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月と星座と剣士の旅〜魔法が苦手な俺が、魔法で神様を救う話〜  作者: く~が~
ディアナ編

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272/380

272話 6月20日#05

 「……で、どうしたらいいの?」



 夕方、俺たち全員が集合場所の大きな公園に集まると、ソラとレイが、カヤからもらったリストを見せた。



 「えっと、まず……」ソラはリストを読みながら、リアに向かって言った。「あたしたち星霊使いの3人は、西と南と東の城門近くで敵を待ち伏せして……その後、カヤのいる『塔』へ向かう……」


 「って、星霊使いが4人も『塔』に固まるってこと?大丈夫なの?」


 「……らしい。ピエール33世は、リアの足代わり……それから……」ソラはテンの方を向いた。「あなたは、この公園で敵を迎え撃つ……」


 「……ここに敵が来るの!?」


 「うん……で、カイトは、」ソラはテンの発言に頷いてから、俺の後ろの方を指さした。「公園の反対側で戦う」


 「……それだけ?」


 「いや。私たち全員がどういう選択をするかも重要らしい」



 今度は、レイが説明を始めた。



 「私は『街の人が巻き込まれるのも厭わず全力で戦うこと』」


 「……なんだ、そりゃ!?」俺は思わず声を漏らした。


 「あたしは、魔法盾(シールド)を絶対使わないこと……」



 ソラの条件も、かなり厳しい。



 「リアは、最後までカヤを守りきること」


 「……え?」リアが戸惑っていた。「そいつ、星霊使いじゃないの?」


 「カイトは、全力であの『塔』の階段を最上階まで駆け上がること」


 「……何か、随分具体的だな」



 俺は、遠くからでも見える高い『塔』を見つめて、「どんだけキツいんだ」と、心の中でつぶやいた。


 レイはピエール33世の方を向いた。



 「ピエール33世は、全力でみんなを守って……力を失うことだ」


 『だ、大丈夫です!ワタクシ、神ですから!……たぶん……』


 「……あれ?僕は?」



 テンが首を傾げると、ソラが一番深刻そうな顔をした。



 「……たぶん、あなたが一番大変……」


 「……え?」


 「あなたが考え得る限りで……本当に一番の、最悪の事態を経験すること……」


 「……え?」



 テンは少し考えた後、突然顔色を悪くした。



 「……まさか」



 「……で、その上で、」レイは腕を組んだ。「私たち全員が、それぞれどの選択をするかで、未来が大きく2通りに分かれるそうだ」


 「片方は……一見絶望的に思えて、最後に月の神様を復活させられる未来……」


 「もう1つは、それより無難だけど、私たち全員が死ぬ未来」


 「『それより』って、結局どっちにしろ、今回の戦いは悪い結果になるってことか?」


 「まあ、それはそうらしい」



 ――とりあえず、心の準備をした方がよさそうだ。



 「……それ、いつ起こるの?」


 「今夜……10時くらい……」


 「……まだ時間はある」俺は全員に話しかけた。「みんな、しっかり準備しろ……あと、」



 俺はニヤッと笑った。



 「全員、自分の選択が正しいと信じろ。絶対、最後は俺たちが勝つ」


 「……だな」レイはさすが、精神的な強さを見せた。「私は、どんな相手でも選択でも、絶対に悪い結果は出さない」


 「あたしも頑張る……」ソラはしっかり頷いた。「カヤさんの忠告をしっかり守って……勝ちに行く!」


 「何か面倒そうだけど、仕方ないわね」リアが肩をすくめた。「あたしも精一杯頑張るわ……過去一で!」


 「僕も……大丈夫!」テンは、握りこぶしを作った。「どんな逆境も、乗り越えてみせる!」


 『みなさん、素晴らしい!』ピエール33世が、やる気のオレンジ色に光った。『ワタクシももちろん、頑張りますよ!』



 すると、ピエール33世はアームを突き出した。



 『では、円陣を組んで!』


 「……は?」



 リアは納得していないようだが、みんなで手を突き出してピエール33世のアームの上にかざした。



 『さ!リアさん!ワタクシの上に乗って!』


 「……仕方ないわね!」リアは言われたとおりにして、その小さな手をかざした。


 「絶対に、一番いい未来を勝ち取るぞ!!!」



 俺がそう言うと、全員が手を空高く打ち上げた。


 『「「「「「おーーーーーー!!!!!!」」」」」』



 その後、リアがひと言。



 「あたし、こういう暑苦しいの、苦手なんだけど」


 『まあまあ、そう言わずに』ピエール33世は、リアを乗せたままその場でくるんと回った。『こういうのも、たまにはいいでしょ?』


 「……『たまには』ね」

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