268話 6月20日#01
――そんなわけで、翌日、テンとリアは別行動で、俺たちは『ありさん』へ向かった。
「……まさかの、建物が他と一緒だった……」
「ここは緑が豊か……意外と街に溶け込んでいる……」
『ありさん』の、丘みたいな建物の見た目と、その周りをぐるぐる回るアリの人形たちは、他の街の『ありさん』と全く同じだった。
中へ入ると、中の様子も他の街と変わらなかった。木の床をオレンジ色の照明が照らし、ロボットたちがバイト希望者と話をしている。
『みなさん、コンニチハー!』早速、1台のロボットが近づいてきた。『どのようなお仕事をお探しデスか?』
「ソラはレイと2人で組んで働いてほしい」と、俺は言った。「レイ、絶対道に迷うから」
「……私、全然信用されてないな……」レイがぶつぶつ言っていた。
「……わかった……」ソラはそう言って、ロボットに向き直った。「2人でできる仕事ない?……体力の要らない仕事がいい……」
『少しお待ちクダサイ』
――そして、ロボットが選んだ仕事は、
「……『塔の清掃』……?」
『ハイ。『塔』の中を掃除しマス』
「……ということは、何らかの方法であの『塔』の中へ入れるんだな」
『ええ。モチロンデス』
ロボットは、仕事の詳細が書かれた紙を、レイに手渡した。
『詳しくは、担当者から話がありマスが、『塔』の中には自動昇降機があるので、体力に自信のない方でも安心してお仕事ができマス』
「なかなか経験できない仕事……面白そう……」
「んー。私も異論はないな」
2人が了承したので、ロボットは、今度は俺とピエール33世の方を向いた。
『何か、お仕事をお探しデスか?』
「『塔』の清掃……か」俺は独り言をつぶやいた。「中がどんなふうになってるのか、俺も気になるな……」
「……ん?『塔』の中か?」一緒に街の城壁の警備をやっているおっさんが食いついてきた。
「……あー。仲間が今、『塔の清掃』の仕事をしているんです」
「へー。なるほどねー」おっさんは目を細めた。「なかなかいい仕事を紹介してもらえたね、その人たち」
「そーなんですか?」
「『時給が高い』、『仕事が楽』、そして『水の守護者と会える』」
「アクア……ガーディアン?」
「ああ」おっさんは遠くを見つめた。「あの『塔』の水を魔法で生み出している人がいるんだ。『清掃』の仕事が、唯一その人と出会えるチャンスなんだ……」
「……その人がどんな人か、知っていますか?」
「詳細の公表はされないから俺もよくわかんねえけど、今の『アクアガーディアン』はかわいい女の子がやってる……て、噂がある」
「そうなんですか……」
――『アクアガーディアン』……何か、気になる。




