334話 6月23日#11〜不公平な戦い②〜
「……はあああ!!」
近距離でデュカが何かしようとしてたので、僕は肘鉄砲食らわせて距離を取った。
今気づいたんだけど、デュカはかなり体が大きい。身長が、182センチの僕よりさらに10センチくらい高い。背の低いソラちゃんから見たら、ほぼ巨人。
しかも、めっちゃ筋肉質。
僕がさっきのパンチを止められたのって、単に僕が魔法で筋力上げてたからだろうな。
――さて、デュカはこちらを振り向いた。突進する前の闘牛みたいな顔をしている。
「……魔法は使わないのか?」デュカはニヤッと笑った。「ここへ来る時に、すごい魔法を使ったらしいが」
「……僕は魔法の無駄遣いなんかしないよ」
「出し惜しみしたら、負けるぞ」
「負けないよ、僕くらいの腕があったらね」
デュカは本気を出すことに決めたようだ。僕に向かって連続で殴りかかってきた。
――うーん。僕、あまりこういうスタイル得意じゃないんだけど。一応、攻撃を受け止めたりかわしたりはできるんだけど、僕からのいい攻撃方法があまりない。カイト君から格闘技のやり方教わった方がよかったかな?
――とか思ってたら、足元にあるころころとした何かを踏んで、バランスを崩した。見ると、酒瓶が転がっていた。
その隙に、デュカは僕の両腕を掴んで動けなくして、口を大きく開いた。
――デュカは、口から炎を吐いた。
たぶん、レイさんの『クリムゾンブレス』だと思うけど、同じ魔法がこんなおっさんの口から出るなんて、正直最悪。
僕は、顔に当たった勢いでよろけて、尻もちをついた。
デュカが、勝ち誇ってこう言った。
「……いいか。貴様が喧嘩を売ったのは、世界最強の空賊なんだぞ?そのナンバー2の俺にその程度の実力で勝て……うわああ!!」
――僕の『落とし穴』の魔法に、簡単に引っかかった。
僕は、立ち上がるついでにもう1つ魔法の呪文を唱えた。
そして指を鳴らすと、『落とし穴』の真上から水が滝となって穴の中へ降り注いだ。
「あばばぶばぶぶ……!!」
何か聞こえたけど、気にせず僕は穴から距離をとった。
少し経って、穴からデュカが上がってきた。
「ゲホッ!貴様……こ、ゲホッ!……こんなこと……で、ゲホッ!俺がくた、ゲホッ!くたばるとは、思うなよ……ゲホッ!」
――にしても。
今、観客席は野次の嵐に見舞われている。
そして、フィールドに酒瓶やら皿やらナイフやらが、大量に投げ込まれている。
――そして、このフィールド。
「モノがまっすぐ飛ばないように、特殊なバリアが張られている……」
投げ込まれた酒瓶やナイフは、途中で変な角度に曲がって、ランダムな方向へと向きを変えていた。
「……じゃあ、まず最初に僕がすべきことは……」
――そのバリアを作っている魔巧機械を探して、破壊すること。
でないと、僕の得意な戦法がとれない。




