おまけ
「おはよう。東魁。突然だけど、俺とコンビを組んでお笑い芸人を目指さないか?」
「新学期早々、朝から何を言っているんだ麻痺棚? お前、頭大丈夫か?」
「俺は常時イケメンで至って通常運行中だ。聞いてくれ東魁。俺分かったんだ。悔しいけど俺には東魁みたいに人を笑わせる話術が無い。だけどボケなら出来る。お前が突っ込み。俺がボケ。これで死角無しだ。問題解決だ」
「何も問題は解決してねえよ。お前ホントにどうした? 休み中に暑さで頭やられたのか? そもそも俺は親父の病院継ぐから仕事はもう決まってんの」
「あの潰れる寸前と噂の皮膚科か? 継ぐのは止めといたほうがいいんじゃないのか?」
「潰れねーよ。バリバリ地域に密着した安定経営してるよ。お前失礼極まり無いこと言うなよ?」
「分かった。じゃあ百歩譲って兼業を認めよう。月曜日から土曜日までは芸人活動。日曜日は皮膚科で先生やれ。それでいいな?」
「良くねーよ。なんで週7日の内6日が芸人活動で1日か先生なんだよ、休みが1日たりとも無いじゃねーか。過労死で殺す気か? 大体日曜日はうちの皮膚科は休みなんだよ」
「これも駄目。あれも駄目。東魁、お前本気でお笑い芸人を目指すつもりあるのか?」
「目指してねーよ。徹頭徹尾、最初から最後まで 興味ねーから。麻痺棚。お前ホントに朝からうざ絡みするの止めてくれよ」
「チッ。美人の彼女がいる奴は態度が違うな。同じクラスメイトの女の子を振った癖に」
「か、関係ねーだろ? それ今? 何でお笑い芸人目指そうぜ、からそこに話が飛ぶんだよ?」
「で? どうなんだよ? その美人な彼女とは上手くいっているのか? 戸室坂さん振った癖に」
「だ、だから今それ関係ねーだろ? あと戸室坂の名前出すなよ? 俺は良くても彼女に迷惑がかかるだろ?」
「ふん。噂以上の偽善者野郎だな。お前みたいな奴は特技を生かして生きて行くしかないんだよ。まひるちゃん振った癖に」
「偽善者とか関係ねーだろ? ん? 麻痺棚、お前戸室坂の事を今名前で呼んだ?え? お前等そんな仲がいいの?」
「振った相手の仲がいい男が気になりますか。やれやれ。東魁。お前まさか、まひるちゃんがまだお前の事を好きだと思っているのか? グラウンドでまひるちゃんに恥をかかせた癖に」
「お、思ってねーよ! 何でグラウンドの事をお前が知ってるんだよ? て言うかどちらかと言うと、恥かいたのは俺の方だからな?」
「やれやれ。全ての責任をまひるちゃんに押しつける気か。坊主頭の癖に」
「坊主頭関係ねーだろ? 麻痺棚、お前本当にいい加減にしろよ?」
「分かったよ。東魁。今度クラスの皆でカラオケに行く話があるだろ? 勿論まひるちゃんも行く。俺がその気になれば、狭いボックス内でお前とまひるちゃんを2人きりにする事も出来るんだぞ?」
「はああ? 何でそんな事をするんだよ? めちゃくちゃ気まずいだろう? 止めろよ絶対に」
「取り引きだ。東魁。まひるちゃんと2人きりになりたくなかったら、取り敢えず俺達のコンビ名を決めよう。それで手を打とう」
「何だよそれ? 意味不明だっつーの。なんでカラオケで公開処刑の話からコンビ名の話に飛ぶんだよ?」
「永遠の坊主頭とイケメン。このコンビ名でどうだ ?」
「なんだそのコンビ名? 永遠の坊主頭? 俺一生坊主頭にしなきゃならねーのか?」
「何か支障あるか?」
「支障ありまくりだわ。俺は部活引退したら髪の毛を伸ばす予定なんだよ」
「フッ。その顔で?」
「顔関係ねーだろ? おい麻痺棚。いい加減に俺本当に怒るぞ?」
「分かったよ。東魁。永遠の偽善者とイケメン。コンビ名はこれでどうだ?」
「感じ悪すぎだわ! 何で俺が貶められてお前がずっとイケメン枠なんだよ?」
「だって実際、俺イケメンだから」
「ま、まあ。そこだけは認めるよ」
「東魁〜。麻痺棚〜。朝礼始めるから席につけ〜」
教室に入ってきた担任の声が響き、俊による優仁へのお笑い芸人勧誘は中断された。




