329話 6月23日#06
――そして俺たちは、殴られる代わりに、牢屋に監禁された。
「……あー。わけわかんねえ……」
「『取りつく島がない』って、このこというんだねー。実際には、ここは島なんだけど」
俺とテンは、部屋の唯一の家具である『ベッド』の上に座った。
――ちなみにモルガンは、『馬のように扱われた』ことが嫌だったらしく、「貴様らと一緒にいる方がましだ」と俺たちに言ってくれたのだが、結局空賊たちに別のどこかへ連れて行かれてしまった。
「……やっぱり、『賊』は『賊』なんだねー」
テンはそう言うと帽子を取って、中から何かを取り出した。小さな箱だ。
「それは……」
「……暇つぶし」テンは中身を取り出した。「……カードゲームやろ」
――たぶん、いやきっと、何かいい案がないか考える時間が欲しいのだろう。
俺たちは空賊の根城の牢屋の中で、なぜかババ抜きをやり始めた。
「……にしても、持ち物を全く没収されなかったということは、『どうあがいても、ここからは絶対出られない』って自信があるってことだよな」
「『刑務所』よりすごいバリアが張ってあるんだろうね」
「だからといって、交渉が成立しそうな相手でもなさそうだしな」
「じゃあ、何しろって話なんだけど」
「やっぱ『3人』じゃ、無理があったのかなあ……?」
「たぶん『100人』連れてきても、同じ結果になったと思うよ」
「……それもそうだな」
「……あ。勝った」
相手の数が数だ。それこそ国軍全員を引き連れない限り、正面から対決するのは不可能だろう。
「……ただ、『石』を持ってることは肯定してたよね、あのおっさん」
「そうだな。それは1つ前進だな」
「……で、今日の日暮れまでに『石』を手に入れる」
「そうだな……あ。また負けた」
――何か、過去一の難題を突きつけられた気がする。
「……テンは、こういう状況で使える何か持ってない?」
「ここまでひどいと、何もない」
テンは、ため息をついた。
「早くレイさんに会いたい」
――そういえば、テンにはそんな想いがあるんだった。
「あー、僕のバカー!何で何も思いつかないのー!?」
「……俺も、何も案が思いつかん」
もしかしたら、モルガンが何とかして――いや無理だろ、モルガンには。
「……むしろ、説得されてここのドラゴンになってそう」
俺はため息をついた。
「……しかも、負けた」
「勝った」
「……え?テン強くね?」
「カードゲームでは、誰にも負けないよ?」
俺たちは、しばらく互いに見つめあった。
「……そういえば、今何時だろう?」
テンは、懐中時計を取り出した。
「……あ。10時だ」
「……まだ午前中か」
俺たち、セメレを随分早く出発したからな。
「もう少ししたら、昼ごはんくれるかも」
「……それ持ってきた人に、話を聞いてみるか?」
「それいいね!」
――で、食事を運んできたのは、
「「ロボットかよ!?」」
俺たちは、思わず食器を投げつけそうになった。




