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第7話 モブ鍛冶師vsモブ村娘

 昨日、道場から帰ってきたヨミに、“実践訓練” を申し込まれた。

 帰ってきてすぐにその提案をされたものだから、まともな返事ができなかったんだけど………ヨミの圧が凄くて、結局、訓練をすることになったんだよなァ。


 ヨミは「その辺の雑魚で試すより、私に使ってみた方が武器の性能を細かく確かめることができるでしょ」なんて言ってたけど……多分、違うよな。

 きっと、アレだ。習い事の先生に褒められたら、親にも自慢したくなる、子供特有のアレ。

 考えてみれば、ヨミが道場に通い始めてから一年が経ったもんな。

 きっと、習得の難しい技を成功させて、道場の先生に褒められたんだろ。

 それで、俺にも見せたくなった、とかそんな感じ。


 そう考えると可愛いもんだ。

 一日くらい、ヨミの我儘に付き合ってやってもいいだろ。

 それに、名目上といえど、俺の武器の性能テストも兼ねてるんだ。

 ヨミに付き合いつつ、怪我しない程度に、いろんな武器を試させてもらお。


 俺達は都市から離れた場所にある平原に来ていた。

 流石に、都市の近くでドンパチやる訳にはいかないからね。

 ヨミが俺から五十メートルくらい離れる。


 ヨミが離れてる間に、俺は、一見、()()()()()()()()直剣を取り出した。


 俺は武器が無ければ無力だ。しかし、いろんな武器を常に持ち歩く訳にはいかない。

 これは、そんな問題を解消するために生み出した技術だ。


 まず、魂力を消費して、武器の構造を原子レベルで完全に把握。

 次に、分子間力など、原子と原子を繋ぐ力を魂力で無理やり中和し、武器を原子レベルで分解。

 最後に、分解して取り出した原子すべてを、俺と一定距離を保ちながらついてくるよう、魂力で操作する。

 そうすることで、武器製造に必要な原子を常に用意でき、魂力で分子間力などを再現することで、必要な時に武器を再製造することができるのだ。

 武器のまま魂力で持ち運ぶよりコスパは良いし、何よりかさ張らない。

 メリットはこれだけじゃない。

 魂力さえあれば、壊れたとしても、破片やら武器本体を再び分解することで、元の状態に戻すことができる。

 また、製造された武器が、俺から一定以上離れた瞬間、分子間力などの力が(ほど)け、原子だけとなり、俺の下へ帰ってくるような効果も施してある。

 正直、分解する前より使い勝手が良い。


 ただ、デメリットもある。

 持ち運んでる際は常に魂力を消費するし、どうしても、分解する前より耐久性が下がるのだ。

 流石に、耐久性能が低い防具を着ける訳にはいかないからな。この手法は防具には使えない。

 それに、眠る時などは、解除して魂力を回復させる必要がある。

 持ち運ぶ量が多いと、周囲から取り込む量+自動回復する量より、消費魂力が多くなるしな。


 使い時はしっかりと考えなきゃいけないけど………まぁ、元より、状況に合わせて武器を持ち替える戦法を考えてた俺からすれば、これは実に相性の良い技術だ。

 戦闘前に、わざわざ武器の厳選をしなくてよくなったんだからな。


 ちなみに、今、俺が付けてる防具はミスリル性の物だ。付けてる部位は肘から手・胸・膝から足である。

 色はめんどいから付けてない。ミスリルの色そのまま銀色だ。

 効果は、各種エネルギー耐性・瞬発力強化・持久力強化・筋力強化・痛覚鈍化である。

 また、脚防具には固有オプションが一つ。脚防具に取り付けられたボタンを押すことで、さらに走力を強化できる。

 腕装備にも固有オプションを付けておいた。


 ヨミの防具も俺製だ。

 付けている部位も一緒。

 基本効果も同じだ。

 けど、ヨミの要望で脚装備には固有オプションは付いてない。

 腕装備には帯電と電撃の固有オプションが付いてる。これは初期に渡した物よりグレードアップした物だ。威力も効率も段違(ダンチ)

 また、色も付けてある。銀色であることに変わりはないんだが、俺の物より青みがかってる。


 ヨミは左の掌に右の拳を叩き付けながら、俺に振り向いた。


「……準備はいい?」


「おう、いつでも来い」


 俺は右手で直剣を構えながら、戦闘の合意を出す。


「───分かった」


 ヨミが俺の合意を聞いた───瞬間!


