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月と星座と剣士の旅〜魔法が苦手な俺が、魔法で神様を救う話〜  作者: く~が~
セメレ−ネプトゥヌス編

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307/361

307話 6月21日#04

 午前11時を過ぎた。


 疲れていた俺は、毛布の上に座ったままウトウトしていたし、カヤとテンは、相変わらず同じ格好で同じことをしていた。



 ――その時、



 「ズウウウ……ン……」



 何か鈍い音と振動が発生した。



 「何だ……!?」



 俺は起き上がって、脇に置いてあった弓矢と剣を手に取った。


 テンも縫っていたものを置いて、銃を取り出した。



 「何か大きなものが、この岩の上に落ちてきた……気がする……」



 ――大丈夫なのだろうか。岩穴が崩壊することはないのだろうか?



 しばらく固まっていると、突然入り口が何かに塞がれた。


 何かはわからないが、陽の光を反射して、真ん中あたりが赤く光っていた。


 やがて、それが視界から消えた。


 直後、頭上の岩から、小石や砂が落ちてきた。



 「何かい(・)る(・)ね」



 ――そう。これは生き物だ。



 「……しかも、かなりでかいな」



 突然、「ズシン」という音と共に、岩の隙間の外に何かの大きな脚のようなものが現れた。太い。


 脚は、金色の鱗で覆われていた。


 その脚が消えると、「ズシン」とまた別の脚が現れた。今度は、たぶん後ろ足だ。


 やがてその生物はこちらを振り向いた。再び光が遮られ、赤い光だけが真ん中に浮かんでいる。



 「これ……」俺はじっと目に映っているものを見続けた。「もしかして……」


 「ドラゴン……だね……」テンも俺の隣で、固まって動けなくなっている。


 「しかも、めっちゃでかい……」


 「何か、めっちゃこっちを見てるけど……」



 ――俺たち、危なくね?



 と、思った瞬間、



 「何だ?せっかく我が迎えに来てやったというのに、挨拶も感謝もしないつもりか?」



 一瞬、脳がフリーズした。


 今しゃべったのは、俺たちではない。カヤでもない。


 そして、岩の前にドラゴンがいる。



 ――しかも今の口調、何か聞き覚えがある。



 しばしの間が空いた後、脳内のパズルのピースがカチッと嵌った。



 「「あーー!!」」俺とテンが、同時に叫んだ。「「モルガン!!」」


 「そうだ。我だ」ドラゴン――というかモルガンは、ふんと顔を逸らした。「貴様ら、我のことを忘れていたのか?」


 「忘れてたんじゃねえよ!てか、そもそも『ドラゴンの姿』なんか見たことなかったし!」


 「元気でいたんだね!てか、本当の力、取り戻せてたんだね!!」


 「……そうだ。叫ばなくても、我にはちゃんと聞こえてるぞ」



 モルガンは心底めんどくさそうにしていたが、俺たちは彼女の態度に構わず大喜びしていた。



 「へえ、金色の鱗なんだ。めっちゃかっこいいな!」


 「確かに、本来の姿がこんなだったら、早くこの姿を取り戻したいって思うだろうね!」


 「いやー!『助け』が来るって言うから、どんな『助け』なのかと思っていたら!」


 「随分心強い『助け』が来たね!」


 「にしても、ホント無事で良かった!」


 「ね!また会えて嬉しいよ!」


 「黙れ、貴様ら」モルガンは俺たちを鋭く睨みつけた。「まったく。うるさいのは変わってないのだな」


 「よく来てくださいました、モルガンさん」カヤが俺たちの前へ出てきた。「わたくしは『かに座の星霊使い(カンケル)』のカヤと申します。このように、わたくしたちを助けに来ていただき、本当にありがとうございます」


 「……なかなかよい言葉を言うな、貴様」



 モルガンは、再び俺たちに目を向けた。



 「貴様らもカンケルを見習ったらどうだ?」



 「おう、そうだな!」俺は、モルガンの頬をぺちっと叩いた。「よく来てくれた、サンキュー!」


 「僕も感謝しているよ!」テンも、モルガンの反対側の頬をぺちぺち叩いた。「ありがとう!嬉しいよ!」


 「……他竜(ひと)の頬を勝手に触るな!」



 俺たちが何を言っても、モルガンは不機嫌そうに鼻を鳴らした。



 ――でも、久しぶりの再会は、嬉しいものだ。



 俺もテンも、悩みを忘れて興奮していた。

このモルガンが迎えに来るシーンは、トップ3に入るほど私の好きな場面です。モルガンは、『めっちゃかっこいい』ドラゴンです。私も直接会ってみたいです。

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