376話 6月25日#05〜相棒の名前①〜
私――ソフィアと、レイ、テン、ソラ、ミライの5人で、陰気で暗い霧の中を歩いていた。
――と、いったものの、実際はそこまで不快ではなかった。上空を空賊のドラゴンたちが飛び回っており、翼による風と火炎で霧が少しずつ晴れてきていた。
「……あー。私も魔法使って霧払いしたほうがいい?」
レイは、誰にともなく訊ねた。
「君の魔法は、威力が高いからな」私も、何となく口を開いた。「街を破壊しかねないし……街の様子を見てから判断しよう」
しかし、街の中心へ向かっていると、私は血と煙のにおいを感じ取った。
「そろそろ、ゾンビが出てくるぞ」
その数分後、道の向こうからゆっくりと、多くの人が歩いてきた。みんなひどい傷を負っていて、どう見ても死んでいた。
その時、レイが一歩前へ進んだ。
「……あ、レイさん」テンが声をかけた。「あのゾンビ、魔法が効か……」
「『クリムゾンブレス』!」
レイの炎が先頭のゾンビに当たり、ゾンビは後ろへ吹っ飛んだ。後続も総崩れとなり、ゾンビたちは地面に倒れ、もがき始めた。
「……あ!」
テンは何かを思いついたらしく、突然早口で呪文を唱えた――この男、絶対早口言葉の達人だよな。
テンがパチンと指を鳴らすと、ひと塊になっていたゾンビどもが、みんな『落とし穴』に落ちた。
「僕だけだと、ゾンビが落ちてくれるのを待つしかなかったけど、レイさんの魔法と組み合わせれば、ゾンビを落とし放題だね!」
こんな状況なのに、テンは結構嬉しそうだった。レイと共同戦線を張れると喜んでいるんだろう。
「……なら、俺の『兵器』も組み合わせれば、もっとゾンビを狩れるな」
――あ、ミライが出てきた途端、テンが少し悲しそうな顔をした。
そんなのお構いなしに、ミライは『鏡』から小さな『兵器』を取り出し、それを軽く蹴った。
『兵器』は大きくなり、人が乗れそうな大きさにまでなった。
「全員、耳を塞げ」
言われたとおりにすると、『兵器』が爆音を鳴らし、太い『槍』のようなものをいくつか発射した。
『槍』は地面に当たるとすべて爆発し、ゾンビを木っ端微塵にした。
「……その『兵器』、私の魔法より効いてそうだな」再び静かになってから、レイはぽつんとつぶやいた。
「そうだ……ちなみにこれは、『ロケット砲』と言う。さっき俺が使ったのは『多連装ロケット砲』と呼ばれ、ロケット弾を複数同時に発射できるタイプだ。今から150年後の未来では、自動車に搭載されたタイプが各国で……」
「……先へ進もう」
ミライには悪いが、私たちはさっさと先へ進むことにした。
そんな感じで、レイとテンとミライがゾンビや霧を払っていると、やがて奥の方から2人の人間が近づいてくるのが見えた――この動きは、ゾンビではない。
「……たく。「もー、めんどくせーんだよ!」っつったのに、何だあの『ゾンビばばあ』、アタシをこんなところへ放り込みやがって……しかも今、目の前に何かいるし」
「スターリア……」
「拙者も「もうこりごりでござる」と言ったはずなのに、気がついたらこんな霧の中で迷っていたでござる」
「ファール……」
「つーか、どっか行け、この『エセ忍者』!」スターリアがファールを蹴り飛ばした。「あいつらのうちの好きな奴と戦ってろ!」
「痛いでござる!文句を言うなら、その『ゾンビばばあ』に言うでござる!」
――やはり、敵はお互いに協力し合うことはしないらしい。
「この霧を晴らすなら、シーラを探すのが手っ取り早い」私は、前にいる2人に声をかけた。「レイ、テン。2人はシーラと……スカーレットも探してくれ」
「「了解!」」
レイは1人で飛んでいこうとしたが、テンがその手を掴んで「一緒に行こう!」と走り始めた――2人については私もいろいろ思うところはあるが、2人とも強いので、きっと何とかなるだろう。
「『何か』が霧の中に大量にいる」ミライが気を張りつめて、周囲の様子を感じ取っている。「まあ、『何』なのかは、見なくてもわかるが」
「ゾンビと……ファールの分身……」
ソラの言うとおり、霧の中からゾンビと忍者がたくさん現れた。
『ゾンビと忍者』……コワいけど、何かシュールで面白い笑




