325話 6月23日#02
先ほどまでモルガンがいた場所に、直線状に進む炎の魔法がいくつか集中した。
そして、何もないように見える正面から、いきなりかなりの数のドラゴンが現れた。
「あれが……空賊……?」
確かにどのドラゴンも、人が騎乗している。
やがて、ドラゴンと騎手たちは、俺たちの周りを取り囲んだ。
「貴様ら、何者だ?」
正面にいた男が、俺たちに向かって言った。
「貴様らこそ、何者だ?」
モルガンがそう言うと、男は俺とテンの顔を不思議そうに見つめた。
「……早く答えよ」
「誰がしゃべって……まさか!」
――どうやら彼は、ドラゴンは人語をしゃべらないと思っていたようだ。
それか、人の言葉をしゃべったことで、モルガンが特別なドラゴンであることを理解したか。
「……金の鱗と人の言葉を話せるほどの知性……これは、なかなか珍しいドラゴンかもしれねえ」
――後者のようだ。
「随分いいドラゴンに乗ってるな」
「『金色の鱗のドラゴン』なんて、初めて見た」
「あたし、あのドラゴン欲しい」
「いや。あれはキャプテンに譲るべきだろう」
空賊たちが、お互いに何やらヒソヒソ話をしていた。
リーダー格っぽい空賊は、咳払いをした。
「とにかく、自分たちの名前と要件を言え!」
「名前は教えねえ」と、俺は答えた。「ただ、要件だけは言う」
「何だ?」
「ネプトゥヌス島にある『月の神の石』を取りに来た」
それを聞いて、竜騎手たちは、ヒソヒソ話を再開した。
「それ、キャプテンたちが大切にしている『石』のことでしょ?」男の隣にいた、見た目が俺くらいの年齢の女が言った。「そんなの、譲れるわけないじゃない!」
「……やっぱり君たち、『ネレイデス空賊団でしょ!」と、テンは指を鳴らして言った。「ということは、この先に島が……?」
「そんなものねえよ」と、最初の男が言った。「そう簡単に、島の場所がわかってたまるか」
「それもそうだな」モルガンは周囲をじっくりと眺めた。「だが、何か重要なものがあるんだろうな。これだけの伏兵がいるということは」
「……突破してみる?」
テンの質問に、俺は頷いた。
「ああ、行ってみよう。あの男が言ったことが正しいかどうか、見に行けばわかることだ」
「……んなこと、許すはずがないだろう!」男は空賊らしく、とても短気なようだ。「てめえら、みんなでやっつけちまえ!」
――と、男が言っている間に、俺の後ろにいるテンが早口で呪文を唱えていた。
そしてテンが指をパチンと鳴らすと、空賊とそのドラゴンの頭上から下へと、俺たちを取り囲むように、滝のような強い水流が幾筋も落ちてきた。
「「「うぎゃあああ!!」」」半数以上の空賊が、ドラゴンとともに海に叩きつけられた。
「…………え?」生き残った正面の男が、一瞬固まっていた。
その瞬間、モルガンが口を開いた。
「『ブレイジングショット』!」
モルガンの吐いた光のブレスが男に当たり、男は海へ落下していった。




