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足手まといの没落貴族を拾ったら、数年後、相棒へと成長した彼から逃げられません  作者: *しおり*
第三部

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新たな日々4

雲海を抜けた先、鉛色の海面に不気味な威容を誇る巨大な洋上プラントのシルエットが、みるみるうちに拡大していく。

 ロレンツォの腹の底で煮え滾るような焦燥と殺意を乗せ、双発の飛行艇が急降下に入った、まさにその時だった。


「——おいおい、冗談だろ!?」

 操縦席のレオンの顔から一瞬にして血の気が引き、彼はいきなり操縦桿を力任せに手前に引き絞った。


ギュガァァァンッ!

 機体の金属フレームが悲鳴を上げ、内臓が押し潰されるような強烈な重力(G)が三人を襲う。急上昇の反動で、後部座席のロレンツォの身体が硬いベンチに叩きつけられた。


「な、なんだ!?」

「下を見ろ! 海だけじゃなく、空まで完全に『網』を張ってやがる!」


レオンの叫びに、ニコが助手席の窓へ顔を張り付ける。

 眼下のプラントの周囲を取り囲むように、無数の無機質な赤い光点が、蜂の群れのように不規則な軌道で飛び交っていた。

 新興商会の最新鋭『自律型対空兵器』——蒸気駆動の自律型偵察機だ。冷たい機械の羽音が、エンジンの轟音の下からでも鼓膜を引っ掻くように聞こえてくる。


「……ッ、海洋算術、展開……!」


ロレンツォはこめかみを強く押さえ、網膜の裏側に青白い数式を走らせた。


敵機の巡回ルート、レーザーの射角、機体の最高速度、風向風速による自律制御のタイムラグ。数百にも及ぶ変数を、人間の脳髄という脆弱なハードウェアで強引に並列処理しようとする。


「がっ……、ぐぅ……ッ!」


ロレンツォの口から、苦痛を押し殺した低く獣のような呻きが漏れた。 脳が焼け焦げるような異常な熱を発し、額から滝のように冷たい脂汗が吹き出す。


限界を超えた処理速度に悲鳴を上げた眼球の毛細血管が切れ、彼の白目がじわりと赤く染まる。 さらに、端正な鼻筋を伝って、一筋の赤い鼻血がツツーッと顎へと滴り落ちた。


「ロレンツォ……ッ!」


助手席から振り返ったニコは、その痛々しい姿に息を呑み、全身の血の気が引くのを感じた。


(……こいつ、こんな身を削るような無茶を、ずっと私の見えないところで続けていたのか)


『凡人が触れれば一秒で狂死する』と言われる、古代帝国の狂気の演算技術。それを戦闘のたびにフル稼働させ、完璧にニコの死角を守り続けてきた青年の代償は、彼女の想像を遥かに絶するほど重いものだったのだ。 限界を超えた脳の熱のせいで、彼の呼吸はヒューッと細く、不規則に鳴っている。


(私の背中を庇うために、こいつは命を削りすぎている。……このままじゃ、いつか私のせいで、こいつの脳が焼き切れて死んでしまう!)


自分のような血生臭い女の命を守るために、こんな眩しい未来のある男が身を滅ぼすなど、絶対にあってはならない。 強烈な焦燥感と恐怖が、ニコの心臓をギリギリと力任せに締め上げた。


ニコが思わず手を伸ばそうとした、その時。 ロレンツォは顎を伝う鼻血を革手袋の甲で無造作に拭い去り、奥歯をギリッと噛み鳴らして重く息を吐き出した。


「……ダメだ。引き返せ、レオン。機体を雲海に戻せ」


それは、脳髄を焼く苦痛の中で彼が弾き出した、怒りや焦りを完全に削ぎ落とした残酷なまでの絶対解だった。


「なんだって!? ここまで来て尻尾巻いて逃げるのかい!」

 ニコが血相を変えて振り返るが、ロレンツォの瞳は氷のように冷徹だった。


「あの密度では、どんな神業の操縦でも一瞬で蜂の巣にされる。……生存確率はゼロだ。強行突破は不可能だ」

 怒りや焦りを完全に削ぎ落とした、残酷なまでの絶対解。

 チッ、と。ニコは忌々しげにコンソールを叩き、レオンは無言のままスロットルを押し込んで、機体を再び分厚い灰色の雲海の中へと潜り込ませた。


* * *


視界を真っ白な雲に塞がれた機内で、重い沈黙が落ちる。

 ロレンツォはハンカチで額の汗を拭いながら、突破口を計算し直していた。その時、操縦席の無線機がガガッ、と不快なノイズを立てた。


『……あー、あー。聞こえるか、ロレンツォ、ニコ! 電波状況が最悪だけど、繋がってるか!?』

 スピーカーから響いたのは、ルカの焦った声だった。


「ルカか! こっちは上空だ。プラントの防衛網が厚すぎて手が出せない!」

 ロレンツォが身を乗り出してマイクを掴むと、ノイズ混じりのルカの声が早口で告げた。


『だろうな! さっきウチの情報網にヤバいネタが引っかかった。……あのプラントの自律防衛網を、一時的に無効化できる『マスターコード』が存在するらしい!』

「なんだと!?」

『だが厄介なことに、そいつが今夜、中立海域を航行中の豪華客船で開催される『旧貴族の裏オークション』に出品される手はずになってる! 新興商会のライバル企業が、コードを横流ししたんだ!』


