き上がれなくなるんじゃ!?
「避けろよ〜!」
サガ兄の声が届く。
何!?
サガ兄は右手に大きな筒を嵌めてた。
ヤバッ!!
私は出せる限界まで魂力の強化を高める。
かろうじて片脚上げれた!
その片脚で思いっきり地面を踏み抜き、そこから伝わってくる力を利用して真横に跳ぶ!
私が結界から出たすぐ後───巨大な火の玉が、さっきまで私の居た場所を通過した。
そして、少し離れた所で着弾。大きな爆発が起きた。
「───ッ!」
舞い上がった砂煙がこっちまで広がってくる。
咄嗟に左手で顔を覆って、私は砂が目に入るのを防いだ。
すぐに砂煙は収まる。
収まって、すぐに私はサガ兄を確認した。
もう───武器を作って!?
「これも避けなきゃ駄目だぞ!!」
サガ兄は怖い笑顔で私に呼びかけてくる。
三日月みたいな口の形。吊り上がった目。心から楽しんでるのが分かる。
強い! 速い! キツい! 苦しい! 怖い!────楽しい。
いろんな思いが私の体を駆け巡ってるのに───私の口の両端は少しだけ上がった。
───また私の頭の中で嫌な気持ちが過る。今度は、それだけじゃなくて、朧気に記憶まで。
「───ッ」
サガ兄が両手に持った武器を下から振り上げる。
それだけで斬撃が飛んだ!
私は咄嗟にまた横に跳んで回避!
なんとか斬撃を避ける。
斬撃は地面を割り、遠くに見える山にまで届いて、そこから砂煙を上げていた。間違いなく、山の表面も斬れてる!
サガ兄の身長よりも大きな両鎌『断空紫鬼』。
あの黒に近い紫色の刃は鋭い衝撃を飛ばすって言ってたな。
実験の時は軽くしか振ってなかったから、ここまでの飛距離は出てなかったけど……本気で振るとこんなに伸びるなんて!?
サガ兄の攻撃は止まらない!
武器を振り上げた勢いを利用して回る。
そして、またこっちに体が向くタイミングで紫鬼を振り上げた。
「───ッ!」
私は全力で走る!
前や斜めじゃ間に合わない───横!
また私のすぐ後ろを斬撃が通過した。
まだまだ来る!
サガ兄は鎌を斜めに回して、どんどんと斬撃を放ってくる。
私は避ける、避ける、避けるッ───。
右に移動したり左に移動したり───右に行く、と見せかけて、また左に走ったり。
ひたすら走ってサガ兄の狙いを外すんだ!
アレは食らっちゃ駄目! 食らったら一発で戦えなくなる!
だから、走り続けるんだ!
「───ふふッ」
ピンチなのに、何故か私の口から笑いが漏れる。
なんでだろ……なんでだろ?
今はそれを考えてる余裕すら惜しい───という考えすら出てこない。
疑問は疑問のまま流して。
この楽しさに、身を───
「───」
その時、何故か、私の頭の中に最悪な記憶が流れた。
あの時に感じた嫌な気持ちが私の中に蘇る。
私の中にある “何か” が脈打った。
「───ッッッ」
───邪魔!
「「───!」」
紫鬼の刃が砕けた!?
限界が来たんだ!
見えなくした武器は全部脆くなる、てサガ兄が言ってた!
こんなにすぐ壊れるなんて……! サガ兄も驚いてる!
近付くなら今! このタイミング!
私はサガ兄の方を向いて、脚に力を入れて───
「───」
───サガ兄が武器を作らずに右手をこっちに向けてる?
「近付けさせね〜よ?」
ヤバッ───!
私の少し前で爆発が起きた。
□□□
「………」
いッ……………たァ。
私は地面に横たわりながら、そんなことを考えてた。
爆発が起きる前に、私は無理やり後ろに跳んだ。
おかげで、直撃は避けられた、けど……。
それでもダメージが凄い。
凄い吹っ飛ばされたなァ。
体の所々が焼けてる。
かなり体力も削られた。
「ふふ……ふふ……」
なのに、何故かおかしい。
何が面白いか分からないけど、笑えてくる。
凄い、凄いなァ……サガ兄は。
サガ兄に師匠はいないんだって。
これ全部、サガ兄が考えた戦い方。
あんなに強い武器を沢山作れるの、サガ兄以外いないよ。
やっと……やっと、きちんと向き合えてる気がする。
サガ兄も、私のことを真っ直ぐに見てくれてる気がする。
これまで、ほとんど目を逸らしてきたから……サガ兄も、あまり私に関わろうとしてこなかったから。
だから、この時間が凄く楽しくて……嬉しい。
だから……。
だから───。
だからァ!
