↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月と星座と剣士の旅〜魔法が苦手な俺が、魔法で神様を救う話〜  作者: く~が~
ウェヌス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

366/375

366話 6月24日#05〜3人の故郷〜

 現在、ピエール号には10人が乗っている。


 闘技士(グラディアトル)の俺と、ドラゴンのモルガンと、未だに謎多き男テン以外の7人は、みんな星霊使いだ。


 みんなで昼食を食べながら話をしていると、星霊使いたちの出身地の話になった。



 「ミライの『サトゥルヌス』、リアの『ユピテル』、ソラの『アポロ』、カヤの『ディアナ』には行ったんだけどな」と、俺は言った。「他の3人の故郷へは行ったことないな」


 「ねえねえ、どんな場所なの?」



 そう訊ねたリアに一番近い席にいたレイが「うーん」と言いながら話をしてくれた。



 「修行終えて帰ってきた時が、確か2月くらいで、その時マルス村は雪が積もってたな」


 「まっ!そ、そんなに寒いの!?」


 「うちの里も降るよ、雪……」


 「うそ!あたし、一度も雪見たことないんだけど!」



 ソラの追加の説明に、リアは驚愕していた。


 レイはその様子を見ながら、また「うーん」と唸った。



 「……でも、なぜか村には誰もいなかったんだよな」


 「どうしたのぉ?」



 ミィの言葉に、レイは「わからん」と首を傾げた。



 「なぜか、村の一角にたくさん墓があって、私の墓もなぜかあった」


 「……いや、何で!?」


 「『遺体』を確認していないのに、死亡したってことになっていたのですか?」



 カヤにそう訊ねられ、レイは「うむ。そのようだ」と言った。



 「……てことは、レイが修行している間に、村で何かが起こったってことだよな?」


 「そうだろうな」レイは、俺の言葉にも頷いた。


 「ねえ、レイさん」テンは、隣に座っているレイに地図を渡した。「『マルス村』って、どのあたりにあるの?」


 「んー、えーっと……」



 レイは、しばらく地図とにらめっこした後、地図のある場所を指さした。



 「村の詳しい位置はわからんが、確か下山したら、この街にたどり着いた」


 「……『ハルモニア』?」


 「川も流れているし、間違いない」


 「んー、えーっと、」テンは急に独り言をつぶやき始めた。「何か思い出しそう……えっと……あ!」



 指をパチンと鳴らすと、テンは「あれだ!」と叫んだ。



 「確か、モンスターの群れが、そのあたりのいくつかの村を壊滅させたってニュース、あったよ!」


 「……いつ?」


 「5、6年前」


 「ど、どんなモンスターなの……?」



 リアは不安そうに言った。



 「あー。僕もよくわかんないけど、確か……『シャドウ……何とか』みたいな、名前はかっこいいやつ」


 「『群れ』……『シャドウ』……」ソラはつぶやくように言った。「『シャドウファング』……?」


 「……だったかも!」


 「それ……危険なモンスター……影が狼みたいな形になる……人を狩って満足したら、また影に戻る……退治が難しい……」


 「……そんなの、絶対会いたくないっ!」


 「燃やしたら、どうなる?」



 レイの真顔の質問に、ソラは答えた。



 「わからない……やってみて……」


 「「「……何言ってんの!?」」」



 ――それから、今度はソフィアの故郷についての話になった。



 「私の故郷か……」ソフィアは顎に手を当てて考えた。「『メルクリウス』……あそこはまた、変わった街だったな」


 「どのあたりが?」


 「街の建物の外壁の色が決まっていて……正確には使う塗料が決められていて……あそこの建物は、みんな空色なんだ」


 「何か意味あんのか?」俺は、全てが空色で鮮やかな街並みを想像しながら訊ねた。


 「あるとは思うが、一般に知られているのはほぼ都市伝説だな。『ある種のモンスターが嫌がるにおいがついている』とか、『秘密組織が本部を隠すために、街の全ての建物の色を統一しろと強制した』とか」


 「ふーん」ミィは首を傾げた。「ふたご座の星霊使い(ゲミニ)も、同じ街の出身よねぇ?」


 「ああ。だが、ほとんど面識はないから、彼がどんな人なのかは、本格的に調べるようになった時に、初めて知った」


 「……その点は、あたしとぉ、ドゥファンとは違うわねぇ」



 「「「……え?」」」みんなの顔が、ミィに集中した。


 「あたし、ドゥファンと同い年なんだけどさぁ。同郷のあの人がどういう子ども時代を過ごしていたか、ちょっと知ってるんだぁ」


 「……へえ」ミライが目を細めた。「あんた、見た目としゃべり方の割には、年増なんだな」


 「……後で殴る」


 「でも、ドゥファンの子ども時代って気になるな」



 俺が話を続けるよう促すと、ミィは話し始めた。



 「……そもそもあたしたちの故郷のウェヌスはぁ、2つの貴族が土地を分割して、お互いに相手を敵対視してるところでぇ」


 「へえ。領主が1人いるわけじゃないんだ」


 「そうだねぇ……その貴族たちは、どっちも自分たちこそが正しい『領主』だと思っていて……ドゥファンはそのうちの片方の家に生まれたのぉ……」



 ――つまり、『領主』の子どもだったのか。



 「そのせいか、随分厳しく育てられたみたいでぇ……しかも要領が悪いというかぁ、覚えるのに時間のかかる子で……しかも、『もう1つの『領主』の子』がすごーく優秀だったんで、よく比較されて、すごくその子を恨んでいたんだぁ」


 「『もう1つの『領主』の子』?」


 「……あたしのこと」



 ミィは胸を張った。



 「ふふん。あたしぃ、優秀なんだよぉ?」


 「……どうりで偉そうだと思った」


 「……後で2発目殴る」



 しかし、ミィは、「んー」と天井を見上げた。



 「修行が始まる前に、あたしはいくつか魔法を覚えていてぇ……ドゥファンに何回勝負しかけられても勝ってたから……まぁ、子どもだったし、手加減なくやってたしぃ……でもぉ、」


 「『でも』?」


 「他にもいろいろあったみたいでぇ……あたしの師匠の話だとぉ、『てんびん座の星霊(リブラ)』も結構厳しい人らしくてぇ……あと、あたしも驚いたんだけどぉ、『修行』が終わって帰ってきた時に、ドゥファンに弟ができていてぇ……」


 「「「え?弟!?」」」


 「しかも、その子は物覚えがよかったからか、両親からかわいがられていて、それを知った時のドゥファンの顔が……」



 ミィは目を伏せた。



 「あたしが知ってるのは、このへんかなぁ。あとは何があったか、あたしもよくわかんない」



 それからミィは、「ウェヌスはきれいなトコだよぉ。観光するぶんにはぁ、すごくいい街だからぁ!」と、付け加えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。