317話 6月22日#05
その後、カヤが帰ってきてから、俺たちは揃ってソフィアの学校へと移動した。
ソフィアは、昨日使った会議室に俺たちを通した。
「……すまんが、今手が離せなくてな……お茶は各自、自由に飲んでくれて構わない。仕事が終わったら、すぐに駆けつける」
そう言い残し、ソフィアは会議室から去っていった。
『……あ。そろそろ変身できそうです』
月の神はそう言うと、体がどんどん小さくなっていった。
形もより細長く、直線的になり、やがて机に現れたのは、
『ジャーン!『ピエールペン』!』
――先ほどの会議の結果、ペンの形になることが決まっていた。
テンはニコッと笑うと、ピエールペンをシャツのポケットに差した。
『お〜!なかなかいい眺めですね〜!』
「確かに、これなら上着に付けても目立たないし、いい案かもね」
『……あ。ちなみに、実際ワタクシで字を書けますよ。やってみます?』
「……一体どういう仕組みなんだ……?」
――細かいことを気にしたら、負けだぞ、ミライ。
「へえ。書き心地最高じゃん!」
テンは、部屋の隅に置いてあった白紙の安っぽい紙を拝借して、さらさらといろんな字や模様をかいていた。
「……でも、実際に書けるなら、バレる心配はなさそうだな」
『そうですよー!』
「もっと高いところから眺めたかったら、いつでもヘアピンになっていいからね!」
『ありがとうございます!!』
その後、ミィとモルガンも加わり、みんなでピエールペンを中心に、話をしていた。
「へえぇー!結構きれいな装飾がついてるねぇ!」
『おお、ミィさん!さすが、お目が高いです!』
「だよね~!高級感があって、僕気に入ってるよ〜!」
『ですよねっ!やっぱり神様ですから、最高品質のペンに、頑張ってなっちゃいました!』
「……かようにうるさいペンなど、あってたまるか」
『モルガンさん、ここに実在してますよー!』
「最初から、こうしていればよかったんじゃねえか?」
『ミライさん……機械を舐めないでください!あんなに精緻で美しい造形美を持つ道具を発明した人類が、どれだけ素晴らしいか、ワタクシが……!』
「……意外と、自分の胸からしゃべりまくる声が聞こえると、うるさいかも」
『………………』
「……とにかく、月の神様が復活してよかったです」と、カヤは言った。「みなさん、あなたに訊きたいことが山のようにあって、ウズウズしてますから」
『……ですよねー!』
その1時間後。
会議室に戻ってきたソフィアを交え、ピエールペンへの質問会が開催された。




