295話 6月20日#28〜地から天へ③〜
雷に当たったリアさんの体が、宙を舞いました。
そして、ぽとりと地面に落ちます。
『リアさん!』ワタクシはそばに寄りましたが、動く様子はありません。
「レイ……!」ソラさんが声を上げました。「何か……来る!」
再び大量の矢が、レイさんやソラさんに降りかかります。
「『ウールプロテクション』!!」
レイさんの『羊毛魔法』でガード。何とかこの場をしのぎました。
『リアさん、しっかりしてください!』
ワタクシはリアさんに声をかけました。でも気絶しているのか、まだ動きそうにありません。
――現在、ワタクシたちの頭上に大きな羊毛の雲みたいなものができていました。
上からの攻撃には、対応できそうです!
「………………」
『ケイロンさん|(?)』は、無口です。何も吠えたりしゃべったりしません。
ですが、何かを感じ取ったのかもしれません。再び矢をつがえて撃った時、レイさんは大剣でガード……
――しようとしたのですが、矢は大剣を避けて、ソラさんに向かっていきました。
「……った……!!」ソラさんが地面に倒れます。
そして矢は、レイさんに向かってきました。
『レイさん……!!!』
――と思ったら、レイさん、大剣で矢を叩き折りました。
「………………」
『ケイロンさん|(?)』は、何か考え込んでいるようです。隙ができました。
「『クリムゾンピアシングブレス』!!」
レイさんの素早いブレス攻撃が当たり、『ケイロンさん|(?)』は体を大きくのけぞらせました。素早くこちらに向き直り、弓に矢をつがえます。
しかし、矢を撃つ前に、レイさんの羊毛が『ケイロンさん|(?)』に絡みついてきました。『ケイロンさん|(?)』は弓を下ろし、羊毛を手で払おうとし始めました。
――その時、ソラさんが復活しました。
「『ゼノフィルス』……何で、リアの魔法を……?」
確かに、不思議です。
「ピエール33世、」レイさんがワタクシに訊ねました。「この『ゼノフィルス』って、『何に変身するか』をどうやって決めてるんだ?」
『えーっと、たぶん……推測の域を出ないんですけど……』ワタクシの声は小さくなりました。『『記憶』が、見られるんじゃないでしょうか?』
「『記憶』……?」
『モンスターの中には、人の心の働きに干渉する能力を持っているやつがいまして……ほら、前に出てきた『ウグイロン』みたいに……』
あの、ピース教団幹部が操っていた、『生きているゾンビ』を生成するドラゴンですね!
『人の心の働きは、主に『意思』と『記憶』と『感情』があります。その中の『記憶』をたどって、敵の一番苦手な相手を想像するんだと思います』
――あ。
『ゼノフィルス』の形が少し変化しました。『ケンタウルス』の首周りに、ふさふさのたてがみが生え始めています。
『今回の場合は、みなさんのお師匠さんの姿になろうとしているようですね』
『ゼノフィルス』の馬の部分に、ヒツジの毛のようなもこもこしたものも生えてきています。
『合体して強くなろうとしていますが……』
「『おひつじ座の怒り』!」
突然レイさんがそう叫び、『ゼノフィルス』を2つの円盤と8つの槍が襲いかかりました。
――いや、それ普通ここで使います?
「……めんどくさくなった」
『「………………」』
『ゼノフィルス』は焦げて地面に倒れ、体が急速に朽ちて、虚空に消えていきました。
最後に心臓だけ残りましたが、
「……これでいいか」
その心臓もレイさんの剣が突き刺さり、動きが止まりました。
「レイ、最強……」
『で、ですね……』
その時、ようやくリアさんが起き上がりました。
ワタクシが状況を説明すると、リアさんはドン引きしていました。
「力技……さすがアリエスね……」
――ともかく!
あとは『塔』を上るだけです!
それすら、レイさんの魔法で省略できるのですが!