「───は?」


 すでにヨミが俺の左真横まで接近してきていた。


 ヨミが「分かった」と言った瞬間、鈍い音が辺りに響く。

 音がこちらに届いた時には、すでにヨミは目の前から消えており、代わりに砂煙が大きく上がっていた。

 時間にして一秒未満。ヨミが五十メートルを詰めるのに使った時間だ。


 俺は咄嗟に左腕を盾にする。

 ヨミは俺の頭目掛けて左ストレートを繰り出してきた。


「───ッッッ!!!!」


 電気の迸る音が爆音で周囲に響き渡る。

 直撃は免れたものの、攻撃の威力が強すぎて、俺は吹っ飛ばされてしまった。

 なんとか空中で体勢を立て直し、足で地面を引きずることで勢いを殺す。

 はぁ……倒れずに済んだ。ここで倒れたら、一気に後手に回っちまうからな。


 俺は盾にするために上げていた左腕を下ろす。

 腕防具の固有オプション───『電磁バリア』。

 防具に溜めておいた魂力を消費することで、腕の前に円状のバリアを生み出す。

 瞬間的に、磁力と電気を生み出し、それらを上手く動かすことでローレンツ力───つまりは、弾く力を発生させ、相手の攻撃を弾くのだ。

 ヨミの攻撃を受けてほぼ無傷なのはこれのおかげ。

 俺の踏ん張りが足りないせいで吹っ飛ばされたけど、バリア自体は破れてない。

 思い付きで作ってみたけど……使えるな、これ。


 ただ………これ、電気も発生してるから、バリアに近付くと感電する筈……なんだけど、ヨミには効いてないみたいね。

 腕装備に吸われたっぽいな。


 にしても、だ。

 ヨミの奴、躊躇なく頭を狙ってきやがったな!?

 バリア開発してなかったら、ワンチャン死んでたぞ?

 実家訓練と性能テストだって分かってんのか? アイツ。


「………」


 俺がほぼ無傷なのを見て、ヨミは構え直し、軽く一歩、前に踏み出した。

 すると、またしても、さっきと同じように鈍い音が響いてきて、ヨミの居た所で砂煙が大きく上がる。

 ───今度は後ろ!?


「あぶッ!」


 後頭部目掛けて繰り出された右ストレートを、俺はヨミの方に振り向きながら、ヨミから見て左方向に体をズラし、回避した。

 しかし、今回の攻撃は、さっきと違い、躱されても終わらない。左右交互に、どんどんと拳を繰り出してくる! どれも急所目掛けて!

 ホント躊躇ないね!?

 俺はそれを、後ろに下がりながら、なんとか回避し続けた。


 俺がヨミの攻撃を避けられる理由。

 それは勿論、俺の動体視力が優れているから───ではない。


 俺は戦闘が始まる前、とあるアイテムを頭上に投げていた。

 小型自律機能観測機『第三の目』。

 一見、目を模しただけの鉄の塊。

 しかし、コイツは、魂力が尽きるまで宙に浮き続け、瞳に仕込んだカメラ(のような物)が撮った映像を、俺の脳にダイレクトで送ってくれる。

 つまり、俺は、第三の目が機能し続ける限り、常に俯瞰で戦況を把握できるのだ!


