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月と星座と剣士の旅〜魔法が苦手な俺が、魔法で神様を救う話〜  作者: く~が~
セメレ−ネプトゥヌス編

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354/360

354話 6月23日#31〜仲間と孤独②〜

 『そういえば星霊使いって、『石』必要ないですよね……』



 ピエールネックレスさんの言葉に、かに座の星霊(カンケル)先生は同意しました。



 「そうね。基本的に『石』を持っているメリットはほぼないわね」



 『石』の魔法を引き出すには、『太陽星座』や『月星座』が『石』の星座と一致する必要があります。


 しかし、星霊使いになるためには、『太陽星座』と『月星座』が、修行で得る魔法の『星座』と一致する必要があります。


 つまり、星霊使いが使える『石』は1つしかないのですが、その唯一の『石』の魔法は修行で得られるものなので、修行を終えた星霊使いは、『石』を持っている必要はありません。



 ――ただし、自分の星座の『石』なら、所持していることに多少メリットはあります。



 「……自分の『石』なら、持っていれば他の人に自分の魔法を使われることがなくなるし、呪いの解除にも役に立つ」


 『でも、他の星霊使いさんの『石』を持つメリットは、ほぼありませんね』



 そして突然、ピエールネックレスさんは大きな声を出しました。



 『……つまり、そこらへんに捨てても問題ないってことになるかもしれ……わあ!そうなったら、ワタクシ……!!』


 「まあ、そういう可能性もなくはないですが、わたくしが視た限りでは、レイさんたちが集めた『石』がバラバラになることはなさそうです」


 「むしろ、持っている可能性が高いわね」と、先生は言いました。「ピスケス本人が持っている方が、秘匿性が高くなるでしょう?」


 『……それもそうですね』



 ――となると。



 今、ピスケスがいる場所に、『石』がありそうです。



 「……では、ディアナ周辺のどこかでしょうか?」


 「そうかもしれないわね……」先生は、コツンと、何か音を立てました。


 『いかがされました?』ピエールネックレスさんがわたくしの胸元で揺れています。


 「『ご近所さん』に協力を仰ごうと思って」


 『『ご近所さん』ですか?』


 「はい。私の周りに、鼻の利く『こいぬ座(カニス・ミノル)さん』と、水の中を泳げる『うみへび座(ヒドラ)さん』がいますので、一緒に探してもらいましょう!」


 「……具体的に、どうするのでしょうか?」



 わたくしも意味がよくわからなくて、首を傾げました。



 「あなたの盾が、私の『鏡像』であることは知ってますよね?」


 「ええ」


 「実は十二星座以外の星座たちも、同じように『鏡像』があるのです」


 「その『鏡像』が、こちらの世界にやって来る……ということですか?」


 「そのとおりです」



 ――まだはっきりとはわかりませんが、わたくしは先生との連絡を切り、指定された場所まで歩いていくことにしました。






 そこは、川のほとりでした。


 この川はイェリナ一大きな川で、両岸には、広く平坦な草地がありました。


 わたくしが草地に沿って道を歩いていると、向こうから何かが猛スピードでこちらにやって来るのが見えました。


 わたくしは立ち止まり、その方――小型の犬――が、こちらに来るのを待っていました。



 「『カヤさん』ですね!」


 「ええ」


 「僕の頭、撫でてください!」


 「はい」



 私はしゃがんで、『こいぬ座(カニス・ミノル)さん』に手を差し出しました。



 「お手」


 「ワン!」


 「おすわり」


 「ワン!」


 「……よくできました!」



 私は微笑みながら、カニス・ミノルさんを撫でました。カニス・ミノルさんは、とても嬉しそうに尻尾を振っています。


 ふと横を見ると、川の方から小さなヘビがやって来ました。



 「もしかして……『うみへび座(ヒドラ)さん』?」


 「あー。そっすー」ヒドラさんは、少しかったるそうな言い方をしていました。「カンケルさんのお弟子さん……随分優しそうな人っすね」


 「お褒めいただき、ありがとうございます」



 ――さて。



 「とりあえず、お二人にしていただきたいことは、ピスケスの星霊使いを探すことです」



 それを聞いた2人の反応は、とても早いものでした。



 「「要するに、『魚のにおいのする人間』を探せばいいわけで(っ)すね!」」


 「え、ええ……?」



 ――『うお座』だからって、魚のにおいがするものなのでしょうか……?



 「じゃ!早速行ってきます!」


 「あとはうちらに任せな!」



 ――2人は、あっという間にいなくなってしまいました……






 わたくしは、川に沿ってゆっくり歩いていました。



 『他にいい案があるといいんですけどね』



 ピエールネックレスさんは、ぽつりとつぶやきました。



 「そうですね、わたくしもそう思います」



 ――何か、わたくしにできることがあるといいのですが。



 「迷わなければ、街なかを探してみる手はあったんですけどね」


 『やっぱり、初めて来た場所ですからね』






 それからしばらくして、川の水の中を大きな黒いものが通過していきました。


 それはわたくしのいるところでくにゃりと曲がり、わたくしの方へその恐ろしげな顔を向けました。



 「『うみへび座(ヒドラ)さん』……ですか?」


 「そっすー」ヒドラさんは、大きな舌をピコピコ動かしました。「さすが星霊使い。あたしのこの姿にも動じないっすね!」


 『ところで、何かわかったんですか?』と、ピエールネックレスさんは訊ねました。


 「うっす!」ヒドラさんは、川の上流の方を見つめました。「あっちに、目的の『ピスケスさん』がいるっすー」


 「案内していただけませんか?」


 「いーっすけど、めっちゃ遠いっすよ?」


 「……では、わたくしは盾に乗って参ります」

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