311話 6月21日#08
その後、俺たちがそれぞれ適当に席に着くと、ソフィアがお茶を配り始めた。
「まあ、『会議』みたいに見えるが、簡単に状況を報告しあうだけだ、気軽にしてくれ」
「……じゃあ、俺から話す」
俺は手を挙げた。
「どこから話したらいいのか、よくわかんねえけど……」
俺は、ディアナで起こった出来事を、できるだけ順番に説明した。
思えば、3人の仲間たちを救えなかったことにばかり注目していたが、他にもいろいろ気になる点が見つかった。
「そういえば、あの後うお座の星霊使いはどうしたんだ?」
「僕が黙らせた」と、テンは言った。「1時間くらい氷漬けにしてやった」
「あの『霧女』を、どうやって……?」
「秘密」
「……星霊使いと渡り合うなんてぇ、あんた何者なのぉ?」
ミィは、テンをじっと見つめた。
「しがない普通の魔術師です」
「どこが」
相変わらずの秘密主義に、俺は思わず苦笑いをした。
「あと、そのピスケスが最初に乗ってたデカい飛空艇も、何だか気になる。ロボットだらけだったし、エステルも乗ってたし」
「それはたぶん、『ピース教団』の連中が移動に使っていた船だ」と、ソフィアは答えた。「ロボットも、おそらく『教団』の置き土産だろう。あちこちの支部に警備ロボットを配置していたという話もあるし」
「エステルさんは、おそらく月の神様の存在を敵に教えたと思います」
と、カヤが付け加えた。
「これからは、月の神様も敵に狙われます。慎重に行動していかないといけませんね」
「ところで、これが『月の神様』なのぉ?」
テーブルの上のクッションの上に置かれた月の神を見て、ミィが怪訝そうな顔をしている。
「なんか、『神様』っぽくないというか……」
「確かに俺もずっとそう思っているが……でも、俺ちらっと見たけど、最後にレイたちやカヤに何か魔法をかけてたな」
俺がそう言うと、テンは納得したように言った。
「それで、力尽きちゃったんだ」
「でも、何の魔法だったのぉ?」
「それは……わたくしもわかりません」カヤは首を振った。
――これは、月の神に訊かないとわからないな。
「街のバリアとモンスターの集団攻撃は、たぶんレイさん、リアちゃん、ソラちゃんの3人が解決したんだろうね」と、テンは言った。「あとは……」
「『ドゥファンが今どうしているか』だな」
俺は頭の後ろで手を組んだ。
「俺もはっきりと理解していたわけじゃねえんだけど、ドゥファンはカヤを連れ去ろうとしていたみたいなんだ」
「え?」カヤはこちらを振り返った。
「初めてカヤを見たとき、体が宙に浮かんでたんだ」俺はカヤに向かって言った。「俺は夢中でカヤを引っ張って床に下ろして、それからすぐ弓で矢を撃ったら、それがドゥファンの肩に当たって……で、どこかへ逃げた」
「『肩』とは、具体的にどのあたりだ?」
「左の鎖骨の下あたり、だと思う」
「ふうむ……」ソフィアは、何やら考え込んだ。
「……意外と、魔法じゃない攻撃には弱いのか?」
突然、ミライが話に参加してきた。
「『左』なら、少しずれていたら心臓に当たったかもしれないが、」と、ソフィアは言った。「それだけで、退散するような奴なのだろうか……?」
「「一歩遅かったな」って言ってたから、主な目的は星霊使いたちを無力化することだったのかも……」
――わかんないけど。
「とにかく、もし矢や銃が苦手なら、俺が倒すこともできるな」
「ミライって単純ね」
「……何か言ったか?」
――意外と、ミィとミライは仲がいいのかもしれない。
「……ところで、」モルガンは、お茶のカップを眺めながら言った。「飯はまだなのか?」




