348話 6月23日#25〜ヤギVS双子(?)③〜
数人の忍者を煙に変えたら、忍者たちは慌てて、俺をとある部屋へと通した。
俺は星霊使いの姿を見て、ちょっと――いや、結構驚いた。
「……小せえな」
そこに横たわっていたのは、黒服黒髪の、背の低い少女――死んだように、ピクリとも動かない。
でも、一応確認したら、ちゃんと呼吸はしていた。
「『体術使う』とかいうから、てっきり大柄な男かと……ま、いいか」
――おかげで運ぶのが楽そうだし、いいか。
俺は少女を抱いて運び、屋敷の入り口へ戻った。
扉が閉じる前に、屋敷の中へ手榴弾を投げ込むことを忘れなかった。
――ドカーーーン!!
とりあえず、星霊使いは確保した。
だが、周りは敵だらけ。というか、ウザい彫像と忍者だらけ。
うるさいし、訳わかんないもの投げつけてきて、それが頭に当たって痛えし、正直見るのも嫌になってきた。
――と、ふとその声が止んだ。屋敷の敷地をまだ出ていないが、彫像も忍者もどこかへ逃げていく。
俺は何かの気配を感じ、後ろを振り返った。
そこには、2体の大きな彫像がいた。でも、今までの『彫像』とは、どこか雰囲気が違う。
彫像は揃って俺を指さし、「「『サイクロン』!!」」と叫んだ。
次の瞬間、上空で黒くて分厚い雲が渦巻き始めた。かなり大きい。
そして、俺の頭に雨が降ってきた。風も吹いてきた。
それがだんだん強くなる。暴風雨となり、俺を襲う。
「……親父が言ってたのは、これのことか……!」
とにかく、俺と腕の中の星霊使いの安全を確保したい。
――だからといって、さっきの屋敷に戻るつもりはないが。
俺は屋敷の柵の外へ出ると、少女を地面に置き、『鏡』から、適当な立方体に穴をくり抜いたものを取り出した。
その中に、自分も少女も押し込めた。
これで、雨も風も防げるし、いつの間にか落ち始めた雷もやり過ごせる。
俺は大きなタオルを取り出し、少女を適当に拭いて、体の上にタオルをかけた。
「……しかし、こんな細えのに、『体術』使うのか?」
まだ納得してない俺は、1人でぶつぶつつぶやいた。
――やがて、暴風雨は止んだ。
俺が外に出てみると、ちょうど2人の彫像が、親父の強烈な後ろ蹴りを顔面に受けているところだった。
2人は地面に倒れ、赤ん坊のようにじたばた暴れ出した。
「我は、こんなことでは負けんぞ!」
「でも兄貴ぃ。これはどう見ても我々の惨敗では?」
「ううむ……今日のところは引き上げるとするか。ここは自宅だけど」
「星霊使いも奪われたようだし、吾輩もそれがいいと思うっす……」
「ま、待つでござる!!」忍者服を着た小柄な男がやってきて、彫像に話しかけた。「あいつらを逃がしたら、拙者はうお座の星霊使いから罰を……!」
「我が名にかけて、そなたのことは、あの『狼藉者』から守ってやる!」
「……少なくとも、説得はする!」
「だから、気に病むことはない!」
「我らは一心同体!」
「あ、ありがとうございますでござる!このご恩は、一生忘れ……!!」
「『パズルブロック』」
親父の巨大ブロックの下敷きになり、彫像も忍者も沈黙した。
周囲を見ると、もうウザい敵はいない。
「強風で勝手にどこかへ吹っ飛んでいった」と、親父は言った。
「自分の魔法なのに……」
意味不明だ。
「それと、レオの星霊は自分の家に帰っていった」
「……あとは、コイツを地球まで連れて帰るだけか」
「なかなか可愛い娘だな」
「そうか?」
「うん」
俺は少女を抱いて親父に乗り、自分たちの家へと帰っていった。
――親父、今度自分の背中につける『鞍』でも開発してくれ。乗りにくい。




