312話 6月21日#09
「……ああ、忘れるところだった」
ソフィアはそう言って、また給湯器の方へと歩いていった。
「パスタ料理の弁当を頼んでおいた。これからは、食べながら話をしよう」
――やっぱりちょっと抜けてるところがあるな、ソフィアは。
「そんなにお腹空いてたの?」と、テンはモルガンに訊ねた。
「空いてなどいない。ただ、すぐに食うのかと思ってたら……」
――ぐぅ。
モルガンの腹が鳴った。
途端に、みんなくすくす笑い出した。
「……き、貴様ら!我を笑うな!」
ともかく、それからは弁当を食べながら話を続けた――カルボナーラの上にポーチドエッグが乗っている。美味い。
「とりあえず、これからの方針を考えていきたいところだが……」ソフィアは少し考えていた。「まずは、月の神の見解も訊きたいところだな」
「……そうだな」俺は頷いた。
「それに、アリエスが既になくな……」
――急に、テンが咳払いをした。
それを見たミィが、慌てて言葉を修正した。
「……アリエスが戦えなくなっちゃったのは、かなりの痛手よねぇ?」
「そうだな」ソフィアは頷いた。「それに、今は平気そうにしているが、ヴァルキ……」
――また、テンが咳払いした。
「……テンも、相当心が傷んでいるようだし、特に彼女のことはどうするか、しっかり考えねばな」
「え?あの話、本当なのか?」と、ミライは言った。「お前がアリエスのことが好きって言うのは」
「……何で広まってるんですか」テンは、悲しんでいるというより、不機嫌になっていた。
「……すまん。嘘が下手で」ソフィアは、カクンとうなだれた。
「そういうことでしたら、」と、カヤは話を元に戻した。「アリエスさんたちを元どおりにする方法を探す方がいいですよね」
「そうだな」
俺は頷いて、自分でお茶をカップに注いだ。
その時、テンが大きなため息をついた。
「……何か、事実をみんな知ってるみたいだから言うけど……もしレイさんが本当に死んじゃったら、この場にいる全員を僕の銃の餌食にするからね。覚悟してね?」
――だいぶ機嫌が悪い。
「……では、真剣に考えていかねばな」ソフィアは食べ終えて、テーブルに置いた紙に何か書いていた。
「その紙は?」
「仕事だ。気にするな」
すると、テンが3度目の咳払いをした。
「…………真剣に、考えよう」
ソフィアは、慌てて紙とペンを片づけた。
その後、俺たちは月の神の話を中心にして、それから解散することになった――と言っても、ソフィア以外は全員同じ宿に泊まることになっていた。
――そしてその前に。
「あたしのことは、見くびらないほうがいいよぉ!」
「……星霊使いだから、見くびるつもりはないんだが」
学校のグラウンドで、俺対ミィの試合が始まった。
もちろん、俺はミィがどんな戦いをするのかわからない。
俺が剣を構えていると、ミィはやたらデカいハンマーを取り出した。
地面にドンと置いただけで、ハンマーがかなり地面にめり込んだ。
「……ちなみに、そのハンマーはどれくらい重いんだ?」
「……1トン!」
とんでもない強者相手に、俺は剣を振ることになった。
ソフィアは、いろいろな理由であちこちの街へ移動しながら仕事をしているようです。たいていは学校に寝泊まりしているみたいです。
では、彼女の自宅はどこにあるんでしょうか?――プライバシーの問題で、誰にも教えていないようですが……