 ちなみに、第三の目は宙に浮かんだ鉄の塊だけでは機能しない。俯瞰で戦況を撮る鉄の塊と、その鉄の塊から発信される情報を受け取るアンテナ、この二つが合わさることで、初めて恩恵をもたらすのだ。

 俺はそのアンテナを左耳に付けている。

 鼓膜に小さな穴を空け、直接、そこから脳神経に接続されているため、外す時は注意が必要だ。

 戦闘中に破壊されることも考慮して、アンテナが破壊された瞬間、瞬時に、そして安全に、脳神経から離れるように作ってある。


「───ッッ!!」


 俯瞰と、防具で身体能力を底上げしてるから、なんとか避けれてるけど……マズい、少しでもトチったら、大怪我じゃ済まないぞ、これ。


 ヨミが左の拳を上から叩き付けようとしてくる。

 俺はそれを後ろに大きく跳ぶことで回避を試みた。


「───ッ」


 回避は成功!

 しかし、空振ったヨミの拳がそのまま地面に突き刺さり、地面が割れた。

 なんつー威力だよおい!

 その攻撃で発生した余波が俺の体をさらに宙に浮かす。


 ───チャンス! ヨミと距離ができた!


 俺は、宙に浮いてる状態で、右手に握った直剣を、左腕を巻き込むように振り被る。

 そして、俺は思いっきり剣を真横に振った。


 ヨミと距離があるのは分かってる。

 そもそも、この直剣は相手を斬ることを()()()()()()()

 火炎剣『龍波豪炎丸』。

 別ゲーで使ってた武器を再現したくて作ってみた剣。

 この剣の効果は “赤熱” と “ガス噴射” 。

 この剣は強く握ると、刀身が熱を持つ。人が触れたら、簡単に肌が焦げる温度だ。

 さらに、剣を振ると、振った方向に可燃性ガスを放出する仕組みとなっており、ガスが剣の熱に触れた瞬間、発火。

 炎の小波が相手に向かうという訳だ。


 小波といっても、人一人は簡単に飲み込める大きさよ。

 とはいえ、向かう速度はそこまでだ。

 簡単に回避できるだろう───と、そう思ってた。


 俺は身体強化のおかげでなんなく地面に着地。

 そして、着地してから、俺が見た光景は───


「───ッ!」


 ヨミが拳を斜め上に突き出した瞬間、ヨミに斜め上から迫る炎の波に大きな穴が空いた。

 拳圧で炎を散らしやがった……!

 いや、どんな強さだよ……。

 漫画でしか見たことないぞ、その芸当!


「クソッ」


 俺は火炎剣を原子に還す。

 そのまま武器を再製造。

 作り出したのは───鉄の棒。長さ一メートルほどの棒だ。


 俺はそれを天に掲げる。

 すると、ヨミの頭上にだけ()()が発生。

 それを確認して、俺は鉄の棒を振り下ろした。


 ヨミに()が落ちる。


 天候操作武具『落雷棒』。

 魂力で指定した場所に水蒸気を集め、雨雲を作り、それらを擦り合わせることで雷を生成。

 後は、魂力で上手いこと操作して、棒で指し示した相手に雷を落とすだけだ。


 ただ、落とす前に雨雲が集まるせいで、落下位置がバレバレだし、落とせるのも一発だけ。再び雷を落とそうにも、また雨雲から集め直さないといけない。


「………え?」


 今、俺は顔から血が引いていた。

 割りと欠陥のある武器。

 だから、普通に避けられる、と……思ってたんだけど。

 え、直撃?


「やっば……!」


 だ、だだだ大丈夫か!?

 雷だぞ!? 何、普通に受けてんだよ!

 両手を頭の上で交差してたし、受ける気満々だったぞ!

 いくら頑丈だろうと……肉体改造や魔素による変容で、ちゃんと “電気耐性” を付けておかないと即死だぞ!?


