260話 6月18日#07
「『クリムゾンピアシングブレス』!」
レイの魔法が炸裂し、まっすぐな通りにいた『ファールの分身』たちを、一気に吹き飛ばした。
「『パルサースタッブ』!」
ソラの、何か錐みたいなものが直線状にすっ飛んでいく魔法も、負けないくらいの威力があった。
「『サンダーショット:ミレ』!」
ピエール33世に乗ったリアの、すごい数の『矢のコピー』が『ファールの分身』に刺さり、何百もの雷が、空から一気に落ちた。
「何かすげー戦いするよな、星霊使いって……」
「相変わらずリアちゃんは、多人数との戦いで強いねー……」
俺とテンは、元の場所で立ち尽くしたまま、遠い目をしていた。
――ところで、『ファールの分身』は本物の人間ではないようだ。攻撃されると「ドロン!」と言ってピンク色の煙を噴き出し、姿が消えた。
「もしかして、ユピテルにいた『忍者』も、オリオンにいた『忍者』も、『分身』だったのか……?」
「きっとそうだねー……体内の魔力が切れると、消えてなくなるものなんだろうねー……」
一体なぜそんなところにいたのかは、さっぱりわからないのだが。
「……とりあえず、俺たちは潜伏しているのがいないか探すか」
俺がそう提案すると、テンは箱を取り出して、中には入っている『何か』を俺に手渡した。
「本物のファールがいたら、奴にこれ投げつけて」
「……わかった」
何かカプセルみたいなものなんだが、何だかよくわからなかった。
――とりあえず、俺はテンと別れ、今だに火がくすぶっている村の家の中を、一軒ずつ確かめ始めた。
家の中には、子ども|(?)と年寄り|(?)を中心に隠れていた。いずれも剣で刺すと「ドロン!」と消えるので、あまり罪悪感はなかった。
――しかし、こんなに人がいたのか?
いや、『分身』たちが魔法で生み出されているものなら、その魔法を使ってどんどん増やされている可能性もある。
ファール本人を探さないと、キリがない。
「……いないな」
こういう時、人はどんなところに隠れるのだろうか?
3人の星霊使いがみんなまとめてぶっ飛ばしているので、本人が建物の外にいるということは、まず考えられない。
だから建物の中にいる……と思ったのだが、建物の数もそれなりに多く、どこに隠れているのか探すのは、かなり面倒な作業だ。
――どうしよう。
「あ、カイト」レイがこちらに向かって飛んできた。「こっちの方、みんな『片付けた』ぞ」
「……『掃除』みたいな言い方するな」
俺はふと思いついて、レイに訊ねた。
「家の中にいる分身をどうやって引きずり出すか考えてるんだが、何かいい案はないか?」
「うーん……」レイは少し考え込んだ。「……炙り出す?」
「それだと、すぐに火を消して、また家の中へ立てこもる」
「……じゃあ、家を『壊す』か」
レイは、俺の方を向いた。
「いい案がある。テンのところへ行こう」




