259話 6月18日#06
その時のことだった。
「みなの衆!安心するでござる!!」
声が聞こえたのは、俺たちの後方にある岩の上からだ。
「拙者こと『烈風忍者:ファール様』が、みなを救いに来たぞ!!」
すると、村人たちが「「「おおおーーー!!!」」」と感嘆の声を上げた。
「おぬしらよくも!罪なき村人たちを……!」
「……それより訊きたいことがあるんだが、」俺は上にいるファールを見つめた。「ユピテルやオリオンで見かけた『忍者』とお前らは、何か関係があるのか?」
「ユピテル……オリオン……?」
その時、ファールは「あああああ!!」と叫んだ。
「おぬしは、拙者を追いかけ回した……!それにそこの小娘は、拙者の背中を蹴り飛ばした……!!」
すると、村人全員が一斉に「「「ああああああ!!!」」」と大合唱を始めた。
「とっ、とにかくっ!」ファールは岩から飛び降りると、俺たちから離れたところで立ち止まった。
「拙者は『ファール』でござる!拙者を見つけ、捕まえることができたら、おぬしらの言うことを何でも聞こう!!」
そしてファールは村人たちの中に混ざると、自分の尻を叩きながら「こーこまでおーいでーー!」と叫んだ。
――と思ったら、村人全員が一斉に動き出した。あっという間に、誰が先ほどの『ファール』かわからなくなる。
「とりあえず、火を消せー!」
「砂じゃ、砂を撒くんじゃ!!」
「おかーさん、どこーー??」
「こんなところにいたの、坊や!」
「「「わーーーー!!!!」」」
『「「「「「………………」」」」」』
――これは、過去一意味不明な状況だ。
とりあえず、情報を整理しよう。
「……つまりここは、『ファール』とかいう『忍者』の隠れ里ってことか?」
「全員同じ顔ってことは、あの村人たち全員が『ファールの分身』なんだろうな」
「……たぶん、そう……」
「あんな能力あるなんて、絶対星霊使いよね?」
「そんな能力は、普通の人はまず持ってないやつだからねー」
ぼーっと村の様子を眺めていて、ふと俺は思い出した。
「……そういえば、リアも『同じものを複写する魔法』を持ってるよな」
「あたしがコピーするのは『矢』よ!あんな『自分』をコピーするなんて気持ち悪いこと、しないわ!!」
『あー、でも本質的には、同じ能力に由来しているかもしれませんね』と、ピエール33世は言った。『『おひつじ座の星霊使い』さんと『てんびん座の星霊使い』さんが、同じ空を飛ぶ魔法が使えるように』
「そういえば、『おとめ座の星霊使い』と『うお座の星霊使い』も、同じ読心術を持ってるんだよな」
「あたしの能力も、『みずがめ座の星霊使い』と同じ……再生能力がある……」
みんなソラの方を向いた。
「あたしは『体力』を再生させる……人より持久力が高い……」
「……つまり、星霊使いたちは、『6つ先』の星霊使いと同じような能力を持ってるってこと?」
『そうですね。さすがテンさん、呑み込みが早いです!』
「『6つ先』……」
俺も星霊使いと関わる中で、十二星座の順番を覚えた――おひつじ、おうし、ふたご、かに、しし、おとめ、てんびん、さそり、いて、やぎ、みずがめ、うお……
「……なるほど」
「何が『なるほど』よ!!」リアは、『ファールと同じ』と言われたことに納得していないようだ。
――とにかく、結論は1つ。
「あいつ、星霊使いだな」
「しかも、おそらく『ふたご座の星霊使い』だね」
「妙な奴だが、引っ張り出して尋問すれば、成果がありそうだな」
「叩きのめして、『石』のありかを吐き出させるわよ!」
「とにかくまずは……本物がどれか、探す……!」
『みなさん、頑張ってくださーい!』
こうして、俺たちによる『ファール・ハンティング』が開始した。
『6つ先の星座』
おひつじ座−てんびん座
おうし座−さそり座
ふたご座−いて座
かに座−やぎ座
しし座−みずがめ座
おとめ座−うお座




