275話 6月20日#08
俺たちが夕食を食べている時、ソラがソフィアと連絡をとっていた。
「そうなの……予想どおり。何が起こるかわからない……そこは、博打。なるほど……」
ソラはぶつぶつつぶやいた後、俺たちに情報を渡してくれた。
「ソフィアから、応援のメッセージをもらった……」
「何だって?」俺は前に身を乗り出した。
「今、助っ人がこっちに向かっている……その人は、あたしたちを迎えに来てくれる……」
「『迎えに』って、その人は戦いには参加しないってこと?」
「うん……戦いは、あたしたちだけでやらないといけない……」
「それ、『助っ人』って言うの?」
「戦いが終わった後も大変……その人がいないと、あたしたちの勝運は尽きる……」
矢継ぎ早に質問する俺たちを見て、ソラはひと言付け加えた。
「全員が、これからやることを知って、事前に準備をしている……何が起こるかわからないけど……絶対、大丈夫……」
夜の10時近くになり、俺たちは言われたとおりの位置に着いた。
あたりは暗く、しかし市街地はランプの明かりで明るく、騒がしい雰囲気だった。
「まだ、何も起こらないよね……」同じ公園で待機しているテンが、小さな声でそうつぶやいた。
「レイのこと……大丈夫なのか?」俺はテンの顔色を窺った。
「うん……彼女は、僕の気持ちを知らない方がいい……知ったら絶対、上手くいかなくなるから……」
テンはにっこり笑った。
「顔はさっきじっくり見たから、大丈夫だよ!」
やはり、テンはレイ関係の未来を想像しているようだ。笑ってはいるが、きっと内心は不安に思っているのだろう。
「あまり無理すんなよ」
俺はそう言ってテンの肩を叩くと、言われたとおり、テンとは反対側の公園の端へ歩いていった。
しばらくあたりは静かで、これといって何かが起こっている様子はなかった。
――ところが。
「きゃあああああ!!」
人の悲鳴が聞こえてきた。
何だろう?と身構えていると、やがて、あたりをうっすらと霧が包んだ。
そしてその霧の向こうから、何かがやって来た。霧のせいで何かはわからないが、俺は弓矢を準備して、いつでも撃てるように気を張った。
――やがて、霧の中から現れたのは……人骨だった。
まるで、博物館で見るような、きれいに肉の取れた人骨……それが、こちらにやって来ている。
「な、何これ……?」俺は思わず後退りをした。
通りから聞こえる悲鳴が、段々と増えてきた。同時に、人骨も複数体現れ、俺を取り囲む。
明らかに、これは味方ではない。俺はつがえていた矢を放った。
――全く効いてなかった。人骨は骨のすき間に矢が刺さったまま、ゆっくりと俺との距離を縮めていく。
「くっ!」
俺は弓を背負い、手に剣を持った。そして目の前に近づいてきた人骨の肩めがけて斬りかかった。
人骨の肩が外れ、腕が体からぶら下がった。しかし、その人骨は行動を止めない。
人骨は、俺を手で掴もうとした。肩が外れた人骨もだ。そして口を大きく開け、俺に噛みつこうとした。
「『スピンドルスパイダーネット』!!」
俺は、テンからもらっていた蜘蛛の巣を、人骨に向かって投げつけた。
近くにいた人骨数体がネットに絡まり、その場でもがき出した。
俺はその隙に、人骨の包囲網から脱出した。




