第1章 第2話:私に爪痕を残すことになる、あるものの発見。
あの小さな街の入り口を通り過ぎた時のことだ。
セレバーは、この街がどこか懐かしい構造をしていることに気づいた。
街灯があり、店があり、比較的新しい家もある。だがどこか古い時代の空気をまとっている。
「……七十年代か八十年代みたいだな」
歩きながら、人々が話している言葉が聞こえてきた。
ポルトガル語だ。自分の母語である。
それは最低でも、かなり奇妙なことだった。
街を少し探索しているうちに、視線に気づく。
何人かが露骨に睨み、何人かは横目で見ている。
それに加えて、小声のささやきが耳に入ってきた。
「あの男、誰だ?」
「見たことないな」
「外人だろ」
「黒い結社の一員じゃねえか?」
セレバーは無視したが、気にはなった。
「黒い結社……? あんまり歓迎されそうな名前じゃねえな。まあ、いいか」
さらに歩いていると、動物の特徴を持った人々が目に入った。
獣人だ。人間と同じように話し、交流している。
「変な世界だな」
偏見ではなく、純粋な驚きで彼はそう呟いた。
そして前方には、銃を持った人々がいた。
リボルバー、ショットガン、ライフル。どれも古い型のものだ。
「マジかよ……銃まであるのか」
少し先に、開いている酒場が見えた。
セレバーはそこへ向かった。
入口の前で二秒ほど立ち止まる。人が多い場所は、あまり得意ではなかった。
それでも中に入り、何か食べられるものはないかと様子を見た。
しかし、この世界の通貨は自分の世界のものとは全く違っていた。
「この腕時計、お金に換えられますか?」
「ああ。五リリオスでいい」
店主が答える。
『この世界の通貨はリリオスっていうのか』
セレバーは二リリオスの紙幣と一リリオスの硬貨を使い、弁当を買った。
「弁当、ください」
酒場を出た時、セレバーは気づかなかった。
四人の傭兵が、自分とよく似た男を探しながら、彼を観察していたことを。
薄暗く、人通りのない路地を歩いていたところを、四人に囲まれた。
「何か用ですか?」
リーダーらしき男がナイフを抜き、いきなり斬りかかってきた。
セレバーはギリギリで避ける。
「正気かよ、兄貴!?」
「押さえろ」
残りの三人も襲いかかってきた。
セレバーは不格好にパンチとキックで応戦した。
前の世界で、曾祖父にカポエイラとボクシングをみっちり仕込まれていたおかげで、完全にやられることは避けられた。
それでも、腕に深い切り傷を負い、パニックになって後ろも見ずに逃げ出した。
その直後、金属が擦れるような音がした。
次の瞬間、右肩に弾丸がめり込む。激痛でその場に膝をついた。
肩の中で、無数の小さなガラス片が散らばったような感覚がする。
傭兵たちが近づき、二人の部下が彼を押さえつける。
痛みに耐えながら、セレバーは混乱して尋ねた。
「……何だ、これ……?」
「これか? 黒曜石の破片を仕込んだ特製弾だ。お前で結構な稼ぎになるぜ」
「何の話だ……?」
肩から血が流れ続ける中、傭兵は一枚の手配書を見せた。
そこには、セレバーによく似た、しかし顎に髭のある男の顔が描かれており、報酬は五百リリオスと記されていた。
「お前と俺は全然違うだろ! 俺に髭なんか一本もない!」
セレバーがそう叫ぶと、左肩にもう一発撃ち込まれた。
「誤魔化すな、ゴミが」
リボルバーの撃鉄を起こし、傭兵はセレバーの頭に銃口を向ける。
『ここで死ぬわけにはいかない。あの方が与えた目的すら、まだわかってないのに……』
恐怖で目を閉じた。
躊躇なく、銃声が響いた。
頭に弾を受けても、セレバーは即座には死ななかった。
数秒間、意識が残っていた。