───邪魔しないでよォ!!
サガ兄との戦いに集中する度、サガ兄との時間を楽しむ度に、『私』が思い出させてくる。
お前だけ楽しむのは駄目だ、と……お前だけ忘れるのは駄目だ、と───私に、家族や村を失ったあの記憶を突き付けてくる。
その度に浮かぶ怒り・悲しみ───全部邪魔!!
これらを思い出す度に脈打つ “何か” も───今は邪魔!
私は今、サガ兄と時間を過ごしてるの!
サガ兄との時間を楽しんでるの!
それ以外は全て邪魔!
全てを失ったあの記憶も、深い深い絶望も、これまでサガ兄にぶつけてきた怒りも───全部邪魔なの!!
忘れたい訳じゃない。消したい訳じゃない。
あんな記憶、忘れられる訳ない。消せる訳ない。
今も私の頭の隅にこびり付いてる。
この記憶と思いがあるから今の私がある。
これも大事な私。
でも! 今だけは邪魔しないで!!
自分の全てを失った時に感じた絶望も。
私の全てを奪った魔獣達に対する怒りも。
誰も助けてくれなかった悲しみも。
酷い運命を押し付けてくる神様に対する『憎しみ』も。
ううん、それだけじゃない。
生まれも思い付きも成長も遅かったサガ兄に対する怒りも。
私に本音を話してくれないサガ兄に対する悲しみも。
私の友達や家族、村を助けてくれなかったサガ兄に対する『憎しみ』も。
今だけは───
「引っ込んでて……!」
今だけは───!
「出てって!」
今だけは───!!
「吐き出てよォォォ!!!」
サガ兄との時間を楽しむ。
それ以外はいらない。
だから、それ以外の感情を押し流すように、私は魂力を外に押し出した。
───その行為は私に “何か” の正体を私に教えてくれるキッカケとなった。
金色に色付くほど濃縮な魂力。
それはまるでオーラのように私の周りに留まる。
オーラが集まり、交わり─── “何か” を形作る。
私の前に出てきた “何か” ───それは『私』だった。
金色で薄いけど、それは間違いなく私。
憎しみで顔を歪ませた、正真正銘、私。
「……………」
あぁ……。
あぁ、そっか。
そう、だったんだ。
そうだったんだね。
目の前に出てきた “何か” は、私が全てを失った時に生まれた。
その時は “何か” にばかり気を取られて……全てを失ったことを自覚するまで、時間がかかっていたように思う。
“何か” が目を逸らさせてくれたんだ。
私の心が壊れないように、現実から目を逸らさせてくれたんだ。
“このコ” ───私の中から生まれた “憎しみ” という強い感情が、私の中で先に集まって、私の目を逸らさせてくれたんだ。
私はそこまで強くないから。
友達も、村も、家族も───全てを一度に失ったショックを、一気に受け止められるほど強くないから。
きっと、受け止めたら、心が壊れていたと思うから。
だから、私の心を守るために、私の心から離れてくれたんだね。
私に自覚させるために、私の中に生まれてくれたんだね。
魂力で形作られた “私” の顔が歪む。
まるで「もう大丈夫なの?」と気遣ってくれてるみたい。全てを失った私を、尚も強い感情を捨て去ろうとしてる私を、『哀れんでる』みたい。
うん、もう大丈夫。
いっぱい、いっぱい、時間を貰ったから。
事実を受け入れるには十分すぎるほどの時間を貰えたから。
───サガ兄が、ずっと一緒に居てくれたから。
もう大丈夫だよ。
もう私を守ろうとしなくていいから。
もう、目を逸らさせる必要はないから。
だから、お願い。
今、この時間は、サガ兄との時間は、邪魔されたくないの。
お願い。私の中にある怒りも、悲しみも、今は邪魔だから。
今は、『憎しみ』である “何か”も、『哀れみ』を持つ “何か” も、邪魔だから。
だから、出てって。だから、持ってって。
これら全て、力に変えていいから……!