 俺が動揺してる間に、雷で舞い上がった砂煙が晴れていく。


「───!」


 お、無事だ……。

 多少、汚れてはいるけど、怪我は無い。


「………」


 これは予想外だったな。

 流石は俺の作った()()()

 アレには帯電の固有オプションを付けてる。

 電磁バリアの感電も防いだように、雷も吸収しきったのか。

 衝撃だけなら、魔素で強化された肉体で、十分、防げるもんな。


 いやー、我ながら、中々の出来だ。

 つい、俺の口角が上がる。


 ただ、そんな俺とは対照的に、ヨミは歯軋りをした。


 ヨミがまた一歩、前に踏み出す。


「───ッ!」


 また一瞬で距離を詰めてきやがった!

 上段蹴りッ。

 また俺の顔を目掛けて……!

 顔を逸らして、なんとかそれを避ける。

 だけど、避けきれくて、頬が()()()


 切れ……!? 刃物かよ!


「───!?」


 ヨミは伸ばした脚をそのまま俺の首に絡めてきた。

 そして、脚を戻す勢いを利用して、俺の頭を地面に引きずり落とす。

 俺は抵抗できずにうつ伏せで地面に倒されてしまった。


 ぐっ!


「───!」


 やば!


 俺は瞬時に一つの爆弾を作り出す。

 そして、仰向けになると同時に、それをヨミに向けて投げた。


「───」


 俺が爆弾を投げたのを見て、一瞬、ヨミの動きが止まる。

 その間に、俺は右の腕装備で電磁バリアを展開。


 ───爆弾、起動!


 俺とヨミは、爆弾から発生した衝撃波で、お互い、逆方向に吹っ飛ばされた。


 凄まじいエネルギーを魂力で無理やり圧縮し、閉じ込めておいた衝撃弾。

 爆弾の一番上に設置したボタンを押すことで、三秒後、魂力が消え、圧縮されていたエネルギーが開放される。

 ただし、衝撃は凄まじいけど、魔素を十分に取り込んだ相手には大したダメージを与えられない。

 相手と距離を取りたい時に使う兵器だ。


「………ふぅ」


 俺とヨミの間に三十メートルほど距離ができる。

 あッぶねぇな〜。

 ヨミの奴、俺を倒した後、顔面に拳をぶち込むつもりだったな?

 しかも、腕防具、帯電してた。電撃も込みで殴ろうとしてたのかのよ。


 めっちゃ殺気乗ってね!?


 え〜、殺されないように世話焼いてたのに、逆に、ヨミの悪感情を煽ってたってこと? 嘘……。


「───!」


 離れてるにも関わらず、ヨミが両の拳を後ろに引き、構える。

 そして、その拳を交互に連続で前に突き出してきた。

 拳に合わせて衝撃が飛んでくる。


「クソッ!」


 俺は右の腕防具で電磁バリアを展開。

 その衝撃を防ぐ。


 普通さ! 武闘家って近距離特化で遠距離苦手な筈だろ!? 何普通に拳を飛ばしてきてる訳!? もうちょっと武闘家らしく距離取られたら歯噛みしろよ!!


 体感三十秒ほど攻撃が続く。

 衝撃は全て電磁バリアで防いだ。

 だけど、そこそこの威力だったな。一発受ける度、数センチ後退させられた。

 衝撃の連打で、最終的に五メートルくらいは後ろに押されたか?

 多分、これ、一発で岩石、砕けるぞ。


 バリアが脆かったら瀕死だな。危ねぇ。何考えてんだよ?

 ………あ、もしかして、アレか?

 道場では実践的な訓練ばっかだったとか? 道場ではこれが普通とか?

 どんな殺伐とした道場だよ………いや、オススメしたの俺だけどさ。

 あれだな。今度、ちゃんと手加減について教えないと───






「いい加減にしてよ!!」


「───!?」






 いきなり、ヨミが大声を出すものだから、俺の肩が跳ねる。

 え、何? つぅか、なんで怒ってんの?