それが、これまでの人生で最も混乱した数秒だった。
リーダーがポケットからボタン式の携帯電話を取り出し、自分の写真を撮っているのが見えた。
おそらく依頼主に見せるためだろう。
視界が完全に暗くなる寸前、セレバーは妙なことを思った。
『……頭を撃たれるって、こういう感覚なのか……』
その時、脳内に雷鳴のような低くて力強い声が響いた。
『殺すなかれ』
セレバーが目を開けると、そこは酒場の入口だった。
まだショックが抜けないまま、彼は入口の脇で嘔吐した。
腕を切られた痛み、両肩を撃たれた感覚、死の恐怖が、生々しく残っている。
「……死んでなかった……?」
再び吐きそうになり、手で口を押さえる。
手が震え、呼吸が乱れる。壁に背中を預けて座り込んだ。
「何だったのかわからねえ……けど、絶対に普通じゃない」
「幻覚のはずがない。あの痛みが、まだ残ってる」
肩を強く押さえて、残る幻痛を抑えようとする。
「……もう、考えるのはやめよう」
力が戻ると、再び酒場に入り、店主のところへ行った。
「やあ、また」
店主はきょとんとした顔で答えた。
「また? 初対面だろ」
セレバーは立ち止まり、考える。
『本当にあれは幻覚だったのか? ……いや、考えすぎない方がいい』
「で、何にする、兄ちゃん」
「この腕時計を、弁当と飲み物に換えてくれ」
「わかった。ちょっと鑑定するぜ」
店主は二リリオスの紙幣二枚と一リリオスの硬貨を渡した。
セレバーは弁当を買い、椅子に座って食べた。
出る前に横目で見ると、例の傭兵たちが自分を見ていた。
酒場を飛び出し、助けを求めて必死に走った。
途中、身長およそ一メートル七十八センチの金髪の男とすれ違う。サングラスをかけ、腰に剣を帯びている。
『助けを頼めそうな奴に見えるけど……なんか偉そうな顔してるし、やめとくか』
無視して、近くにいた衛兵のところへ走った。
「助けてください! 傭兵に狙われてます!」
「傭兵に狙われてるってことは、お前が手配犯ってことだな」
「は……?」
衛兵はセレバーに手錠をかけ、牢へ連行しようとした。
同じ路地に差しかかったところで、再び傭兵たちに囲まれる。
衛兵は抵抗しようとしたが、背後から刺され、頭を撃たれて倒れた。
手錠をかけられたセレバーは何もできず、一方的に殴られた。
「お前で結構稼げるぜ」
リーダーがリボルバーを向ける。
セレバーは慌てて何かを言おうとしたが、腹に一発撃ち込まれた。
後ろの三人は、彼の痛みを見て笑い始めた。
「どうした? 泣くのか?」
その挑発に、セレバーは激しく歯ぎしりした。
何か言い返そうとした瞬間、最後の一発が頭を貫いた。
『殺すなかれ』
目を開けると、また酒場の中にいた。
同じことが、繰り返される。
酒場、トラウマ、恐怖。
「何にする、兄ちゃん?」
店主の声に、セレバーは一瞬固まってから答えた。
「……腕時計を換えてくれ」
五リリオスを手に入れ、弁当と水を買った。
外に出るのが怖かった。また同じ目に遭うとわかっていたからだ。
それでも外に出て、今度はあの金髪の男に助けを求めた。
「助けてください。殺されそうなんです」
「ああ、わかった。どこにいる、そのクソどもは?」
セレバーは少し驚いた。
『見た目は偉そうなのに、意外と良い奴だ……』
「こっちです!」
再び同じ路地へ向かうと、傭兵たちが待ち構えていた。
「お前でかなり稼げるぜ」
三人の部下が襲いかかってくる。
しかし金髪の男は一瞬も躊躇しなかった。
剣から白い光の軌跡が走り、傭兵たちはその場で昏倒した。
セレバーは目を見開いた。
『……この世界には、魔法があるのか』
どう思いましたか?




