292話 6月20日#25〜でっかいのとちっこいの③〜
レオの後をついていくと、小屋の奥の方に隠れていた扉の向こうに、鉄製の階段があったわ。
その階段を下りていくと、また金網に囲まれた大きな箱があった。『危険!立ち入り禁止!』というプレートも、同じように付いていた。
「ふーん……」あたしは、金網に貼られた地図を見つめた――たぶん、レオはこれ見て『装置』の場所を覚えたのね。
――何、その暗記力……
「ここにあるこの装置を、外したい……!」
そのレオは、金網の扉をためらいなく開けて、手に持っているランプで照らした小さい箱を指さした。
「……それが、モンスターを呼び寄せるのか……?」
「飼育員やってる時、教わった……モンスターを呼び寄せる違法な機械があるって……!」
レオは、箱の表面に書かれている文字を読んだ。
「『モンスターの心臓』……近くにいるモンスターを次々に呼び寄せる機械……」
「……何それ!?」あたしは震え上がった。「そんな機械、さっさと壊しましょ!」
「うん……!」
レオは、その機械の端を持って、ゆっくりと持ち上げた……けど、何か重そう……
とりあえず、金網の外まで運び出した。アリエスは、大きい方の箱――『魔力発動装置』――の再起動ボタンを押した。
「これ、めちゃくちゃ重い……」
『……ワタクシ、違法な機械には詳しくありませんが……』と、ピエール33世は言った。『とりあえず、ここで解体しませんか?』
「解体……?」あたしは首を傾げた。「壊すんじゃなくて……?」
『そちらの方が安全でしょう。中に何が入っているのかわからないので』
ピエール33世は「ウィーーン」と、アームを出した。右手がスクリュードライバー、左手がスパナになっている。
『では、1分ほどお待ち下さい』
――そして、ピエール33世は、アームがぶれて見えなくなるほどの素早さで、『コル何とか』のネジやボルトを回し始めた。
そこらに散乱する部品たち。やがて中から現れたのは……
「……え」
「何だ、これは?」
「……やっぱり……」
『えーっと、』ピエール33世も固まっていた。『これ、『モンスターの心臓』ですね……』
――本物の心臓。ドクンドクンと脈打っている。
しかも、思ったよりデカい。人の頭くらいの大きさがある。『コル何とか』の箱の中のほとんどを占めていた。
――いやああああ!!ちょっと待ってえええ!!
「……それ、燃やしていいものか?」
――アリエスは、顔色1つ変えない。
「……それが、一番早く処理できると思う……」
――レオも、同じくらい冷静。
『では、ワタクシは、箱の残りを解体します』
――ピエール33世は、作業を再開した。
「なっ、何でみんな、平気なの!?」
「あたしが心臓運ぶから……レイは外でこれを燃やして……!!」
「りょーかい」
「リアは……ピエール33世の解体の手伝いを……!!」
「いや、だから何でみんなそんなにれいせ……!?」
「じゃあ、行くぞ!」
――あたしの発言は、ことごとく無視された。
「……もー!ピエール33世、早く作業終わらせてー!!」
あたしは早くその場から離れたかったんだけど、肝心のピエール33世は、
『なるほど、なるほど……違法でも、機械は機械ですね!勉強になります!』
――この、機械オタクめ!
あたしは、階段の一番下の段に座りながら、ぶつぶつ文句を言い続けた。