機内の空気が、ピンと張り詰める。

 もしそのコードが別の組織に買い取られてしまえば、あのプラントへの侵入ルートは永遠に閉ざされることになる。


「……その客船の現在地と名前は?」

 ロレンツォが低く尋ねる。

『船の名は『パラディソ号』。現在地はそこから南南東へ三十海里ってところだ。……頼むぜ、それを逃したらこの依頼金がパーになっちまう!』

 通信がブツリと途切れる。


「……レオン、進路変更だ」

 ロレンツォが後部座席から鋭く指示を飛ばす。

「南南東へ三十海里。その『パラディソ号』を追う」


「おいおい、また無茶言うぜ……っ、しっかり掴まってろよ!」

 レオンが操縦桿を切り、飛行艇は雲海の中で大きく機体を傾け、新たな標的へと向かって夜の闇を切り裂き始めた。


* * *


重厚なベルベットの扉の向こうに、ロレンツォとニコの影が消えてから数日が経った頃。 海に浮かぶ不夜城、豪華客船の最奥にあるVIP専用バーは、相変わらずむせ返るような紫煙と香水の匂いに満ちていた。

ヴィンセントは琥珀色のグラスを傾けながら、背後に控えていた部下からの報告を無言で聞いていた。

「……手筈通り、中立海域の客船で開催される『マスターコード』の裏オークションの件、ステラ・ガルドの若い情報屋ルカの網に意図的に引っかかるよう、情報を流しておきました」


部下が恭しく一礼して去ると、隣で真紅のドレスを揺らしていたカルメンが、艶やかな唇をほころばせてクスクスと笑った。


「あなたも人が悪いわね。新興商会のプラントの自律防衛網を無効化できるマスターコードの情報

なんて、本来なら金貨の山を積まれても流さない極秘ネタじゃない。……それをわざわざ、あの子たちの仲間の情報屋に『タダで』拾わせてあげるなんて」 カルメンは扇を閉じ、ヴィンセントの横顔をからかうように見つめた。


「損得勘定だけで動く氷の男が、ずいぶんと甘くなったものね」

「ただの気まぐれさ」 ヴィンセントはシガーの灰を落とし、肩をすくめた。 「あの過保護な番犬と、意地っ張りな掃除屋。……あいつらの『焦れったい恋愛ゲーム』が、この狂った世界をどうひっくり返すのか。その結末を特等席で見物するための、ちょっと奮発した入場料ってところかな」


ヴィンセントの口ぶりは相変わらず軽薄だったが、カルメンはクスリと笑って自身のグラスを掲げた。


「ええ。あの子たちが必死に足掻く姿を見ていると……安全な場所で傍観しているだけの自分が、少しだけ退屈に思えてくるのよね」


常に他人の人生をゲームの盤面として見下ろし、泥を被ることを避けて退廃的な享楽に溺れていた彼ら。


だが、泥水をすすり、傷だらけになりながらも互いのために命を懸けるロレンツォとニコの『泥臭い純情』は、いつの間にか、この冷酷な裏社会のトップたちの心にも、採算度外視で若者たちの未来に賭けたくなるほどの微かな「熱」を伝染させていたのだ。


「……さて。極上の夜会パーティーの始まりに、賭けといくか」 「ええ。あの子たちの無事を祈って」 カラン、と。


琥珀色のグラスが合わさる静かな音が、狂騒の不夜城の奥底に溶けていった。


* * *


数十分後。

 雲の切れ間から、夜の漆黒の海に浮かぶ、眩い光の塊が見えてきた。

 海に浮かぶ不夜城。何層にも重なるデッキに豪華なシャンデリアが輝く、超大型客船『パラディソ号』だ。


「……だが、どうやってあのコードを奪う気だい」

 ニコが窓ガラスに額を押し付け、咥えタバコを揺らしながら忌々しげに呟いた。

「あんな船で裏オークションが開かれるってことは、参加条件は『由緒正しき旧貴族』か、裏社会のトップクラスの大物だけだ。私みたいな泥臭い掃除屋や、そこの油臭い空賊が正面から行ったって、入り口の犬に追い返されるのがオチだよ」


