266話 6月19日#01〜神様〜
翌朝、俺たちは『バグボート』に乗って、ディアナに向かって出発した。
道中『アシッドワーム』という、巨大なミミズみたいなモンスターが俺たちを襲ってきたが、レイが1人でボコボコにやっつけた。
「……そろそろ休憩にするか」俺はみんなに呼びかけた。「そこの岩場にテントを張ろう!レイ、ソラ、よろしく頼む」
「「了解」」
レイは休憩中に『バグボート』を収納に入れており、ソラは解体したテントを運ぶ役割を担っていた。
俺たちは手早くテントを張り、地面に敷いたレジャーシートに座ってぼーっとしていた。
『みなさん軽食はいかがですか?』勝手にピエールキッチン|(小)が展開されているなと思ったら、ピエール33世がサンドイッチを配り始めた。
「おう。気が利くな」俺は1つもらった。
「何かあたしたち、こういうところを月の神様に頼りきりだけど、『神様界』では普通のことなの?」
リアが、テンからサンドイッチの端を分けてもらいながら言った。
『どうでしょうねー』ピエール33世は、緑色に光った|(考え中)。『ワタクシと太陽の神は、『五大魔法大国』を創った後、地球から離れてたんで、他の神がどんな方なのか、あまりよくわからないというか……』
「……てことは、他にも神様がいるってことか?」
『えー、そうですねー……ワタクシが知る限りでは、100柱くらいいますね』
「意外といっぱいいた……」
リアが、天井を仰いでいた。
『ええ……でも、それぞれがそれぞれの国を創ったんですけど、それぞれの詳しいことはよくわかりません』
――と言った後、ピエール33世がピコンと白く光った|(思い出した)。
『……あ、そういえば『テクノト』って国を創った神様は、魔法が嫌いだったので、『テクノト』では魔法があんまり広がらなかったみたいですね』
「……機械大国……」
『確かに、『テクノト』はそう呼ばれていますね』ピエール33世は、今度は黄色く光った|(喜んでいる)。『その神様と比べたら、ワタクシはとても気遣い上手だと思いますよ。あの人、かなり厳格な方なんで』
「ピエール33世君とは真逆だねー」テンはそう言いながら、さりげなくレイの隣へ移動していた。
『あと、『マリーナル』って、1つの海をいくつかの島が囲んでいる国があるんですけど、あそこの神様は、気分屋ですね。行動が予測不能です』
「……神にも、いろいろいるんだな」
『そうですね……まあ、ワタクシはこういう性分なので、みなさん気軽に頼っちゃっていいですよ!』
ピエール33世はそう言いながら、サンドイッチの乗った大皿をみんなに見せた。
『さ!まだまだありますので、好きなだけ食べちゃってくださーい!』
「……こんなに『神様』っぽくない神様も、珍しいんじゃない?」
テンがくすくす笑っているのを聞き、隣にいたレイは、サンドイッチを飲み込んでからこう言った。
「……だから、こう『仲間』が増えるんじゃないのか?『信者』じゃなくて」
「……なるほど……」
――確かに、月の神がこんな人柄だから、俺たちは頑張って石を集めてあげようとしているところがある。
俺は、サンドイッチをもう1つ手に取りながら、月の神が関係する1つひとつの記憶を思い出していた。
同時期に(つまり、約400年前に)神様がいっぱい生まれて、それぞれの国を創ったそうです。その後は、ピエール33世のように地球から離れたり、逆に地球に残ったり、海の中や地面の中に隠れたり、それぞれが好きな場所で暮らしているようです。