「私そんなに頼りない!? そんなに弱そうに見える!? 私じゃ武器を試すのに力不足!? 一年頑張って努力したよ!! 力の使い方を学んだ! 体を強くする方法も学んだ! 私ッ……私! ちゃんと強くなったんだよ!! なのに……なのにィ!」


 ヨミが背を曲げ、力いっぱい叫んでる。万力を込めて握った両手を胸の辺りに持っていて、胸の内を吐き出してる。


 ヨミが顔を上げた。

 強い感情で表情が歪んでる。

 離れているにも関わらず、その両目が潤んでいることはなんとなく想像できた。


「私はまだ守られるだけの存在でしかないの!? 私まだ弱い!? まだ認められないの!? 私はまだッアナタと対等になれないの!!?」


「………………」


 な〜に言ってんですかね? この()

 対等だとかなんとか……別に俺、ヨミのこと見下したり足でまといとか思ってないぞ?


 もう一年以上の付き合いだからな〜。

 そりゃ、最初は「邪魔だな」とか「ヨミが居なければな」とか思うこともあったけどさァ。

 今じゃ、それなりに情が湧いてんだぜ?

 ヨミが願うなら、今後も旅の同行を許すつもりだし、強くなりたいと願うなら、これからも武器や防具を作ってやるつもりだ。


 これまで、ヨミを(ないがし)ろにしたり、見下すような発言はしてないと思うんだけど……なんでこう思ったんだ?

 てか、マジでなんで怒ってる? こういうのって、別のことで怒ってからじゃないと出てこない本音だよね。

 俺、なんかやらかした?

 普通に模擬戦闘と性能テストをしてるだけだったんだけど……。


 弱い、武器を試す、強くなった、認められない、対等……。


「………───!」


 そうか! そういうことか!

 ヨミは俺の武器のテストを買って出てくれた。

 弱い相手じゃ大した検証はできない、というのを考慮してくれた上で、だ。

 わざわざライラックに来てから一年経ってから申し出てくれた提案。

 それは、強くなった自信があるからこそ、できる提案。


 つまり、俺の全力を受けても耐え切れる自信があるということ!


 てっきり、ヨミは覚えた技を自慢したいのかと思ってた。

 でも、違う。違った。

 これは、ヨミの善意。

 わざわざ貴重な時間を割いてあげるから、いろんな武器の性能を余すことなく試してみなよ、という誘い!


 そりゃ怒るわ。

 わざわざ労力や時間を割いて実験に付き合ってあげてるのに、相手は遠慮して、まともな検証をしてないんだから。


「………」


 悪いことしたな。


 でも、この場から立ち去らずに怒りを訴えてくるってことは、まだ実験に付き合ってくれるつもりはあるってことだよな?




 ………いいんだよな?




 思わずニヤケちまう。

 怒ってる相手にニヤケ面を晒す訳にはいかないから、左手で口元を隠すけど……表情を元に戻すには少し時間がかかるな。


 ()()()()()()()()()()()()()()()

 それがどうしようもなく嬉しい。


 アレだ。

 自分の作ったおもちゃを自慢したい───そんな子供の気持ちと一緒だ。




 俺にとって『武器』とは、生き残る『方法』……つまりは “手段” でしかなかった。

 死にたくないから、色々と試行錯誤して、様々な技術と武器を開発してきた。

 でも、ずっと続けてると…… “開発” のいろんな側面が見えてくる。

 まぁ……アレだ。楽しくなったんだよ。武器を作るのが。新しい武器を開発するのが面白しくて……うん、人生の楽しみになっていた。

 俺の中で、いつの間にか武器作りが “やらなければならないこと” から “趣味” に変わっていた。


 その “成果” が試せる!

 この一年、我慢してきたことができる!

 やっと!

 俺のこれまでを見ることができる! 見せることができる!


 あぁ……!

 ワクワクしない訳ないよなァ!


「悪かったなァ、ヨミ」


 俺は手元に一つの()()を作り出す。


「ここからは本気だ。あぁ、本気の運用をする」


 勿論、相手を確実に殺すような酷い物は使用しない。

 きちんとラインは弁えてる。それの使用を制す理性は残ってる。

 でも……あぁ、でも、それを考慮した上で、一言。


「死ぬなよ?」


 そう願わずにはいられなかった。

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