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月と星座と剣士の旅〜魔法が苦手な俺が、魔法で神様を救う話〜  作者: く~が~
ディアナ編

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276話 6月20日#09

 ――それにしても、一体何が起こっているのだろう?



 俺は考えながら、人骨の股関節を狙って、剣を振り下ろした。


 股関節は簡単にばらばらになり、その人骨は地面に倒れた。


 まだ動こうとするが、やがて後ろから来た別の人骨に踏みつぶされた。


 俺は、これが本物の人骨なのかレプリカなのか、一瞬考えあぐねたが、しばらく見ていて、それぞれの骨に少しずつ違いがあることに気がついた。


 1つの人骨は、歯が欠けていた。


 別の人骨は、肩周りの骨のつき方に違和感があり、最初から腕が使えなかった。


 他の人骨も、大きさが違ったり、何かが欠けたり変形したりしていた。



 ――これは、本物の人骨だ。



 俺は剣を構え、敵を全て破壊することを決断した。






 そうやって戦っていると、人骨の間をすり抜けて、こちらにテンがやって来た。そして、『スピンドルスパイダーネット』と、その他いろいろなものを、俺に手渡してきた。



 「どうも魔法の攻撃が効かないようで」



 テンはそう言いながら、手に持っていたものを投げつけた。



 「……一番効いたのが『落とし穴』だった」



 テンが投げたものが、「ズドーン!」という音とともに爆発した。



「……あと、手榴弾と、霧を吸収するお香……」



 ――そんなものがあるんだ。



 「股関節を外しても、いけるぞ」


 「……わかった。ありがとう」



 テンはそう言って、また俺から離れていった。


 俺は試しに、お香を手に取った。地面に置くと、火をつけなくても勝手に煙を出し始めた。


 すると、あたりに立ち込めていた霧が、どんどん薄くなっていった。そして、完全に霧が晴れた範囲内の人骨が、次々と地面に倒れ、あたりはたくさんの人骨がばら撒かれた状態になった。


 今回は、武器や魔法より、テンの小道具の方が役に立つようだ。



 「それにしても、」俺は手榴弾を投げながらつぶやいた。「何でこいつら、俺に噛みつこうとしてくるんだ?」



 その理由は、お香の効果が切れた後に俺に近づいてきた人骨を、あらかたやっつけた後にわかった。



 人骨の集団の奥から、今度は肉も付き、服も着ている人間が現れた。



 「……あれは……」



 人骨に混じって、生気のない人間たちがよろよろとこちらへ近づいてくる。



 「……こいつら……」



 ――街の住人か?



 「……でも、死んでる……」



 喉に、何かに噛み切られた痕があり、かなりの出血で服が汚れていた。どうも、既に亡くなっているのに、まだ動いているらしい。



 「え、これ……本物の『ゾンビ』……?」



 すると、近くで「きゃあああ!!」と叫ぶ声が聞こえてきた。


 そちらを見ると、『ゾンビ』たちから逃げようとしている人の影が見えた。たぶん、逃げ遅れて、木の陰に隠れていたんだろう。


 そして、人骨にしろ、人間の姿をしている奴にしろ、みんなその人に噛みつこうとしていた。


 俺は『スピンドルスパイダーネット』でゾンビをごっそり動けなくしてから、その人に近づこうとした。



 「……あ」



 一度地面に倒れたその人が、起き上がった。まるで人形が糸で引っ張られたみたいに。



 「……やっぱりこれ、一発でも噛みつかれたらアウトなやつ?」



 『ゾンビ』になったその人に、液体の糊が入った大きなカプセルを投げつけた。その人は関節を上手く動かせなくなり、その場で倒れた。


 そういえば、思い出した。



 ――あと、ホラー映画の耐性がマックスでござる!自分が『ホラー』らしいので!



 自分でこの状況を作れる人なら、『ホラー映画耐性』も持ってるはずだよな。

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