「まあ、俺たちゃ完全に場違いだな」

 レオンもツナギの油汚れをパンパンと払いながら、あっけらかんと笑う。


「……なら、僕が行く」

 後部座席から響いた、落ち着き払った声。

 ニコが振り返ると、ロレンツォは揺れる機内で姿勢を一切崩すことなく、完璧に仕立てられた黒いスーツの襟元を、指先で静かに正していた。


「僕が『バルディ家当主』として正面から堂々と潜入し、あのコードを落札……いや、状況次第では強奪する。僕の顔と家柄なら、あの船のブラックリストには引っかからないはずだ」


氷のように冷たく、それでいて傲慢なまでの絶対的な自信。

 ニコは目を丸くしたが、すぐに納得したように「チッ」と短く舌打ちをした。

「……なるほどね。お坊ちゃんの特権ってやつか。なら、アタシたちは裏から荷物用ハッチをこじ開けて……」


「待てよ、姉ちゃん」

 操縦桿を握るレオンが、ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべて口を挟んだ。

「ああいう貴族様の夜会ってのは、男が一人で歩いてたら逆に怪しまれるぜ。暗黙のルールで、『パートナー(同伴者の女性)』をエスコートして入場するのが礼儀ってやつだろ?」


「あ……?」

 ニコのタバコを持つ手が、不自然にピタリと止まる。


「じゃあ、姉ちゃんがドレス着てエスコートされりゃ完璧だな!」

 レオンが能天気に言い放った瞬間、ニコの顔が、耳の裏まで一気に茹でダコのように真っ赤に染め上がった。


「は、はあぁぁっ!?」

 ニコはタバコのフィルターを噛みちぎらんばかりに食いしばり、レオンの座席の背もたれをガンッ!と蹴り上げた。

「ア、アタシみたいな、機械油と血の匂いしかしないババアが、ドレスなんて着れるわけないだろ! だいたい、この傷だらけの腕のどこに、そんなヒラヒラした布を巻けってんだ!」


パニックになり、顔を火のようにして喚き散らすニコ。

 だが、その背後で。

 ロレンツォは、腕を組んだまま無言で彼女の細い背中を見つめていた。


(……ニコが、ドレスを……?)

 その想像が脳裏を掠めた瞬間、ロレンツォの耳の先端がカッと熱を帯びた。

 だが彼は、その強烈な動揺を氷のような無表情の下に完全に隠し込み、大人の男の余裕を装って、低く、退廃的な声で言い放った。


「……レオンの言う通りだ。君には、僕のパートナーとして同伴してもらう」

「なっ、ロレンツォ! アンタまで本気で言ってんのか!?」


「当然だ。君の右の死角は僕のものだが……僕のエスコートの席も、他の誰かに譲る気はない」

 有無を言わさぬ、傲慢なまでの所有権の主張。

 ロレンツォの暗く熱を帯びた瞳に真っ向から射抜かれ、ニコの抗議の声は喉の奥で完全に引き攣って止まった。


「さあ、着水するぜ! 姉ちゃんの極上のおめかし、楽しみにしてるからな!」

 レオンの陽気な声と共に、飛行艇は夜の闇に浮かぶ不夜城『パラディソ号』の死角となる海面へ向けて、静かに降下していった。



漆黒の波間を滑るように、双発の飛行艇が海面すれすれを飛翔していた。

 雲海を抜け、夜の帳が完全に下りたアルラド海。そのただ中に、眩いばかりの光を放つ超大型豪華客船『パラディソ号』が、不夜城のごとき威容を誇って浮かんでいる。


数十分前。分厚い雲海の中でルカから通信が入った際、雑音混じりの声は厄介な追加情報を伝えてきていた。


『気をつけろよ。その裏オークションには、極上の情報と金目当てに、有名な情報屋のヤバい奴らもVIP客として乗船してるって噂だ。見つかって足元見られないようにしろよ』


その警告に対し、後部座席で腕を組んでいたロレンツォは、少しだけ沈黙した後、暗闇の中でフッと口角を上げていた。

「……いや、好都合だ」

 彼は冷徹な計算式を脳内で組み立てながら、淡々と答える。

「最上級のVIPフロアは、裏社会の大物たちのプライバシーを極端に重んじる。結果として、一般フロアよりも警備兵の巡回密度は確実に薄くなる。潜入するなら、あいつらが滞在しているVIPフロアの死角を狙う」


