322話 6月22日#10
「……そういえば、ピエールペンはどうするのぉ?」
夕飯を大衆食堂で食べていた時、ミィはふと疑問を口にした。
『どうしましょう?』ピエールペンは、緑色に点滅した。『カイトさんテンさんモルガンさんのチームも気になりますし、1人でやるカヤさんも心配ですし……』
「……どうやら、わたくしと一緒にいることが一番いい結果が出るようです」と、カヤは言った。「お手数をおかけしますが、少しの間、お力を拝借させていただきます」
『了解でーす!』
「……あたしたちは、どう分担するぅ?」
ミィは、今度はソフィアに訊ねた。
「……相手の戦法に合わせて分担してみよう」
「派手派手ちゃんは『音を物質みたいなものに変換』して、変態は『氷と石化』を使って、忍者かぶれ君は『とにかく自分を増や』して……」
テンがそう言うと、ミライが「ひどい名付け方だな」と、呆れていた。
「『ゲミニ』は数で押すから、多人数戦が得意なミライがやるのが適任だろう」と、ソフィアは言った。「『スコルピウス』は硬さが武器だ。強力な打撃を加えられるミィがいいんじゃないか?」
「……『黄色い粉』にだけは気をつけてね」
テンはミィに、そう注意した。
「ソフィアがスターリアと戦う……」俺も隣で聞いて、つぶやいた。「見えないもので邪魔されても、あの蔓の植物なら、迂回が楽にできる」
「……あら?意外といい人選?」
「我らはどうする?」モルガンが、俺とテンをじろっと睨みつけた。「我が飛翔能力をもって、貴様らを運んでもよいが?」
「うーん、」俺は考えた。「それはいいが、俺たちがどうするか……ここに来るまでの『かご』を使ってもいいけど、戦闘になったら危ねえし……」
「……乗ってみたらどうだ?」
俺とテンとモルガンが、一斉にソフィアの方を見た。
「私の知人に『竜騎手』がいてな。こういうこともあろうかと、鞍を借りてきたんだ」
「……だから我を、愚鈍な馬などと一緒にす……!」
「……でも、いい案だと思うよ」テンは、手でモルガンを制した。「相手と同じ体勢で戦えば、僕たち3人みたいな強敵に敵う空賊なんかいないんじゃないかなあ?」
「モルガン、こう考えろ」俺も、モルガンを説得する側に回った。「『毒をもって、毒を制する』。俺たちは、空賊なんかよりはるかに強い『毒』だ」
「敵と同じことをすれば、能力で敵を上回る僕たちに分がある」
「そういうことだ」
「………………」
モルガンは目を瞑り、しばらく考えた。
「ま、まあ……悪くはない……のか?」
――了解を得たことにしよう。
「でも、俺たちは空賊と戦ったことがねえからなあ」俺は頭を掻いた。「何をどうすれば……」
「あの空賊団は、規模が大きい。容易にはトップは出てこないだろう」と、ソフィアも言った。「まずは島の様子を観察するのはどうだ?」
「……そういえば『ネプトゥヌス島』って、何で空賊団の根城なんかがあるんだ?」
「私の想像だが……そもそもその島に最初に移住したのが、空賊たちだったんじゃないか?」
「じゃあ、島そのものが、空賊と切っても切れない関係なのか……?」
「そう考えると、島が地図上にないのも納得できるね」テンは、俺が持っていた地図を見つめた。「空賊たちは、島に強力なバリアを継続的に張ってるのかもしれない」
「……ピスケスは、そんな島が故郷なのぉ?」
「そういうことになるな」
――でもあの人は見た感じ、空賊とは関係なさそうだったのだが。
「根城に忍びこむか、正面から堂々と乗り込むかは……相手の出方次第か」
「ただ、どんなことが起こっても、僕たちはできるだけずっと一緒に行動したほうがいいよね」
「……そうだな。3人しかいないし」
「まあ、我も全部1人でやるのは疲れるからな」
『みなさん、作戦も決まってきたようですね〜!』
テンの胸ポケットに差してあるピエールペンが、楽しそうに黄色く光っていた。




