343話 6月23日#20〜ウシVSサソリ②〜
「貴様、どんだけ重いハンマー使ってんだ!?」
スコルピウスの叫びに、あたしも叫んで答えた。
「1トン!」
「頭おかしいだろ、お前!!」
「ド変態な鎧着てるあんたに言われたくない!!」
あたしが連続してハンマーで叩きつけてみたら、さすがのスコルピウスも、攻撃が当たらないよう逃げ回っていた。
――てか、地面を這い回らなきゃいけない鎧って、一体何なの!?
あたしが叩いているせいか、足元の氷に亀裂が入って、かなり大きな裂け目ができている。
「……てか、僕モデルだよ?僕のこと、美しいとは思わないのか?」
「……そんなの、知るかー!!」
――だいたい、何で変態を『美しい』と思わなきゃいけないの!?
「……貴様、」自称『モデル』なのに、何かめっちゃ残念な顔をしている。「女の中で、アクアリウスとアリエスの次に嫌いだ」
「嫌いで結構!!」
ここであたしは、魔法を使った。
「『オクトクラック』!」
「『スーパークーリング』!」
あたしの攻撃で、ハンマーが当たった場所から8つの方向へ、地面に大きな裂け目ができた。
同時に、スコルピウスが地面を踏みしめ、あたしの足元の地面が崩落した。
あたしもスコルピウスも、しっかりと残った地面の上へ移動した。
「貴様、僕をこんな割れ目の中に落とす気か」
「そうよぅ」あたしは、容赦なく次の魔法を使った。「次は『フォールトプレス』!」
先ほどできた割れ目を境目に、段差ができ始めた。
スコルピウスは横へ飛び退いたけど……甘い!
高い方の段差同士が、その間の低い段差を挟み、強い力で押しつぶそうとした。
「……ぐっ!」スコルピウスも、段差に挟まれて動けなくなった。「何だ、この魔法……!?」
スコルピウスが動けなくなったのを見て、あたしは少し近くへ走り寄った。
「お前、魔法でこんな地形を変えていいのか!?」
「……100年くらい経てば直る!」
――ホントは1時間なんだけど。
「こ、この……!」
結局スコルピウスは、鎧を脱ぎ捨てることで、断層の隙間から何とか脱出した。
「『アイスキャッスル』!」
あたしは、スコルピウスの魔法の名前の意味がわからず|(『アイスキャッスル』って何?)、あたりをきょろきょろ見渡した。
すると、脳天に何かが直撃した。
「痛っ!!」
頭がくらくらしてきた。
何とか体勢を立て直そうとしたが、周りは氷の柱に囲まれていて、動く場所がない。
とりあえず、あたしの頭に当たったものもその『氷の柱』のうちの1つであることには気づいた。
「……このぉ!」あたしは力任せに、ハンマーで氷の柱を叩き割った。
その瞬間、スコルピウスが「『アイスファイア』!」と、別の魔法を使った。
――『氷の炎』?
突然、あたしを包むように、大きな炎が地面から噴き出した――え?めっちゃ冷たい!凍りそうなんだけど!?
「『アースアーマー』!」
あたしの足元の土が上昇してきて、あたしを包みこむ。
一方、周囲を取り囲んでいた『氷の柱』は、刺さっていた土が消えてバランスを崩し、次々にバタバタと横倒しになっていった。
あたしの『鎧』が崩れてからスコルピウスを見ると、目から火が出そうなほどめっちゃ怒っていた。
「……『鎧』は僕の特権……僕の真似をするなーー!!」
――コイツ、子どもかよ?




