248話 6月16日#03
午後6時頃、まだ夕日が残っている時間帯に、その試合は行われた。
条件は、ソラは魔法を使わないこと。そしてテンは、銃撃の際ゴム弾しか使わないこと。
『では、始めましょう!』審判のピエール33世が、2人を見ながらそう言った。
「「よろしくお願いします」」
2人が礼儀正しく挨拶して、試合が始まった。
テンは早速、1発目の銃弾を放った。俺はいつもかわすことができず、剣で受け止めていたが、ソラはサクッとかわした。
テンは次々と銃を撃ち、ソラを翻弄させようとする。しかし、ソラは銃撃を軽々と避けながら、テンに迫っていった。
「何で当たらないの?」
テンはそうつぶやいて、再装填しながらソラから離れようとした。
「『世界を取り巻く7つの海、その恵みの水は一つの……』」
テンは何か呪文を唱えながらソラを銃で撃ち続けたが、強力な蹴りが飛んできて、中断してかわさざるを得なかった。
ソラは、華麗な連続攻撃をテンに浴びせた。テンはかわし続けたが、最後の一撃が腹に当たり、テンはその場に崩折れてしまった。
『勝負ありましたね!』ピエール33世は、ピンク色に光った。『試合終了です!』
「ねえ。何で僕の弾を全部避けられたの?」
夕食を食べようと席につくと、テンは早速ソラに訊ねた――どうやら、テンにとっても意外な結果らしかった。
「まず1つは……テンが、銃と魔法どっちも使おうとしてるから……注意力が少し散漫になってた……」と、ソラは答えた。
「そうなのか?」俺が戦った時は、そんなことは思わなかった。
「機械的にあたしの心臓を狙ってたから……右へ動けばかわしやすかった」
――確かに、呪文を唱えていたら、なかなか銃の照準を合わせるのが難しいだろうな。
「……僕、照準合わせるのに魔法に頼りすぎてるところがあるからねえ」
「……そんな魔法があるんだ」
「うん……じゃなきゃ、あんなに連続発射できないよ」
「それと……」と、ソラは続けた。「魔法は発動する時に、そちらに集中しないといけない……銃弾が止んで魔法の呪文を唱え終わった時が、近づくチャンス……」
――でも、それって、ほんのわずかな時間では……?
「そうでもない……ジグザグに動けば、魔法の照準合わせに時間がかかる……」
「確かに、ソラちゃんはカイト君と違って、ちょこまかと動き回っていたからね。かなり当てにくかったよ」
「そうか……ただ突っ込めばいいわけじゃないのか……」
以前は、とにかく早く勝負をつけたくて、直進してばかりだったかもしれない。
「魔法も銃も、『狙いを定める』もの……自分を狙われにくくするのが、大事……」
「そうか、なるほど」俺はテンの方を見た。「テンの弱点がわかってきたぞ……次戦う時は、テンに勝てるかもしれない」
「その前に、僕はカイト君の弱点を突く方法を考えるよ」
「……期待してる」