ーーそして現在。

 レオンの神業的な操縦により、飛行艇は客船の巨大なレーダーが捉えきれない船尾の死角——波が砕ける海面すれすれの位置に、音もなくピタリと係留された。

 塩辛い潮飛沫が、容赦なく機体を洗う。


「……俺はここでエンジン温めて待ってるぜ」

 レオンは操縦席からゴーグルを額に押し上げ、ニカッと白い歯を見せて笑った。

「しくじって海に落ちてきても、拾ってやらないからな。無事に『おめかし』してこいよ、姉ちゃん!」

「うるさいね! 誰がドレスなんか着るかい!」

 ニコは顔を真っ赤にして吐き捨てると、愛用の機関銃を背負い直し、ロレンツォと共に飛行艇から船体側面のメンテナンス用タラップへと跳び移った。


冷たい鉄の梯子をよじ登り、従業員用の搬入ハッチをナイフの柄でこじ開ける。

 ギィ、という鈍い音と共に内部へ滑り込むと、むせ返るような潮の匂いが、消毒液と高級なフロアワックスの匂いに一瞬で塗り替えられた。

 足の裏から、巨大な客船のエンジンの重低音が伝わってくる。


二人は足音を完全に殺し、ロレンツォの脳内にインプットされた客船の構造図を頼りに、薄暗い従業員用通路や換気ダクトを這うようにして進んだ。

 ロレンツォの計算通り、下層の一般客室エリアの厳重な警備を抜け、上層のVIPフロアに近づくにつれて、監視カメラの死角が増え、巡回兵の数は極端に減っていった。


だが、目的の衣装部屋まであと数ブロックという、ふかふかの絨毯が敷かれた廊下へ出た、その時だった。


「……第4区画、異常なし。引き続き巡回ルートBへ移行する」

 角の向こうから、無線機のノイズと共に、複数の重いブーツの足音が急速に近づいてきた。

 不測の事態。オークションの開始時間が迫り、イレギュラーな巡回ルートの変更が行われたのだ。


「チッ……!」

 ニコが舌打ちをし、背中の機関銃に手を伸ばそうとする。

 だが、ここで発砲すれば、船中の警備がハチの巣をつついたような騒ぎになる。


「こっちだ!」

 ロレンツォが咄嗟にニコの腕を掴み、すぐ真横にあった豪奢な木目調の扉——「上級スイートルーム」のバルコニーに通じるガラス窓へと彼女を引きずり込んだ。

 彼は迷いなく実戦用短剣の柄で窓のロックを乱暴に砕き、そのまま二人は折り重なるようにして、部屋の分厚い絨毯の上へと転がり込んだ。


ガシャン、と砕けたガラスの音が、分厚いカーテンの向こう側に吸い込まれる。

 直後。

 カチャン……と、薄暗い部屋の奥で、クリスタルガラスが受け皿に落ちる甲高い音が響いた。


ロレンツォとニコが弾かれたように顔を上げる。

 アンバーの温かいランプに照らされた部屋の中は、むせ返るような、濃厚な薔薇と麝香の香水が充満していた。潮と機械油の匂いが染み付いた彼らとは、決定的に相容れない退廃的な匂い。


部屋の奥、重厚なベルベットのソファ。

 そこに座っていたのは、カジノ船の時以上に扇情的な、背中が腰まで開いた真紅の夜会ドレスを纏った女——カルメンだった。

 ヴィンセントはオークションの事前交渉で席を外しているのか、彼女は一人で琥珀色のグラスを傾けていたらしい。


カルメンは、窓から泥だらけで転がり込んできた二人を見て、持っていたグラスを床に落としそうになるほど、長い睫毛に縁取られた目を限界まで丸くしていた。


「……えっ!?」

 完璧な大人の女の余裕が崩れ、素っ頓狂な声が漏れる。

「ちょっと、あなたたち……ロレンツォに、ニコ!? あらやだ! 場違いなあなたたちが、どうしてこんな所にいるのかしら!?」

 カルメンは慌ててソファから立ち上がり、ドレスの裾を翻した。

「つい数日前に、カジノ船で別れたばかりじゃない!」


ニコは床に転がったまま「チッ」と特大の舌打ちをし、ジャケットについたガラス片を払いながらのろのろと立ち上がった。

「……最悪だ。よりによって、あんたの部屋を引き当てるなんてね。香水の匂いで鼻が曲がりそうだよ」


「それはこっちの台詞よ!」

 カルメンが、信じられないものを見るように二人を指差す。

「『死人の遺産を終わらせに行く』ってカッコよく出て行ったくせに、なんでこんな中立船のVIPルームに、泥だらけのネズミみたいにコソコソ這い込んでくるのよ!」


騒ぎ立てるカルメンに対し、ロレンツォは乱れたスーツの襟元を静かに払いながら、一切の動揺を見せずに立ち上がった。

 そして、氷のように冷たく、ひどく落ち着いた声で告げる。


「……予定が狂ってね」

 ロレンツォの退廃的な熱を帯びた瞳が、カルメンを真っ直ぐに射抜く。

「急遽、この船に出品される『マスターコード』が必要になったんだ。……少しの間、この部屋を借りるぞ」

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