291話 6月20日#24〜でっかいのとちっこいの②〜
レオにようやく解放された時にあたしたちがいたのは、金網で囲まれた大きな箱の前。金網には『危険!立ち入り禁止!』と書かれたプレートがついている。
「……何、このいかにも『壊したらダメな物』を壊そうとしている雰囲気は……」
「……うん、壊して……」
「……マジか」
「これ、街に魔力を送っている装置……これを止めれば、街の3分の1くらいが……魔力を失って魔巧機械が動かせなくなる……」
「……そんなことしていいわけ!?」
あたしには、レオの意図が全くわからないんだけど……
「大丈夫……後で詳しく説明する……」
「……もう、知らない!」あたしは弓を引き絞った。「『サンダーショット:フルメン』!」
装置に、大きな雷が落ちた。装置の中で何かウンウンいってた機械が、ピタリと止まって静かになった。
――当たり前だけど、近くにある街灯の明かりが全て消えたわ。街は静寂に包まれた。
「……あと2か所……」レオはそう言うと、あたしたちを再び握りしめて走り出した。
「……ちょっと!走りながらでいいから、説明しなさい!」
「この街の魔力源を吸い取って、モンスターを呼び寄せる装置がある……」レオは、迷いなく走り続けた。「壊そうと思ったけど、ムリ……機械を止めて、外すしかない……」
「それ、その装置にバリアが張ってあるってこと?」
「うん。その装置のバリアを外す……街のバリアは、再起動すれば動く……モンスターが集合する前に、バリアの再起動をする……!」
「そんなこと、他の人に任せたらいいじゃない!」
――と、思ったんだけど、こんな時に頼れる人の心当たりが、あたしにもなかった。
しかも、あたりが濃い霧に覆われて、何があるのかよくわからなくなった。レオのゴーレムは霧の上に頭が出ているから、走るのに問題なさそうだったけど。
「見つけた、ここ……!」
と、言うが早いか、レオは「『ソーラーウィンド』!」と叫んだ。
周囲の霧が晴れる。そして目の前に、さっきと同じ箱が見えた。
――今気づいたけど、この箱を覆う金網、魔法を通さない性質があるみたい。
もしかして、あたしならこの金網の隙間を狙えるって思ったのかしら?――さすがね、レオ♡
「『サンダーショット:フルメン』!」
レオは機械が止まったのを確認すると、また別の方向へと走り始めた。
「どこへ向かってるの?」
「同じ装置……最後の1つ……近くにレイがいるはず……」
しばらく走って、あたしたちは箱と金網を見つけた。さっきまでと同じく『サンダーショット:フルメン』で機械を停止させた。
「あとは……モンスターを呼び寄せる装置を破壊するだけ……」
レオはまたまた走り始めた。
でもしばらくすると、ふと足を止めた。
「……レイ……」
「おお、ソラか」
片手にジャイロコンパスを持ってどこかへ行こうといていたアリエスが、目の前をふよふよ飛んでいた。
レオが、指の隙間からあたしたちを解放してくれたので、あたしとピエール33世はアリエスに近寄った。
『レイさん、無事でしたか!』
「も〜!レオが人遣い荒いのよ〜!」
「……3人で、何をしてたんだ?」
「……走りながら説明する……」ピエール33世とあたしがアリエスの腕の中に収まったのを確認してから、レオは走り始めた。「こっち、ついてきて……!!」
レオはどんどん北に向かって走っているみたいね。一体どこへ向かっているのやら……
――やがて見えてきたのは……
『『水の塔』……』
「……の近くの、小屋……?」
「ここ、バイトで来た小屋だな」
「オギさんは……『塔』の管理とこの小屋の保守の、両方の責任者みたい……」
アリエスとレオは、ここに来たことがあったみたい。
レオは黒メイド服の姿に戻ると、小屋の扉を開けた。
「ここには、メインの『魔力発動装置』が置いてあって……その隣に、外したい装置がある……」
あたしたちは首を傾げながら、小屋の中へと入っていった。




