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二人で漢字る感じ  作者: M


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10/12

【儚】

【儚】

訓読み:はかな-い、くら-い

音読み:ボウ、モウ

部首:人

画数:15

意味

 1 束の間であっけない

 2 あてにならない

 3 暗い。ぼんやりとした



 彼はイヤホンで音楽を聞いていた。

 私は右手のカップを彼の前に、左手のグラスを自分の前に置く。


「何聞いてるの?」

「『強く儚い者たち』って歌」

「……へー、強くて儚いんだ」


 彼は少しだけ笑った。


「タイトルだけで無理に反応しようとしなくても良いよ。知らない曲でしょ」

「うん、ごめん」

「良い歌だよ。聴いてみる?」


 彼はスマホを、イヤホンからスピーカーに切り替えた。

 

「とても美しい曲ね。伸びやかで綺麗な声」

「好きな歌手なんだ」


 音楽が終わり、彼はスマホを片付ける。


「感想ある?」

「夢みたいな雰囲気の歌なのに、現実を突きつけられたような怖さがある」


 彼は微笑んだ。


「人は、強くて儚いだろ?」


 彼の言葉に、私は頷いた。今度は心からそう思った。

 儚い。

 あっと言う間に終わってしまうイメージ。


「人の夢と書いて『儚い』って、皮肉っぽいよね。将来の夢なんて、儚いものなのかな」

「『夢』が将来の夢として使われるようになったのは明治以降なんだ。寝ている時に見る『夢』の方は、虚しくて儚いものって考えがあったのかもしれないね」


 私はその考えに違和感を覚える。


「うーん。でも、儚いものって美しいイメージあるよね」

「え、そうかな?」

「桜や線香花火、シャボン玉とか。儚いからこそ美しいみたいな」


 彼は「あー」と言いながら納得する。


「つまり、人の夢は美しいってことじゃないかしら。それは将来の夢も含めて」

「そういう君のポジティブな感じ方、大好きだよ」

「そう?」


 褒められて、ちょっと嬉しい。


「きっと、どんな夢だって美しいんだろうね」

「私の夢も美しいかな?」


 彼は座り直して、軽く頬杖をつく。

 ちょっと砕けた格好だけど、彼が聞き上手になるのはこの体勢。


「その夢、聞かせてよ」

「うん」

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