238話 6月14日#06
俺たちは、全員『検査』を終えた。
他のメンバーの話を聞く限り、エステルさんはみんなに同じような感じの話をしていたようだ。
「私は、「勇ましくて、真っ直ぐな人だ」って言われた」
「僕は、「大切な人を本当に大事にできる、優しい男」だって」
「あたしは……「しっかりもので、判断力が高い賢者」……らしい」
「あたしは、「困難に遭ったとき、いつもの倍以上の力を発揮できる人」だって言われた♪」
『ワタクシは、「仲間たちに的確な情報を与えて、正しい道へ導く人……じゃない、ロボット」だっておっしゃっていました』
――何で、ロボット|(神様)まで占ってんだよ……
とりあえず、全員無事に『検査』に合格したらしい。
「よかったですね」マリウスさんはそう言い、俺たちにニコッと笑いかけた。
彼は、『検査』が終わるまで辛抱強く外で待っていたが、嫌な顔はせず、どちらかというと楽しそうだった。
「では、みなさんを宿にご案内します」
そして宿に着くと――俺はなぜか、テーブルに広げられたタロットカードの前にいた。
「みなさんが安全に旅を続けられるよう、一番運気が安定している部屋をお貸しします」
宿の主人はそう言った。
ツッコミたいところはたくさんあったが、俺は早く部屋に入りたかったので、さっさとカードを選んだ。
「……では、東の部屋にしましょう。鍵はこちらになります」
俺たちは部屋に入ると、しばらく言葉を失っていた。
5分後、ようやくリアが口火を切った。
「ここで盛んなのは、『星占い』だけじゃなかったのね」
「……もしかして……滞在中はずっとこんな感じ……?」
「ムシに占いに……ここの人たち、僕たちとはぜんぜん違う生活しているんだね……」
「私は、これはこれでいいと思うぞ。どうせ、何が正解かなんて誰にもわからないもんだしな!」
ソラとテンは戸惑っていたが、レイはもう完全に適応していた。
「とりあえず、明日の話をしようか」俺は頭を切り替えた。「明日はお待ちかねの『バグボート』に乗ることになるが……やっぱり練習する時間が必要だよな?」
「でも、それも1、2時間で終わるはず……」と、ソラは言った。「ウルカヌスまでは2、3時間……練習を午後始めても、十分時間は足りると思う……」
『ということは……午前中は『観光』ですか!?』
ピエール33世が、ピカッと黄色い光を発した。ワクワク楽しい気分のようだ。
「まあ、どう考えても時間は余るからな。少し見て回るのもいいと思う」
「『バグボート』か……ドキドキする……」
テンがそうつぶやくと、レイはテンの肩をとんと叩いて「大丈夫っ!」と言った。
テンはレイの方を振り返り、思った以上に顔が近いことに気づいたらしく、頬を赤く染めた。
「なんか……別の原因で、ドキドキし始めた……」
「……え?」
――たぶん、テンはレイに任せれば、大丈夫だろう。それにきっと、そのうち慣れる。
「それより、腹減った……」
そのレイが、突然ぐだぐだモードに入った。
「ここ、飲食店がないらしいわね」リアは首を傾げた。「食事はどうしたらいいのかしら?」
みんなで首を傾げていると、部屋の扉をノックする音がした。
俺が「どなたですか?」と訊くと、「あ、私です。ノラです」という声が聞こえてきた。『ノラ』は、この宿の主人の名前だ。
扉を開けると、ノラさんが顔を出した。
「あの。みなさんお食事はいかがですか?」
「ええ。ちょうどみんな食べたいと思っていたところです」と、俺は言った。「でも、一体どこで食べたらいいのか……」
「もしみなさんが気にしないのであれば、私たちと一緒に召し上がりませんか?」
「『私たち』……ノラさんの一家と一緒ってことですか?」
「あ、いいえ!」ノラさんは首を振った。「私たち、『このユスティティアの住人全員』と一緒に、という意味です」




