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月と星座と剣士の旅〜魔法が苦手な俺が、魔法で神様を救う話〜  作者: く~が~
ウェヌス編

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375/380

375話 6月25日#04

 「では、ここで分かれよう」



 ウェヌスを覆う霧との境目に近い、高級住宅街らしき場所の一角で、俺たちはピエール号から降りた。


 それとほとんど同時に、ピエール号とモルガンが、ピエールネックレスとドラゴンの姿に変身した。



 「こう、家と並んだ姿を見ると……めっちゃデカいわね」



 リアはそう言って、モルガンを見上げた。



 「……これ、どうやって乗るのぅ?」



 ミィも、心配そうな顔をした。



 「……あ。鞍には私が乗せようか?……カイト以外」



 レイがそう提案したが――なぜ俺は抜きなんだ?



 「……フツーに乗れそうだから」


 「まあ……乗れるけど」



 そんなわけで、リア、カヤ、ミィの3人は、レイの魔法で鞍に乗せてもらった。


 一番前の席に座った俺は、後ろの3人にサスペンダーの付け方と、ゴーグルをかけることを教えた。



 「……そろそろ準備はできたか?」


 「……ああ。モルガン、頼む」



 モルガンは立ち上がると、大きな翼を広げた。


 俺たちは『街で戦う組』の5人に見守られながら、大空へと飛び立っていった。



 『わー!さすがレジェンダリさん……!』ピエールネックレス|(カヤが身につけている)が、大きな声で叫んだ。『すごくいい眺めです!』


 「……きゃああ!」俺のすぐ後ろにいるリアも声を上げた。「け、結構スリルある!!」


 「貴様ら、我に振り落とされるな……しっかり掴まれ!!」



 モルガンはさらに高度を上げた。飛空艇『ピエール号』よりも高く飛んでいる。



 『モルガンさん!左手に『川』があるのが見えますか!?』



 ピエールネックレスが、風に負けない大きな声で叫んだ。



 「ああ」


 『その上流にある『滝』が目的地です!ちょっと離れてますけど、頑張ってください!』


 「……わかった」



 突然モルガンはスピードを上げ、川を見つけてその上を飛び始めた。


 しばらく川を遡るように飛んでいたが、次第に川の周囲に急斜面が現れ、川がその合間を縫って蛇行している様子が見えてきた。


 やがて、川の周りは建物ではなく木が取り囲むようになった。


 その時、あることに気づいた。



 「あれは……?」


 「兵士の生き残り……かしらね?」



 木に隠れるようにして、兵士らしき人がぽつぽつ見つかった。全員ひどい怪我をしていて、頭上を飛ぶ俺たちの姿をぽかんと見つめていた。



 「何もしてこないといいんだけど……」


 「……そうもいかぬようだな」



 人が乗っているのが見えているのか、いないのか。


 兵士たちが銃や魔法で攻撃してきた。



 「『ウォーターシールド』!」カヤが叫ぶと、モルガンの腹の下に、水が膜のように広がった。



 すると銃弾や魔法が、水に弾き返されてこちらに届かなくなった。



 「……なかなかよい技を持っているな」


 「お褒めいただき、ありがとうございます」



 俺たちはシールドに守られながら、どんどん上流へと遡っていった。






 それから結構長い時間が経った後、俺たちは『滝』を見つけた。


 『滝』は、思っていた以上に大きかった。


 今は暑い時期で、水量はそこまで多い方ではないとは思うが、それでもかなりの量の水が100メートルくらいの高さから流れ落ちていた。


 モルガンは地面に降り、俺たちが降りるまであたりの様子を見渡していた。



 「すごいところだねぇ」ミィが感嘆の声を上げた。


 「だが、目的の『神殿』とやらは、一体どこにあるのだ?」


 『あ!『滝』の方ではありません』ピエールネックレスの声が聞こえた。『その右手に行ったところに、祠があります。茂みがあって見つけづらいとは思いますが……』


 「あ……みんな、ストップ!」



 俺が大きな声を上げたので、全員がその場で動かなくなった。



 「何だ、『脳筋』?」


 「……何か来る」



 ――ズン、ズン。



 低い音と振動が伝わってきた。



「しかも、こちらに近づいてきていますね……」



 全員で、互いに背を向けあって、全方位を見渡した。



 「な、何が『近づいて』いるの……?」



 リアの震える声が聞こえてきた。



 「これは……」



 あたりに、張り詰めた空気が満たされていくのを感じた。

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