283話 6月20日#16〜僕の本性①〜
――というわけで、僕ことテン対ピスケスおねーさま+αの対決の、始まり、始まり〜♪
「……あー、そうそう!」僕はにこにこ笑った。「戦う前に、1つ訊きたいことがあるんだけど」
「……何?」ピスケスおねーさん、めっちゃ怖い顔で睨んでいる。
「『うお座の石』はどこー?教えてくれたら、君たちを邪魔しないけど」
「……んなもん、教えるわけないだろ!?」何か、だんだん言葉が崩れてきている。
「あらら。じゃあ、僕も実力こ……」
――と僕が言っているうちに、周りにいる槍使いさんたちが僕を刺そうと、槍を突き出してきた。
僕はわざと転んで、全方向の槍の突きをかわした。
「あっぶなーい!」僕はそう言って、地面に座ったままきょろきょろおねーさんたちを見渡した。「みんな怖いねー。全然かわいくない」
――あ。全員殺気を放ち始めた。
「……貴様、一体何がしたいんだ?」
「それは僕が訊きたいなあ」僕はあぐらをかいて、ピスケスおねーさんに向き直った。「君こそ、こんなところで何がしたいか、教えてくれると嬉しいんだけど……『ピスケスちゃん』?」
「……気持ち悪い呼び方すんな!」――あ、ピスケスちゃん、何かしようとしている。
僕が小声で呪文を唱え始めた時、
「『タバクトヨク』!」
ピスケスちゃんはそう言うと、その手に長い布が現れた。クリーム色っぽいけど、暗くて材質はわからない。何となくシルクみたいに触り心地よさそうな気はするけど。
――と思ってたんだけど、よく見るとその布、両端が硬くなっていた。真ん中は柔らかいままだけど――そのせいでこの布、何か変なところで折れてるんだよね。
ピスケスちゃんは、その布を振り回し始めた。よくわからないけど、布を背中の方に回したり、肩の周りで振り回したり、片方の手からもう片方の手へ受け渡したり……何か忙しないなあ。
槍使いのおねーさんたちが槍を引っ込めたので、これからピスケスちゃんが何か攻撃を仕掛けてくるな、と思った。
そして、僕が呪文を唱え終わり、指を鳴らしたのと同時に、ピスケスちゃんの布がこっちへ飛んできた。
布は僕の右腕に当たった――めっちゃ痛かった!ホントに硬いもので殴られたみたい。
その直後、僕の左の方に魔法陣が現れ、そこから大量の水が噴き出した。水は川のように流れ出し、おねーさんたち全員を襲った。
――あ、でも。
ピスケスちゃんは布を引っ込め、水流をかわしていた。星霊使いだけあって、勝負の勘が鋭いんだろう。
「……水の使い手か」
ピスケスちゃんは「チ!」と舌打ちした――何か、いろいろ残念な人だよね。
僕はゆっくり立ち上がって、帽子を被り直した。水流は僕をすり抜けていったから、僕の服は全く濡れていなかった。
「もしかして、お水が嫌い?」
僕がそう訊ねると、ピスケスちゃんは何も答えず、じっと槍使いのおねーさんたちを見ていた。
おねーさんたちは、お互いに折り重なるようにして倒れていた。みんな何とか立ち上がろうとしているけど、水を飲んでしまい咳き込んでいる人もいる。
数秒たち、ピスケスおねーさまは、ようやくこちらを向いた。
「……あんた、」ピスケスおねえちゃんは、目を細めて僕を見ていた。「『ヴァルキリー・ヴェリタス』とかいう奴でしょ?確か、他にも『アス……』」
――ズダンッ!
僕は、ピスケスに向かって銃を撃った。銃はピスケスの体をすり抜けていったけど、ピスケスは話すのを止めた。
「……俺の名前を言うな」
僕の声が、低くなった。
「どうして知ってるかは訊かねえが……その名で呼ぶ奴は、全員ぶっ殺す」
――あ。
このモードに入った僕は、だいぶ面倒くさくなるよ?