だから、お願い。
───私に力を貸して!
私の目の前から “私” が消える。
消える前に「仕方ない」と言うように項垂れて。
代わりに、私の頭上で、吐き出した魂力が集まり、形を成していく。
今から出てくるコレを私は知らない。
でも、魂が叫んでる。
コレの名前は『───』だと、魂が教えてくれてる。
後は言うだけ。
後は呼ぶだけ!
「吐き出て───」
今まで私の中に居てくれてありがとう。
守ってくれてありがとう。
邪険にしてごめんね。
無理やり抑え込もうとしてごめんね。
もう無視したりしないからね。
「『怒悲哀王』───」
これからも、よろしくね。
「『苦邪駆』ゥゥゥぅぅうううう!!!!」
名前を呼んだ瞬間、この世界にもう一人の “私” が顕現した。
裏話
武器の見た目と性能!
『空蝉』
矢が必要ない弓。
ミスリルで作られているため、当然、銀色。しかし、植物のツルのような装飾が施されており、所々、緑のサテンカラーも入っている。
弦の中央には銀の持ち手が付けられているが、これこそ、この武器の肝。そこを持って引くことで、その持ち手が周りの空気を圧縮し、空気の矢を作る。
持ち手を離すことで、弦が戻る勢いも利用し、空気の矢を発射。
その威力は鉄板すら貫通するほど。
サガが扱っても、一秒間に三発、撃ち込める。
『逢魔が色』
相手を弱体化させるフィールドを生み出す棒。
基本は決められた範囲の重力を強化───したように見せかけるため、地面を起点に強い引力を発生させる。
現代の地球に生息する動物では、どんな肉食獣だろうと、絶対にこのフィールド内では動けない。
ちなみに、効果範囲を分かりやすくするために、効果範囲内に及ぶ光を制限(というかほとんどを停止)している。そのため、フィールド内はかなり暗い。見えなくなると、相手の様子が分からなくなるため、フィールドと地面の境目から茜色の光を出している。
『大携砲』
腕にはめ込む筒型の発射台。発射可能回数は一回。
黒い砲塔を腕から生やすイメージ。
弾薬は発射された瞬間から超高熱を持ち、地面に着弾後、半径百メートル規模の爆発を起こす。
弾薬の飛んでいく速度は時速六十キロほどなので、Cランクハンター以上は、避けようと思えば、視認してからでも弾薬は避けられる。爆発は知らん。
発射の勢いを殺すよう、筒の中には勢いを殺すためのギミック(バネやスライムのような物だが、性能は蟻と象レベルでダンチ)をきちんと作っており、この武器を装備した瞬間、持ち手の再生能力を強化し、また飛んでくる熱を相殺すよう、エネルギーの膜が体を包む。
『断空紫鬼』
ミスリル製でありながら、黒で染められた持ち手と、これ同じくミスリル製でありながら、黒に近い紫色の両刃の鎌。持ち手には炎を模す赤の模様がある。
大きさは二メートルほどで、鎌の長さは一点五メートルほど。
刃から極薄に圧縮した空気を飛ばす。圧縮されたことで、より速く、より鋭利になっている。原理はウォータージェット(というか水力カッター)に近い。
効果範囲は五キロ以上。当然、ぶつかる位置が近ければ近いほど鋭利さは増し、武器がぶつかるほど近ければ、ダイヤモンドすら軽々両断する。
『シャリンシリーズ・爆炎』
魔術と同じような現象を起こす指輪。『シャムリング』略して “シャリン” 。
微力の魂力を注ぐことで、リングに内包していた魂力を解放。
約三十キロ先に水素を大量に集め、集めた範囲の空気を、魂力で超振動させる。原子の超振動によって発生した熱が、集められた水素と反応し、半径五十メートルを巻き込む爆発を起こす。
前述した『大携砲』とは違い、無から爆発を起こすため、規模・威力、共に『大携砲』には及ばない。
不意をつくのに便利。
※初期案として、重水素やトリチウムを使うことも考えていたが、集めるのが難しいのと、爆発を起こした際、洒落にならないほどの環境破壊を引き起こすため、この指輪ではその案を採用しなかった。




